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連載 つけよう! 神経眼科力・23
眼窩内疾患の診かたと治療―甲状腺眼症
Practical viewing of thyroid eye disease
橋本 雅人
1
Masato Hashimoto
1
1札幌医科大学眼科学教室
pp.160-163
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104086
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甲状腺眼症とはどういうものなのか?
甲状腺眼症はBasedow病の3徴の1つとして知られているが,甲状腺ホルモン(血中遊離T3,T4)が正常あるいは低下の状態であっても眼症は生じる。したがって,甲状腺眼症は甲状腺機能異常とは切り離した独立した眼科の疾患として捉える必要がある。
先日,研修医に「甲状腺眼症って何ですか?」と質問すると「Basedow病のことです。」という答えが返ってきた。残念ながら答えは「No」である。Basedow病は,1840年ドイツの内科医Carl Adolf von Basedow氏が甲状腺腫,眼球突出,動悸を特徴とする病気を報告して以来,Basedow病という名が世界に知れ渡ったが,その後の免疫学的研究の結果,甲状腺眼症とは「甲状腺に関係した抗体が眼窩内の脂肪や外眼筋内に存在し,それが標的となって“炎症”が起こる病態」であることが明らかとなった。
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