綜説 行政面から
新生児死亡—死産届にうずもれる生後死亡の赤ちゃん
渡辺 清綱
1
1都庁母子衛生課
pp.21-26
発行日 1960年11月1日
Published Date 1960/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202017
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助産婦か産婦人科の医師であれば,このことがあることはだれもが知つておられることと思いますが,どの位の数があり,またこの事実がどのような結果を産んでいるかをしんけんに考えたことがありますか.
昭和33年の国民衛生の動向に,最近"Perinatal deaths"—「出産前後の死亡」ということに関心がもたれるようになつたと第1表のような資料がでていた.早速東京についても調べてみると後述のような事実を知つた.これでみると,東京の生後第Ⅰ週の死亡率は世界一に少い.また日本全体でもアメリカよりも少い.しかし,妊娠第28週以後の死産率は,日本は17カ国の中,ポルトガルについで2番目に多く,東京も多い方から3番目のイタリアと日本全国との間にある事を知つて,今更のように,ぼんやりと生後死亡の赤ちやんのいくらかが死産届の中に入つているだろうという考えから,もしかすると,日本や,東京の厚生省発表の乳児死亡率より実際はかなり多いのではないだろうかという疑問に発展していつた.
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