かつて長い間,産科と小児科のはざまにおかれていた新生児ケアは,最近の周産期医療の進歩によって,その考え方と医療のあり方が完全に変わってきました。最近では,①胎児診断の技術の進歩による,出生周辺における産科的介入・適応の拡大,②出生中・直後からの新生児ケアの徹底,③とくに超未熟児・極小未熟児に対する分娩室,NICUでのケア技術の高度化,④親子関係の重視による,出産直後からの親子の絆への配慮,⑤新生児・未熟児医療の地域化がなされるようになってきました。このために看護の内容や質も変化し,必要とされる専門的知識・技術の量も増大しています。
新生児・未熟児のケアに携わっていると,忙しい毎日のなかで,ともすると病棟の日課に追い回され,気がついたときには,日課をこなすベテランにはなっていても,児を観察し,判断し,ケアするといったこととは,かけ離れた状況になってしまうことがあります。しかし,言葉で訴えられない新生児をケアしていくには,児がどういう状態にあるかを観察するなかでとらえ,どのようなことが予測され,どうケアしていくかを判断していくことが重要になります。それらはただ漫然と臨床経験を積み重ねても,なかなか身につくものではなく,つねに自ら学んでいかなければなりません。