medicina 56巻3号 (2019年3月)

特集 TPOで読み解く心電図

西原 崇創
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 心電図ほど永らく第一線で活躍している検査はないように思う.最近では,スマートフォンで心拍監視や心電図記録ができるようになり,患者自身が心電図を外来にもち込んでくることも珍しくなくなった.これほどポピュラーな検査でありながら,「心電図が読めない」「心電図は苦手」ということをよく聞く.意外と思われるかもしれないが,かく言う私も若い頃は,心電図アレルギーを患っていた.そんな私が心電図を読めるようになったコツは,ほんの些細なことに気をつけるようになってからだ.心電図が読めない,もしくは苦手という人は,多くの場合,重要所見と単なる異常所見とを同列に見てしまう.心電図には正常範囲とされる定義があるが,定義上「異常=病気」ではない.この当たり前に気づくことは,心電図判読上とても重要である.

 では,重要所見を見逃さないようにするにはどうすればよいだろうか? 例えば,胸痛や失神など,主訴や患者背景を基に具体的な疾患を思い浮かべながら重要な所見が隠されていないかを考えたり,想定した疾患と所見が矛盾しないかどうかを考えたりすることは,とても効果的である.60歳台男性の胸痛と,30歳台女性の同様な症状とでは,仮に同じような心電図所見であっても得られる結論が異なるのは当然であり,その際,些細な所見に過剰なフォーカスを当てるのはおかしなことだと思えるはずだ.

特集の理解を深めるための25題

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研修医はもちろん,心電図に携わる看護師や検査技師からも「どうすれば心電図を読めるようになりますか?」「効率の良い勉強法はありますか?」とよく相談されます.ですが,実際に心電図を勉強しても,なかなか読めるようにならなかったり,循環器専門医に上手く情報提供できなかったり,悩みを抱えている方が多いと思います.この座談会では,私も含め皆さんが循環器専門医としてキャリアを積まれてきたなかで,どのように心電図を読めるようになってきたのかについて,苦労話なども含めて話していきたいと思います.(西原)

症候から考える

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Point

◎胸痛患者を鑑別するに当たって,心電図は最も簡便で短時間で行える検査である.

◎まずはST-Tを評価して急性冠症候群を除外する.急性冠症候群の診断は心電図で!

◎右冠動脈の急性冠症候群の場合,V1のSTに注目して大動脈解離を鑑別する.

◎肺血栓塞栓症では意外にSⅠQⅢTⅢは少ない.

◎“パッ”と見てvoltageが低い心電図は要注意.

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Point

◎動悸の性状を“flip-flopping”,“rapid-fluttering”,“pounding in the neck”に分けて考え,心電図波形を推測する.

◎動悸の性状だけでなく,開始・停止様式,発作誘発因子,随伴症状,年齢,家族歴を含めて聴取することで,真の不整脈なのか,危険性のある不整脈なのか予測することもできる.

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Point

◎心電図の原理は形を変えて,さまざま検査方法に応用されている.

◎いくつかの検査方法を組み合わせて,失神の原因を特定していく.

◎得られた情報を利用して,確実な病態診断に結び付けていく.

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Point

◎息切れの原因となる基礎心疾患を心電図から類推する.

◎間欠的な息切れに対しては,発作時の心電図を記録する.

◎労作時の息切れに対しては,運動負荷試験などで労作時の状況を再現する.

場面(救急)から考える

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Point

◎頻脈性不整脈は,起源として心房性または心室性に大別される.心電図所見のQRS波幅の鑑別,身体所見,血行動態,合併心疾患の把握が重要である.

◎処置・治療の緊急性の有無を的確に判断する必要がある.心室性不整脈の場合は,専門医への早急なコンサルテーションを考慮する.

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Point

◎救急外来で徐脈に遭遇した場合,まずバイタルサインを確認した後,12誘導心電図検査を施行するべきである.

◎救急外来受診時の主訴を把握し,徐脈による症状かどうかを評価することが重要である.

◎徐脈には洞不全症候群と房室ブロックがあり,それぞれは心電図の所見でさらに細分類されるが,重症度を把握するうえでそれらを押さえておく必要がある.

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Point

◎QT延長は突然死のリスクマーカーである.

◎二次性QT延長は,①心電図にてQT延長が認められること,②通常の心電図ではQT間隔が正常であること,③QT延長をきたす要因が存在することで診断される.

◎QT延長を起こす要因(薬など)に増悪因子(徐脈,電解質異常,心不全など)が加わると,多形性心室頻拍(TdP)が発現しやすくなる.

◎二次性QT延長に対して,QT延長の要因を特定し,その曝露から回避することが治療の基本である.

場面(外来)から考える

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Point

◎年齢によって,心拍数,QRS軸,QT時間,T波,心室肥大の基準が異なる.

◎小児の心電図は生後右室優位であり,成長とともに左室優位に変化する.

◎心臓の位置異常や形態異常,遺伝性不整脈の観点で心電図を読み解く.

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Point

◎QT(QTc)間隔は女性のほうが長く,薬剤による致死性不整脈のリスクも女性のほうが高い.

◎ST部分には性差が反映されやすく,虚血性心疾患,なかでも急性心筋梗塞の診断では注意を要する(特に,中年までの男性).

◎若年男性の心電図では,一般的な左室肥大基準では偽陽性となることが多い.

◎中高年女性に多い非特異的ST-T変化は,無症状・低リスクなら精査不要である.

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Point

◎60歳以下(特に50歳以下),安静時・夜間,運動中の突然死の家族歴には特に注意する.

◎スクリーニングとしては,心電図所見で「QRS波〜T波にかけて見慣れている正常心電図と何となく違う」という感覚をもつことが重要である.

◎突然死の家族歴をもち心電図異常を伴う症例では,Brugada症候群,早期再分極症候群,先天性QT延長症候群(LQTS),不整脈原性右室心筋症(ARVC),肥大型心筋症を考慮する.ハイリスク症例では,専門医受診まで誘因を避けるように指導する.

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Point

◎健診心電図の意義は,予後リスクの層別化に有用な点である.

◎心電図所見に対して介入するのではない.

◎基礎心疾患の有無を明らかにし,一次予防として介入すべき目標を定める.

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Point

◎基本的に,症状のない徐脈は安全である.

◎本当に症状がないかどうかは,注意深く問診を取って確認する.それでわからなければ,運動負荷心電図を行い,運動耐容能が保たれているか,心拍数が上がるかを確認する.

◎症状がなくても,昼間の房室ブロックには危険なものが含まれている可能性がある.

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Point

◎QT延長には,イオンチャネルの遺伝子変異のためにQT時間が延長している先天性QT延長症候群と,薬剤などの誘因が加わった場合にQT時間が延長する二次性QT延長がある.

◎先天性QT延長症候群の診断は,Schwartzらによって報告されたリスクスコアを用いて行う.

◎先天性QT延長症候群では,たとえ無症状の患者でも初回イベントで突然死するリスクがあることを念頭に置いて対応する.

◎二次性QT延長の患者に対しては,QT延長の原因を特定して除去および是正を行う.

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Point

◎急性冠症候群は,冠動脈粥腫の不安定性に起因する虚血症状の不安定性に特徴付けられ,粥腫,症状ともに安定している安定虚血性心疾患と根本的に異なることを理解する.

◎冠動脈閉塞に伴い,特徴的な経時心電図変化が生ずることを理解する.

◎ischemic cascadeのなかでの心電図の位置付けを理解し,判断に困る際には1枚の心電図で結論付けないように心掛ける.

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Point

◎ST上昇は急性心筋梗塞の局在部位と一致するが,ST低下にはST上昇の鏡面像としての変化と心内膜下の虚血としての変化があり,必ずしも局在部位と一致しない.

◎冠動脈疾患にはさまざまなパターンがあり,局在部位を推測する際には解剖と病態をよく理解する必要がある.

◎ST低下をきたしている誘導数が多い場合,aVR誘導におけるST上昇は,広範囲の心筋虚血を反映している.

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Point

◎心室細動は,迅速な救命措置を要する致死性不整脈である.

◎心筋梗塞発生後の心室細動予測因子として,特徴的な心電図所見がいくつか報告されている.

◎心筋梗塞時の心臓調律異常も心室細動発生に関与する.

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Point

◎透析患者では心血管疾患と心房細動の合併が高率にみられる.

◎透析により酸塩基平衡や電解質(K,Ca,P,Mg)が変化することで,心電図異常をきたすことがある.

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Point

◎年齢,家族歴,心臓外所見,そして心エコー検査での肥大の分布から原因疾患を想起したうえで心電図所見を見ていく.

◎左室肥大所見(左側胸部誘導の高電位や左室のストレインパターン)のみならず,PR時間,異常Q波の有無,ST-T変化の部位と程度も重要である.

◎目の前の心電図のみならず,以前の心電図からの変化を見ることは,疾患鑑別だけでなく病態把握にも有用である.

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Point

◎心電図から慢性肺疾患を疑う場合,まず注目すべき所見はP波の変化である.特にⅡ,Ⅲ,aVF誘導に描かれる0.25 mV以上の尖鋭化したP波を肺性Pといい,肺疾患による右房負荷を示す所見として広く知られている.

◎QRS波は,電気軸,移行帯の偏位,QRS群の変化などに着目して判読する.特に経時変化が重要で,新たに出現した30°以上の右軸偏位や,移行帯のより時計方向への回転,右脚ブロックへの変化などを見つけたときは,肺疾患を疑う鍵となる.

◎息切れや胸痛などの胸部症状で受診した患者の胸部誘導に,しばしば陰性T波を認める.まずは肺疾患と虚血性心疾患の鑑別が求められ,T波の深さやその分布などを詳しく判読し,さらに他の心電図所見や病歴,診察,検査と併せて診断,治療へと進める.

◎慢性肺疾患の心電図に特異的な所見はない.わずかな変化や異常を詳しく観察し,総合的に考察することで,初めてその背景に慢性肺疾患を疑うことができる.

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Point

◎肺高血圧症に特徴的な心電図所見は,右心負荷所見である.右心負荷所見は,①右室肥大所見,②右房負荷所見,③右室負荷所見に大別され,なかでも①右室肥大所見が重要である.

◎右室負荷所見を正確に理解し,急性肺血栓塞栓症に代表される急性右心負荷所見と,肺高血圧症などの慢性右心圧負荷所見を心電図で見分ける.

◎肺動脈性肺高血圧症や慢性血栓塞栓性肺高血圧症では,治療により肺動脈圧の低下が得られれば心電図上の右心負荷所見が軽快するため,経時的な心電図による観察は重要である.

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Point

◎心房細動の誘因となる心房期外収縮の多くは肺静脈から発生し,心房細動を有さない症例と比較すると連結期が短い特徴を有する.

◎心房期外収縮数の増加や連発する持続時間により,心房細動の新規発症が年率1.5〜2%程度認められる.

◎CHADS2 score 2点以上の症例では,心房期外収縮が多いと心房細動の新規発症が年率4%程度まで増加する可能性がある.

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Point

◎心室期外収縮の診療で重要なのは,基礎心疾患の有無と自覚症状の強さである.基礎心疾患を伴わない,無症状の心室期外収縮は予後良好であり,治療を必要としない.

◎基礎心疾患の有無は,病歴,理学的所見,12誘導心電図,胸部単純X線写真,BNP値で判断する.これらに異常がみられれば,心エコー検査を施行する.

◎典型的な狭心症状がある場合,冠危険因子が濃厚な場合は,運動負荷試験あるいは冠動脈CT,心筋核医学検査を施行する.

◎24時間心電図検査は,症状と心室期外収縮の関連性が不明な場合,薬物治療を予定している場合,12誘導心電図で心室期外収縮≧3個/10秒の場合に施行する.

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Point

◎胸痛時や運動負荷後の一過性陰性U波は,虚血性心疾患を示唆する.

◎非特異的ST-T変化は患者の属する集団の特性を考慮し,病的意義を解釈する.

◎QT間隔の計測時にT波の終末が判別しにくいときは,T波の後半部分で最も角度のついた(傾きの絶対値の大きい)ところに接線を引き,基線との交点をT波の終末とする.

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Point

◎頻脈の場合はまずバイタルサインを確認し,QRS幅が狭いか,広いかを区別する.

◎QRS幅の広い頻拍でバイタルサインが安定している場合は,必ず12誘導心電図を取る.特異性の高い所見(胸部誘導でRS型ではない,前胸部誘導でRS≧100 ms以上,房室解離,北西軸,Ⅱ誘導のR-wave peak time≧50 msなど)を見つけたら,心室頻拍(VT)と診断してよい.

◎上室性頻拍(SVT)かVTかで迷う場合は,まず治療してから後でレビューする.

◎ATPの急速静注は時に有効である.

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Point

◎1992年にBrugada症候群が報告されて以降,本症候群が周知されるとともにその患者数は増えている.昨今では患者の様相も変化しており,無症候でBrugada症候群と診断されるケースが増えてきている.

◎自然発生typeⅠ心電図と有症候Brugada症候群以外のリスク指標は文献によって結果が必ずしも一致せず,いまだ議論の余地が残っている.

◎心室プログラム刺激によるリスク層別に対して否定的な大規模レジストリーも多いが,それらを集めたメタ解析では有効であることが報告されている.

◎無症候Brugada症候群において,心室プログラム刺激の陰性的中率は非常に高く,陰性であればその患者はリスクが低いといえる.心室プログラム刺激陽性においては,その他の項目も加味してリスク評価する.

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 上肢の麻痺の診方に比べて,下肢麻痺の検出法について記載されている論文は少ないです.下肢麻痺を検索する代表的な方法としては,Barréの下肢試験とMingazziniの下肢試験(いわゆるMingazzini徴候),下肢外旋テストがあります.外来で簡単に実施できる診察法です.これらの試験について,一緒に勉強しましょう!

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ポイント

救急対応によって劇的に良くなる認知症として硬膜下血腫があります.急性発症がポイントで,軽微な麻痺,言葉のもつれに留意します.

連載 母性内科の「め」 妊婦・授乳婦さんのケアと薬の使い方・9

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症例

 28歳のDさんは関東に在住する妊娠13週の女性です.25歳頃から春先になるとくしゃみと鼻水が多くなり,「私も花粉症なのかな」と思いつつ過ごしていました.例年,3月頃から症状が出始め,市販されている花粉症の薬を飲むことで症状が軽くなり,5月の連休を過ぎると薬を飲まなくても過ごせるようになっていました.初めての妊娠を迎え,今年の春は薬を飲まずに乗り切りたいと思っていたDさんでしたが,2週間ほど前から外に出るとくしゃみと鼻水が止まらず,くしゃみと同時にお腹にぐっと力が入ってしまうことがあります.また,目のかゆみも出てきました.数日前からは夜寝るときに息苦しくて寝つきが悪くなったため,3月某日,近くの内科を受診し相談することにしました.

Dさん:「目がかゆくて鼻水が止まらないんです」

連載 ストレスと病気のやさしい内科学 診療の幅が広がる心療内科の小ワザ集・5

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 今回取り上げるケースは,日常診療でも非常によくみる生活習慣病の1つ,糖尿病です.

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事例

 地方都市にある500床の病院の総合内科医(13年目)として働いているあなたは,1年前に他病院から移ってきた.臨床,研修医教育ともに多忙であるが,総合内科は完全な主治医制となっており,夜間,休日でも患者の急変には主治医(研修医の場合もある)が呼び出される.さらに指導医であるあなたにも電話がかかってくるため,心理的に完全に仕事からオフになることは難しい.また月に4,5回の内科当直を担当するが,当直明けも基本的には通常業務である.2,3回に1回は徹夜となり,翌日の業務は非常につらく,このままでは医療事故につながるかもしれないと考えられた.

 あなたは他病院で勤務した経験や最近の「働き方改革」の視点から,「17時以降は当直医への引継ぎ,夜間・休日は完全に当直医制の導入を旨とした,複数主治医/グループ診療制への変換」を総合内科部長に提案した.ところが部長は「完全主治医制じゃないと一人前の医師は育たない.自分が若い頃はもっと患者さんが多くて大変だった.今はもっと楽だし,患者さんにしっかり向き合う姿勢が育たない」と反対の立場をとり,あなたは途方に暮れてしまった.

連載 目でみるトレーニング

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 タラスコンといえば南仏プロヴァンスの町.紀元前に退治されたという怪物タラスクに思いを馳せる盛大なお祭りが,落ち着いた街中で盛大に行われるという.でも救急の世界ではタラスコンは怪物にも似たものすごい膨大な情報を詰め込んだ『タラスコン救急ポケットブック』を意味する.コンピューターや電子書籍が発達した昨今,膨大な量の情報を持ち歩けるようになったとは言うものの,検索の素早さ,目の通しやすさにおいては,やはり目の前にある書籍に勝るものはない.

 救急の良書は最近たくさん世に出ている.診断学を鍛える本は多いものの,診断が付いた後の治療まで手を伸ばすのはなかなか難しい.そんな膨大な情報を包括できる本など持ち歩けるはずもない.ところが,パッパラパッパパァ〜ララ〜(ドラえもんのひみつの道具を出すときのジングルで)! このタラスコンはまさしく知識の宝庫,実臨床で使う情報が細かく書いてある.

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 これまでは人間の健康状態を健康か病気かという二分法で区分して対処してきた.しかし,その両者は連続した変化のなかで存在している.特に生活習慣病の分野では,人はある日突然病気に陥るのではなく,予兆段階を経て発症し,重篤化していく.こうした流れを念頭に置いて,従来型の健康観とは異なった,個人の自立的意思や予防・回復努力を重視した新しい健康観「未病」が提唱されている.

 本書でいう「グレーな症例」への対応策は,まさしくこの未病的な健康観に符合するものと思われる.これはわが国で通例行われている医療スタイル,すなわち公的医療保険が想定する医薬品や手術に依拠する典型的な治療方法に一石を投じる新時代のスタイルである.治療の手段として,運動や食事療法を重要な選択肢に加えた「生活処方箋」という考え方は,健康寿命の延伸をめざす人生100年時代という人生の健康サイクルに目を向けた注目すべき方法論である.

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 私が診療放射線技師を目指して本邦初の技師養成大学教育に学んだのは,まもなく終わろうとしている平成の時代が始まった年のことである.そして,先見の明をもってその教育カリキュラムに開講された学科目『磁気共鳴論』は,MRIの基盤原理である核磁気共鳴現象やその医学応用であるMRI検査を体系的に学ぶ,わが国で初めての本格的な講義だったと記憶する.しかし,当時MRIという言葉すらまったく聞き覚えのない初学者の私たちが,網羅的に『磁気共鳴論』を学べる書籍はごくわずかであり,手に取る教科書は難解な物理学や量子力学の数式の記述から始まるとても敷居の高いものであった.

 あれから30年,MRI装置は国内の医療施設に次々と設置され,今やMRI検査は誰もが一生に一度は受けうる一般的な画像検査となった.私は本書に目を通し,そのようなMRI検査に携わる全ての医療専門職,あるいは医療専門職を目指して全国の養成機関で学ぶ多くの学生にとって待望の書籍であると確信した.

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medicina
56巻3号 (2019年3月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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