特集 母児救急のファースト・ステップ
産婦人科救急症例取り扱いの基本
大川 昭二
1
,
正木 雄三郎
1
,
竹内 繁喜
1
,
小倉 久男
2
,
小島 誠介
2
,
横山 元信
2
1大川病院
2東邦大学医学部産婦人科
pp.248-254
発行日 1981年4月25日
Published Date 1981/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205834
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はじめに
妊娠分娩管理法(周産期医学)の発展と救急対策に対する医療システムの整備,さらにショックの病態生理の解明等に伴って,母体および新生児死亡(周産期死亡)は次第に減少している。
私どもが実際に産婦人科救急症例を取り扱ってきた印象では,妊娠分娩に関連したケースよりも,いわゆる婦人科的急性腹症が次第にウエイトを占めてきているような感じをうける。表1はこの5か年間に取り扱った救急車搬入の症例である。これらの症例のうち最も問題になるのは,①流産,前置胎盤,胎盤早期剥離,子宮外妊娠,産褥子宮復古不全,子宮筋腫および子宮癌等による失血ショック,②最近は少なくなってきたが心肺合併症を有する重症妊娠中毒症例,③切迫早産,分娩第2期異常,妊娠合併症等の中毒症以外のいわゆるhigh risk pregnancyに対する対策,すなわち母体胎児を包括したemergency caseである。
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