助産婦雑誌 43巻2号 (1989年2月)

特集 妊婦のマイナートラブル

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はじめに

 「妊娠は決して病気でも異常な状態でもなく,人間にとって重要でしかも自然な経験である。社会生活から隔絶されるべき状態でもない。現在では,健康な妊婦にとっては勤労も,運動も,性生活も特に害はないということが明らかにされている」(松本1):1986)といわれるように,とかく妊婦の生活が消極的にならざるを得なかった従来に比較して,現在の妊婦は種々の制限・制約から解放されてきたといえよう。

 近年,健康に対する人々の関心が高まり,妊婦自身も快適で,より健康感が実感できる生活を積極的に求めるようになってきた。このような妊産婦のニーズに応えて分娩準備教育も,その内容を充実させながら地域や施設で年々盛んに実施されるようになった。マタニティビクス・自律訓練法・マタニティスイミング・ラマーズ法出産など妊婦も競うように勉強している。妊娠中や出産後間もない人気タレントも登場して,楽しさ・明るさが溢れるばかりの妊婦向けの月刊誌もよく売れている。

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はじめに

 妊娠中のマイナートラブル(小合併症)は,その大部分が,分娩後自然に軽快,消失するため,従来報告も少なく,また,重大な疾患に結びつかない限り軽視されがちである。しかし,妊婦自身の苦痛,不安は見逃し難く,分娩後まで放置することは好ましくないと考える。

 そこで,私共は,妊娠中のマイナートラブル22項目につき,地区別,住宅構造,家族構成,年代,経産,妊娠時期,肥満度などの面から,その実態をアンケート形式により調査した。

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はじめに

 女性は妊娠により,またその妊娠が経過することによって多くの身体症状を経験する。これらのうちで,手のしびれ,背中・腰・足の痛みなどは,妊婦検診時に多く認められる症状である。しかしこれらの症状は,胎児に直接には悪影響を与えないため,医療スタッフとしてはとかく軽視してしまう傾向が強い。

 一方,妊婦にとっては,このような症状はさまざまな苦痛を伴うことが多い。したがって妊婦は各種の症状に対して,常に不安をもって生活しているのが現状であると考えられる。

妊婦の便秘 坂元 一久
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はじめに

 著者は越谷市立病院において,昭和58年より便秘外来を開設して,便秘の診断・治療にあたってきた。開設の根拠となったのは,主に以下の二つの理由からである。

 第一には,大腸疾患,特に大腸癌の近年の増加である。癌死亡率の中での大腸癌の割合は,昭和25年と比較すると約2倍となっている。この大腸癌の主症状に便秘があり,また,便秘しているために腸内細菌叢の変化が起こり,胆汁酸類似の3-メチル・エチルアンツーランといった発癌物質などができやすくなる。また,その体内での腸管内壁との接触時間も長くなるので癌化の危険性が高まることである。

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 欧米のオピニオンリーダーたち,最終回は『アクティブ・バース』の著者,ジャネット・バラスカスさんです。バラスカスさんは,ロンドンにアクティブ・バースセンターを開設し,バース・エデュケーターとして,数多くの妊婦に産前教育やヨガの指導を行なうほか,アクティブ・バース産前教育者の養成も世界的規模で行なっています。

 一昨年開かれたホームバース国際会議では,中心人物として会議の主催・運営にあたり,ホーム・バースを世界的に盛り立てていこうとご活躍中です。

特別記事 妊産婦中心のケアを実感!

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 前回ご紹介しましたように,私が出産をしましたサセックス州立病院の分娩室は,タワーブロックという建物にあり,11・12階が褥室になっています。

 構造は図1を参照してください。看護婦室はなく,廊下中央にナーシングデスクのカウンターがあるだけです。

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はじめに

 現代は医療技術の発展により人の生命までも操作できる時代となってきたが,この技術は誰のための誰のものなのだろうかと,今日の「医療技術」の進歩をふと疑問に感じることがある。

 医療は,医療を受けるその人のためにあることを真剣に考え,医療技術がその受け手の存在を見落とさずに進歩することを願わずにいられない。

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 安心分娩を志す開業助産婦にとって,信頼できる医師が共に働いてくれたらとは,時に強く願うことではないだろうか.

 その願望をさらりと実現させたのが,千葉県市川市で三代つづく松丸助産院を引きついだ貝田宏子さん.祖母の故・松丸アキさん(明治43年生),母の松丸綾子さん(大正13年生)が地元にしっかりと根づかせた助産院を盛りたてて今年で20年,松丸助産院の同じ敷地内には,宏子さんのご主人貝田豊郷先生が開業する産婦人科クリニックがある.助産院とクリニックの併設.妊産婦にとってはなんとも心強い限りだ.

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昼の月に向かってのびる

約束の一束

ニュースを読む

「昭和」から「平成」へ 牧 智子
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昭和最後の年の暮に

 1988年9月19日に昭和天皇が吐血・下血したことが報道されてから,新聞やテレビは連日天皇の病状を報道してきた。9月末から10・11月にかけては,多くの祭りやイベントが中止になり,何かにつけて自粛・自粛といった毎日だった。報道機関が自粛の事実を報道すればするほど,右へならえ式の自粛が増えて,自粛の行き過ぎを批判する声も高まっていた。

 12月の初旬から毎日のように何百ccかの血液が輸血され,16日には「呼びかけにこたえて目を開けた」ことさえニュースになるほど,容体は悪化していた。

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はじめに

 桶谷そとみ氏の考案による桶谷式の手技を駆使して,生活全般指導に携わる新しい形態の助産院が全国に普及し始めてから,はや8年が経つ。最初は乳汁分泌増加,乳腺炎などに対する乳房ケアが中心の援助にとどまっていたが,現在では地域の家庭生活に密着した継続援助が中心になりつつある。私たち4人も,各地域で母乳育児相談をメインにした助産院を開設している。

 この間私たちが常に意識してきたのは人工乳首の問題点であった。人工乳首を使用するのは低体重児や,母親の乳房乳頭異常のための長期ビン哺乳児や,勤労女性の児などである。

開業助産婦の週間日記・23

「師」に恵まれて 貝田 宏子
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 貝田宏子さんは昭和44年に千葉大学医学部附助産婦学校をご卒業。東京・浜田病院で3か月の実習を終えると,祖母・母と続いた実家の松丸助産院の三代めを継ぐべく,開業助産婦の道を歩み始められた。今年は助産院が開業70周年を迎える節目の年。地域の人々からの絶大な信頼はご当人と母上の努力は当然のこととして,同じ敷地内で産婦人科クリニックを開く夫君の存在によるところ大ともいえょう。

JJM誌上講座・23 効果的な専門職教育のために

教育の方法(その4) 平野 朝久
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 前回に引き続いて,個別指導の方法の有力な根拠および手がかりとなる研究について述べてみたい。今回は,前々回で掲げた表の3bの基になっている適性処遇交互作用(ATI)の研究についてである。

連載 話の聴ける助産婦になるために・11

カウンセリングによる心の理解

成長する心 大須賀 克己
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経験の記憶

 私たちは,生まれてから現在に至るまで,どれほど多くの人々に接してきたのでしょうか。人は人と出会うたびに経験を得ていきますので,生きた年月に比例してさまざまな体験が心の中に蓄積しているといえます。

 子供が生まれてまず最初に出会う人は助産婦の場合が大部分で,次に母親であるといっても過言でないかも知れません。生まれたばかりの子供にとっては,感覚がすべてであり,それらが彼らの未来に対する人生の方向づけに大きく影響していることが,ますます確認されてきています。生理的に反応する子供の経験は,知的に頭脳の中に記憶されることはなくても,無意識に定着したものとして,体に生き続けていくわけです。いずれにしても数ある出会いの中でも,最初の人との接触経験は,その後の人間関係に大変重要な意味があります。

連載 続・ペリネータルパソコン入門臨床応用篇・11

分娩の予後判定 久保 武士
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 本稿では,分娩の予後判定を,主として児頭骨盤不均衡が原因の難産の予測に限って,その予測をパソコンを使って行なう方法について述べる。

 産婦の骨盤が狭いと,程度問題ではあるが,分娩が順調に進行しないでいわゆる分娩遷延,微弱陣痛,前早期破水,感染などを招き,時に胎児仮死などで帝王切開になることがある。胎児仮死にならないまでも,骨盤が絶対的に狭い時は当然分娩は進行しない(児頭が骨盤内に嵌入・固定しなかったり,狭窄部以下に児頭が下降しない)ために帝王切開が必要になる。

Medical Scope

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 新生児や1歳未満の乳児の呼吸がおかしいとき,あるいは気道閉塞を示すとき,喉頭乳頭腫Laryngeal papillomaという腫瘍が喉頭にできていることがあります。この喉頭乳頭腫という腫瘍はウイルスによってできることがわかっていましたが,どうやらその感染源は母体であるらしいことが確実になりました。

 女性の外陰部や腟,子宮腟部には尖圭コンジローマや扁平コンジローマという小さい腫瘍ができることがありますが,この原因は,腫瘍ウイルスといわれているDNAウイルスの1つであるヒトーパピローマウイルス(HPV)の感染なのです。尖圭コンジローマは皮膚の腫瘍で,放置しておくとかなり増大することもあり,ことに妊婦では早く増大する傾向にあるのですが,通常分娩後には自然に消失します。

基本情報

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助産婦雑誌
43巻2号 (1989年2月)
電子版ISSN:2188-6180 印刷版ISSN:0047-1836 医学書院

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