特集 地域母子保健への取り組み
地域母子保健の組織化
北村 邦夫
1
1群馬県衛生環境部保健予防課母子保健係
pp.626-632
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206282
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はじめに
戦後のわが国の母子保健は,児童の福祉を目的とした児童福祉法と,母子の一貫した総合的な母子保健対策を目的とした母子保健法を基礎に様々な施策が行なわれ,その結果,乳児死亡率をはじめとした母子保健の水準の指標は著しい改善を示している。しかしこの改善は,妊産婦管理が医療機関に移行した結果によるところが大きく,母子保健行政単独の効果として,これをとらえることは困難といえる。たとえば,イギリスで1912年に母子福祉法を制定し,それによって全国各地に地域母子保健組織を作り,それと全国的な病院組織との協調によって母子保健を発達させてきたのに比べ,わが国では分娩の約99%が施設で行なわれるようになった今日でも,行政と医療機関とのかかわりが十分円滑にすすめられていないという問題がある。本論文では,地域母子保健の組織化に着目し,「今なぜ組織化が必要なのか」「具体的にはどのような方法が考えられるか」等について,筆者の前任地である群馬県藤岡保健所での研究と体験の一端を述べてみたい。
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