助産婦事典
食品添加物と胎児への影響
荒木 勤
1
1日本医科大学第2病院産婦人科
pp.177-181
発行日 1978年3月25日
Published Date 1978/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205349
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はじめに
食品添加物とは,「食品の製造の過程においてまたは食品の加工もしくは保存の目的で,食品に添加,混和,浸潤その他の方法によって使用するもの」とされている。これは食品衛生上,全く害のないとみなされるもののみ,公的に使用が許可されている。したがって,ある種の食品添加物を含む食物を一時的かつ少量摂取したとしても,人体におよぼす影響はないといえる。
しかし,法律で定められた許容量は一般に成人を対象としたものが多く,胎児・新生児および妊婦に目を向けた使用基準の設定ではない。また,使用基準の確立は多くの場合,動物実験による結果からの判定であるので,種類の選定,量的基準の判定がそのまま胎児や妊婦に通用するか否かが問題となってくる。そのうえ,現在使用されている約300種以上の食品添加物が,種々の食品に混和されてくるから,摂取する量や種類も多くなれば単一の場合よりさらに加算され,かつ蓄積作用もでてくる危険が考えられる。
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