手術 72巻2号 (2018年2月)

  • 文献概要を表示

腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparoscopic cholecystectomy;LC)が始められて30 年が経とうとしているが,今日まで手技の安定化が図られ,定着してきた1-3)。同時に腹腔鏡手術は多方面の手術に応用され,難度の高いアドバンス手術に広がり続けてきた。最もチャレンジングな手術にあげられる肝胆膵領域でもその施行例は確実に増えている。

  • 文献概要を表示

急性胆嚢炎を根治させる治療手段は胆嚢摘出術であり,現在では腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparoscopiccholecystectomy;LapC)が広く行われている。手術時期に関しては,長期間にわたる検討により待機手術よりも早期手術が望ましい,とするエビデンスが多く示されている1,2)。

  • 文献概要を表示

腹腔鏡手術が飛躍的に進歩し,手術の精緻化,高難度手術へ適応拡大の一方で,腹壁破壊をさらに減じて整容性を高めたscarless surgery への関心が高まり,natural orifice の1 つである臍を利用した単孔式内視鏡外科手術が2008 年より米国で臨床応用されるようになった。日本でも,筆者らを含めた有志がこの手術に取り組み,2009 年初頭から始まった爆発的な普及に伴い,2010 年2月から単孔式内視鏡手術研究会が開催され,技術的困難度が高いとされるこの手技の安全な普及に貢献してきた1-3)。

  • 文献概要を表示

胆嚢癌疑診例に対して,「胆道癌診療ガイドライン」においては,いくつかの想定されるリスクから腹腔鏡手術は推奨されず,原則的に開腹手術が推奨されている1)。しかし,診断モダリティと治療手段の両面を併せ持つ腹腔鏡手術の特性を活かすことで,その問題点を克服できる可能性がある。われわれは今まで,胆嚢癌疑診例において審査腹腔鏡と術中迅速病理診断の組み合わせにより術前診断の不足を術中に補い,テーラーメイド治療を目指した腹腔鏡手術を軸とする治療アルゴリズム(図1)に則った治療を報告してきた2,3)。

  • 文献概要を表示

総胆管結石に対する手術治療は,そのアプローチにより,2 つに大別される。内視鏡的胆管切石と(腹腔鏡下)胆嚢摘出術をそれぞれ行ういわゆる二期的方法(two stage),手術的(腹腔鏡下)に胆管切石と胆嚢摘出術を同時に行う一期的方法(single stage)である。二期的方法は内視鏡的治療を手術前か,手術後に行うもので,内視鏡の術者が必要である。一期的治療は1 回の手術で治療を完結させることができる方法であり,患者にとって利点がある。総胆管結石に対しては二期的治療が広く行われている1)。これは,腹腔鏡下胆嚢摘出術の黎明期と内視鏡的乳頭切開切石術(endoscopicsphincterotomy;EST)の手技の向上と普及時期が重なったためである。しかし,ESTの長期成績(胆管結石累積再発率)や十二指腸乳頭機能障害,患者の入院期間,侵襲回数を考慮すると,一期的手術の優位性は理解できよう2)。ただし,乳頭部嵌頓結石やドレナージが必要な急性胆管炎,胆石性の膵炎に対しては,一期的手術に固執することはなく二期的治療が適応される。

  • 文献概要を表示

総胆管結石治療の歴史は古いが,内視鏡外科手技が発展した今日に至ってもなおわが国では内視鏡下乳頭切開術(endoscopic sphincterotomy;EST)が主流である。

  • 文献概要を表示

先天性胆道拡張症の標準術式は,肝外胆管切除・Roux-en-Y 肝管空腸吻合であるが,男女比1:3 と若年女性に多く発生することから低侵襲で整容性に優れた腹腔鏡手術の良い適応である1-4)。また,腹腔鏡下での膵内胆管の十分な切除,肝管空腸吻合術は多くの症例で開腹手術同様に施行可能である。われわれの行っている先天性胆道拡張症の腹腔鏡手術と注意点や限界について報告する。

  • 文献概要を表示

近年,小児に対する腹腔鏡手術の発展に伴い,胆道拡張症に対する腹腔鏡手術が積極的に行われるようになっている1)。非拡張型・軽度総胆管拡張型膵胆管合流異常(以下,本症)は嚢腫型・紡錘型胆道拡張症に比べて小児例はまれであるが,同様に腹腔鏡手術の適応となり得る2)。当科の経験から,主に小児における本症に対する腹腔鏡手術のポイントを述べる。

  • 文献概要を表示

腹腔鏡下胆管空腸吻合術は,腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術,腹腔鏡下先天性胆道拡張症手術,胆管狭窄に対するバイパス術などで行われる手技の1 つである。腹腔鏡下で行う胆管空腸吻合の安全性は不明確で,開腹下胆管空腸吻合術と腹腔鏡下胆管空腸吻合術の2 群で比較検討した報告はみられない。

  • 文献概要を表示

頸部食道癌での遊離腸管移植や腹部食道癌(食道胃接合部癌)での下部食道噴門側胃切除といった特殊な術式を除き,通常の胸部食道癌切除後の再建には胃管を用いることが標準的である。しかし,胃切除後や同時性胃癌などで胃管を使用できない場合には結腸や空腸が再建臓器として使用される。アプローチ法(開胸・胸腔鏡)や再建経路(胸壁前・胸骨後・後縦隔),吻合部位(頸部・胸腔内)を総合すると術式のバリエーションは多い。

  • 文献概要を表示

食道癌に対する食道切除後の再建術は,①胃授動,②胃管作製,③胃挙上,④食道胃吻合からなるが,各々にバリエーションが多く,さまざまな利点・欠点を有している。どの術式を選択して組み合わせるかは,施設によりさまざまで,それぞれの術式の有用性が報告されている1,2)。しかし,どの術式を採用するのであれ,再建胃は先端まで血流の良い状態で頸部まで余裕をもって挙上でき,術後QOL の向上が得られる機能を有することが重要である。さらに,頸部食道胃管吻合では,縫合不全の発症が低頻度で,狭窄が少なく簡便で安価な方法が望ましい。

  • 文献概要を表示

Atlanta 分類2012 1)により,急性膵炎の膵局所合併症は発症からの経過時間と壊死の有無によって4 つのカテゴリーに分類された。わが国における『急性膵炎診療ガイドライン2015』2)においても同様に4 カテゴリーに分類され,感染の有無により治療の適応,治療法が示されている。感染性walled-off necrosis(WON)に対してはドレナージ,ネクロセクトミーが適応となるが,ドレナージによる治療効果が得られない場合にはネクロセクトミーが行われる(step-up approach 法)3,4)。われわれは,経皮的ドレナージを含む内科的治療抵抗性の感染性WON に対して後腹膜鏡補助下ネクロセクトミーを行っており,その手技と利点を紹介する。

  • 文献概要を表示

正中弓状靱帯圧迫症候群(median arcuate ligamentsyndrome;MALS)とは,腹腔動脈起始部が弓状靱帯に圧迫され外因性狭窄をきたす疾患であり,呼気時や食後の腹痛などの症状をきたすことが知られている1)。また,上腸間膜動脈を介した代償血流の増加により,膵十二指腸動脈アーケードに動脈瘤を生じることも報告されている2-5)。動脈瘤破裂に対してはカテーテル塞栓術が必要になるが,動脈瘤の再発予防に際しては圧迫解除が必要であり,弓状靱帯切除が行われる報告が多い2,3,5)。近年では腹腔鏡下での弓状靱帯切除の報告が散見されるが6),今回,われわれの行った腹腔鏡下弓状靱帯切除術の手術手技について概説する。

  • 文献概要を表示

食道癌根治術を行う際,右胸腔内の視野を確保し安全に手術を遂行するために,左片肺換気を行うことが一般的である。わが国で胸腔鏡手術が登場して約20 年が経過し,手術手技・周辺機器の向上によって,両肺換気下での手術報告も散見されるようになった。当教室では,1996 年より左側臥位完全胸腔鏡下食道癌根治術(video assistedthoracoscopic surgery for esophageal cancer;VATS-E)を導入し1-4),2010 年より人工気胸を併用しVATS-E を行ってきた5)。人工気胸を併用することにより手術視野確保は格段に向上し,両肺低換気量下の手術も可能となり,呼吸機能低下症例に対しても安全に手術が遂行され得ている。

  • 文献概要を表示

2012 年の改訂アトランタ分類により,膵炎の局所合併症としてみられる限局した液状物質貯留は,壊死のあり・なし,発症からの経過時間により4 カテゴリーに分類された1)。すなわち,間質性浮腫性膵炎後に発生してくる液体貯留を,発症後4 週以内の急性膵周囲液体貯留(acute peripancreaticfluid;APFC)と4 週以降の膵仮性嚢胞(pancreatic pseudocyst;PPC) に分類し,壊死性膵炎後に発生してくる壊死性貯留を発症後4 週以内の急性壊死性貯留(acute necrotic collection;ANC),4 週以降の被包化壊死(walledoffnecrosis;WON)に分類している。壊死性膵炎に対してはインターベンション治療の適応とされており,壊死層が十分に被包化されたWONの時期に行うことが推奨されている2)。また,低侵襲的アプローチから侵襲的アプローチへと,治療効果に従って段階的に侵襲の程度を強めていく方法( step-up approach法) が普及してきている。

  • 文献概要を表示

食道癌術後の横隔膜ヘルニアは比較的まれであるが,腸管切除を要する症例や重篤化し死亡する症例1)もあるなど,注意すべき術後合併症の1つである。昨今の胸腔鏡手術や腹腔鏡手術の普及に伴い,胸腔内や腹腔内の手術操作に伴う癒着が少なくなったことで,術後の横隔膜ヘルニアは増加傾向にあるとされている2)。

------------

目次

会告

投稿規定

バックナンバーのご案内…

次号予告

基本情報

op72-2_cover.jpg
手術
72巻2号 (2018年2月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0037-4423 金原出版

文献閲覧数ランキング(
9月21日~9月27日
)