特集 TPOで読み解く心電図
扉
西原 崇創
1
1東京医科大学八王子医療センター
pp.391
発行日 2019年3月10日
Published Date 2019/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402226069
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心電図ほど永らく第一線で活躍している検査はないように思う.最近では,スマートフォンで心拍監視や心電図記録ができるようになり,患者自身が心電図を外来にもち込んでくることも珍しくなくなった.これほどポピュラーな検査でありながら,「心電図が読めない」「心電図は苦手」ということをよく聞く.意外と思われるかもしれないが,かく言う私も若い頃は,心電図アレルギーを患っていた.そんな私が心電図を読めるようになったコツは,ほんの些細なことに気をつけるようになってからだ.心電図が読めない,もしくは苦手という人は,多くの場合,重要所見と単なる異常所見とを同列に見てしまう.心電図には正常範囲とされる定義があるが,定義上「異常=病気」ではない.この当たり前に気づくことは,心電図判読上とても重要である.
では,重要所見を見逃さないようにするにはどうすればよいだろうか? 例えば,胸痛や失神など,主訴や患者背景を基に具体的な疾患を思い浮かべながら重要な所見が隠されていないかを考えたり,想定した疾患と所見が矛盾しないかどうかを考えたりすることは,とても効果的である.60歳台男性の胸痛と,30歳台女性の同様な症状とでは,仮に同じような心電図所見であっても得られる結論が異なるのは当然であり,その際,些細な所見に過剰なフォーカスを当てるのはおかしなことだと思えるはずだ.
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