特集 生命倫理と看護
生命倫理へのアプローチ—総合リハビリテーションの視点から
小野 清美
1
1千葉県立衛生短大
pp.25-31
発行日 1989年1月25日
Published Date 1989/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207540
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
人間一人一人の生命の重みは皆同じはずで,すべての人の命は尊重されなければならない。しかし,一人一人の「生命」が実際同等に大切に考えられているかといえばかなり疑問がある。
総理府の障害者対策推進本部が1987年7月に行なった「障害者に関する世論調査」の結果をみると,障害者との触れ合いを経験した人は46.6%で,半数近い人が体験していることは私には意外なうれしさであった。しかし,さらに「一緒に食事をしてくれますか」「一緒に入浴は……」という質問には,否定的な答えが多くなる。そして,「結婚相手として考えられますか」と聞くと,ほとんどの人は「NO」と答える1)。この結果は何を物語っているのであろうか。私はここに,障害者は別の人間,いや,それ以上に障害者は排除するものという思想を感じずにはいられない。この意識は出産に携わる助産婦においても変わらないのではないだろうか。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.