私と読書
母乳哺育を"喜び"として—「母乳哺育」を読んで
山田 敦子
1
1国立大蔵病院
pp.326-327
発行日 1977年5月25日
Published Date 1977/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205214
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乳児の哺育については,母乳か人工栄養か専門家の間でも長いこと論議の的になっている。私たち助産婦も,母乳の利点の多いことを信じ保健指導をしているわけであるが,母親は始めそれがなかなかうまくゆかず,新生児の泣声に負けてすぐ人工栄養すなわち哺乳ビンで与えようとする。それはあまりにも手近かに粉ミルクがあり満腹させられるからではないだろうか。また入院中,母乳の授乳がうまくいったからといって,必ずしもその後も母乳で育てられるとは限らない。
職業をもっている婦人はともかくも,核家族になっている現今,わが家へ帰れば,母親として,妻として,もろもろの仕事が待っている。たとえ母乳で育てようと決めていても,しなければならないことが数限りなくあり,新米の母親は不安定な状態に陥りがちで,また自信をなくしたり,哺乳ビンを使用したりすることによって,母乳哺育に必要な泌乳反射が起きなくなり,母乳哺育を続けられなくなってしまうこともある。
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