助産婦雑誌 31巻5号 (1977年5月)

ケース・レポート 糖尿病妊婦の管理・1

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1.はじめに

 人工妊娠中絶の適応とされてきた糖尿病患者の妊娠・分娩も,医学の進歩により安全性が高くなってきた。

 今回,内科医・産科医との協同管理により,薬物を使用せず,患者の母性意識を高揚させることによって,困難な食事療法を徹底させ,無事分娩させることができた「糖尿病妊婦の管理」について紹介する。

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1.はじめに

 近年の社会環境の向上は食生活などにも変化をもたらし,妊娠と糖尿病との合併例の増加傾向にあることが警告されている。しかも妊娠中の管理については,患者の居住地区や家庭環境等の差異により,画一的な実施が特に地方では困難なことが多い。

 今回私たちは,医師,助産婦,保健婦,栄養士が一体となり,第3回目の分娩で初めて健児を得ることができた糖尿病妊婦の1事例を経験したので,その概要を報告する。

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1.はじめに

 出産のために妻が親里に帰るのを里帰り分娩といい,この風習,慣習は日本において古くから行われていた一種の分娩の形態である。近年,核家族化,住宅問題,価値観の変容等により,この里帰り分娩も従来のような母と娘とのうるわしい人間関係を示すような面ばかりでなく,新しい傾向を示しつつある現状を把握し,あらたに生じた種種の問題点を追求し分析して,よりよき妊産褥婦,ならびに家族への保健指導を行うべくこの調査を行ったので,その概略を報告する。

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1.はじめに

 昔から子供を母乳で育てるということは,自然の理にかなった,ごく当たりまえのこととされているが,近年ほぼ母乳に等しい調製粉乳の出現,また,現在の社会状況を反映しての核家族,共働きの増加,母性本能の喪失等いろいろな条件がかみ合わされて,母乳栄養が安易に考えられてきたようにも思われる。

 現在当院での新生児栄養は混合栄養法をとっているが,今回,種々論議されている母乳栄養の利点,母乳の蛋白アレルギーの問題等をふまえて完全母乳栄養確立を主眼とし,まず,その基礎的研究のために,母乳確立の第一の危機と言われる産褥1週間の乳汁分泌量の実態を調べたので,いくつかの知見を混じえて報告する。

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1.はじめに

 新生児は出生と同時に母体と全く異なった環境へと変化を余儀なくされ,新生児自体の体内にはさまざまな変化が起こってくる。

 呼吸の開始はその中で最も重大なものの1つで,新生児を看護するものにとっては,出生後の第一呼吸の開始から安定した肺呼吸の確立までの注意深い観察が重要な課題である。最近の統計によれば,新生児死亡の半数以上は呼吸障害に起因するとされ,これは新生児の管理上特に注目されなければならない問題である。

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1.序論

 保健婦と助産婦の分野を学ぶ一学生として,今回,初産婦を継続して援助できる機会に恵まれた。近年,母子保健概念の拡大につれ,助産婦にも単に助産のみならず,生涯教育の必要性が問われ,その能力が要求されてきている。同時に,母子に関する問題は,将来を担ってゆく,より完成された人格形成を育む上でも重要であることは言うを俟たない。実際に実習するに当たっては,次の2項を自分の課題として実習を進めていった。

 1)初めての妊娠分娩を受容し,母親となってゆく過程における心身の変化を理解し,同時に生を受けた児の成長発育の過程を学ぶ。

 2)妊娠前〜産後の一連の過程における母子管理の重要性を学び,援助者としてのかかわり方,その能力,技術の向上に努力する。

産科医がみた世界の素顔・5

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第7章 新中国と婦人

 中国人はよくいう。「婦人は天の半分を支えています」と。これも毛主席の教えの1つなのだそうである。毛前主席はこう言明することによって,中国の婦人たちを励まし,婦人解放を唱えるとともに,その婦人たちの力なしには,革命の遂行や新中国の建設は不可能であることを,人民に強く訴えたものと思われる。

 例えば有名な毛語録(日本語版)の410頁には,次のように記されている。

わたしの助産術

トラウベ聴診法について 洲脇 絢子
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1.はじめに

 妊産婦を管理する助産婦にとって,胎児心音の聴取は,誠に重要な業務の1つである。その目的は胎児生存の確認と,胎位・胎向・胎勢,および単胎・双胎等の診断の他に,分娩時における胎児の切迫仮死の徴候を知ることにある。

 心音は胎児のバイタルサインとしての最も重要な情報であり,これを聴取する助産婦には常に客観的態度が要求される。

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§1 流産

 妊娠初期の出血は,流産・子宮外妊娠・胞状奇胎の3つが代表的なものである。この鑑別診断に超音波断層法は極めて役だつ。

 流産では子宮腔内のGS(円環状映像)が崩れかかっていたり,子宮下部の頸管近くに位置してくる。子宮腔内にGSがあるということが大切であり,またGSの形態が異常になっていることに注意する。逆にいえば,出血があっても,GSがしっかりした円環状で,しかも子宮底に近く位置していれば,流産予後は良好と考えてよい。図のGSは崩れかかっており,流産した。

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 私たち女性にとって最上級の形容詞,練馬大根なんて言葉がありますが,どこで作っていたのだろうと思わせるほど,すっかり住宅で埋めつくされてしまった練馬区あたり。昭和30年代初期,ポツポツ畑が家屋に変わり始めた頃に〈市川助産院〉もオープンしたそうです。

 まさにこの地の生え抜き的存在です。

Medical Scope

HBVの産道感染 島田 信宏
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 HB抗原,以前はAu抗原といわれていたB型肝炎を示すウイルスの母と子の感染の問題も,私たち,周産期医学にたずさわる者としてはたいへんに重要なものです。HB抗原といわれているものは,正しくはHepatitis B-type Virusといわれ,HBVと略して表現されます。以後は,HBVとここでも示すことにしましょう。

 母体がHBV陽性であると,これはウイルス感染症の特徴として,ウイルスは母体の血中にあるので,当然ながら,胎盤を通して胎児血中に入り,胎児へ血行感染することがあります。

母子衛生統計

妊娠の届出 中原 俊隆
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 母子保健法第15条には,妊娠したものはすみやかに妊娠の届出をするようにすべきことが規定されている。これは,妊婦を行政的に把握し,妊婦から産婦,乳幼児へと流れる母子保健対策を実施する出発点として重要なものである。

 妊娠した者は,すみやかに,保健所を設置する市においては保健所長を経て市長に,その他の市町村においては市町村長に妊娠の届出をすることとなっている。また,保健所を設置していない市町村長は,都道府県の設置する保健所長を経由して,都道府県知事に必要な事項を報告することになっており,いずれにしても,市町村および保健所に情報が集まり,各種の母子保健事業,たとえば健康診査,保健指導,訪問指導などが行われることとなる。なお,この届出は,妊婦の義務規定とはされていない。保健指導などの保健福祉の措置との関連において届出を励行させ,妊婦を早期に行政的に把握することは望ましいことではあっても,妊娠したという事実は,あくまでも個人ないし妊婦とその相手方との問題であって,第3者の介入すべき事柄ではない。このことは,妊娠した者に対し,保健サービスを提供する立場にある行政機関についても同様である。したがって,届出を妊婦の義務とはせず,あくまで妊娠の届出制の本旨についての正しい理解のもとに,妊娠した者,本人の自発的意志に基づく届出に期待しようとしているのである。

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 乳児の哺育については,母乳か人工栄養か専門家の間でも長いこと論議の的になっている。私たち助産婦も,母乳の利点の多いことを信じ保健指導をしているわけであるが,母親は始めそれがなかなかうまくゆかず,新生児の泣声に負けてすぐ人工栄養すなわち哺乳ビンで与えようとする。それはあまりにも手近かに粉ミルクがあり満腹させられるからではないだろうか。また入院中,母乳の授乳がうまくいったからといって,必ずしもその後も母乳で育てられるとは限らない。

 職業をもっている婦人はともかくも,核家族になっている現今,わが家へ帰れば,母親として,妻として,もろもろの仕事が待っている。たとえ母乳で育てようと決めていても,しなければならないことが数限りなくあり,新米の母親は不安定な状態に陥りがちで,また自信をなくしたり,哺乳ビンを使用したりすることによって,母乳哺育に必要な泌乳反射が起きなくなり,母乳哺育を続けられなくなってしまうこともある。

分娩体験記

ある産婦の叫び
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 元看護婦だった私が,自分の出産体験を通じて感じたことを,特に自然分娩主義の医療従事者の方々に,産婦のため一考していただきたく筆をとった。

 私は某大病院の産科病棟で自然分娩した。私のお産は医学上,正常分娩。安産中の安産だったが,私にとっては安産なんて一語でかたづけられる容易なことではなかった。生まれて初めてといってもよい激痛体験だった。

インターホン

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 子育ての時代の終焉を目前にし,これから歩む人生の選択を痛感する人たちと共に「聖書の中の女性像」をテーマに読書会を続けて1年がすぎた。今月は旧約聖書「出エジプト記」第1章第8〜第2章20節だった。ここには,エジプト王のとった,対イスラエル抑圧政策が記されている。

 1章15節以後に,「15またエジプトの王は,ヘブルの女のために取り上げをする助産婦で,ひとりは名をシラフといい,他のひとりは名をプアという者をさとして言った。『ヘブルの女のために助産をするとき産み台の上を見て,もし男の子ならばそれを殺し,女の子ならば生かしておきなさい』。しかし助産婦たちは神をおそれ,エジプトの王が彼らに命じたようにはせず,男の子を生かしておいた。

基本情報

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助産婦雑誌
31巻5号 (1977年5月)
電子版ISSN:2188-6180 印刷版ISSN:0047-1836 医学書院

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