特集 TPOで読み解く心電図
背景から考える
心電図から慢性肺疾患を読む
大島 一太
1
1大島医院
pp.486-492
発行日 2019年3月10日
Published Date 2019/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226090
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Point
◎心電図から慢性肺疾患を疑う場合,まず注目すべき所見はP波の変化である.特にⅡ,Ⅲ,aVF誘導に描かれる0.25 mV以上の尖鋭化したP波を肺性Pといい,肺疾患による右房負荷を示す所見として広く知られている.
◎QRS波は,電気軸,移行帯の偏位,QRS群の変化などに着目して判読する.特に経時変化が重要で,新たに出現した30°以上の右軸偏位や,移行帯のより時計方向への回転,右脚ブロックへの変化などを見つけたときは,肺疾患を疑う鍵となる.
◎息切れや胸痛などの胸部症状で受診した患者の胸部誘導に,しばしば陰性T波を認める.まずは肺疾患と虚血性心疾患の鑑別が求められ,T波の深さやその分布などを詳しく判読し,さらに他の心電図所見や病歴,診察,検査と併せて診断,治療へと進める.
◎慢性肺疾患の心電図に特異的な所見はない.わずかな変化や異常を詳しく観察し,総合的に考察することで,初めてその背景に慢性肺疾患を疑うことができる.
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