臨床皮膚科 54巻2号 (2000年2月)

カラーアトラス

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 患者 37歳,主婦

 初診 1997年4月22日

原著

Intraoperative chemotherapy 二瓶 義道
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 Intraoperative chemotherapy(IOCT)は,皮膚悪性腫瘍の切除後に切除創に直接抗癌剤を湿布することにより,残存する腫瘍細胞を除去し,術後再発を予防しようとするものである.5例の皮膚悪性腫瘍に対してIOCTを応用し,創部の生着を障害することもなく良好な結果を得ることができた.IOCTは特別な設備を必要としない簡単な手法であるが,皮膚悪性腫瘍手術の補助療法として有用と思われる.

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 「敏感肌」という言葉は学術用語ではないが,一般にはコモンな言葉として用いられている.この「敏感肌」を皮膚科医は臨床場面でどう捉え,どう考えているかを調査することを目的に,全国の248施設397名の皮膚科医を対象に,「敏感肌」に関するアンケートを実施した.アンケート結果から,皮膚科医は「敏感肌」を,皮膚のかぶれ,乾燥や肌荒れを主訴とするもの,皮膚症状は紅斑,乾燥や瘙痒を主体とするもの,病名としては接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎である割合が高いとして,その原因は,皮膚バリアー機能の低下,刺激閾値の低下や乾燥であると捉えていた.また,多くの皮膚科医は,「敏感肌」に対してスキンケアが有効であると考えていた.

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 88歳,男性.約2年前より両側大腿部に暗赤紫色の扁平隆起性の皮疹があり初診した.その10か月後に脳梗塞を発症し神経内科に入院した時には,右大腿部の紅斑性病変からは腫瘤が生じていた.紅斑部の病理組織像は真皮の血管内腔に核小体の明瞭な大型の核をもつ異型単核細胞が充満し,一部では血栓を形成していた.腫瘍細胞は免疫染色でL26陽性,CD 34陰性を示しB細胞性のangiotropic lymphomaと診断した.腫瘤部では同様の免疫染色を示す腫瘍細胞が真皮全層にわたって血管外にも密に浸潤していた.化学療法は行わず局所にX線と電子線を照射したところ,腫瘤と紅斑はともに消失した.

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 17歳,男性.夕食後の運動中に紅斑,腫脹,悪心を発症した.食物依存性運動誘発アナフィラキシーを疑い精査し,カニ摂取+運動負荷により症状が誘発され同症と診断した.原因をトロポミオシンと考え甲殻類の摂取禁止を指導したがエビ摂取後の入浴により再発した.本症は再現性が低く不明な点も多いため指導が難しいが,疑わしき食物は完全に摂取禁止とし,アレルギーカード使用や家族へも同時に指導するなど再発防止に細心の配慮を要すると痛感した.

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 10歳,男児.四肢の疼痛を伴う紫斑を主訴に来院した.血液,凝固検査などに異常なく,生検組織では,赤血球の漏出のみで,血管炎は認めなかった.入院中の患児の行動,母親への問診などにより,自傷性紫斑と診断した.最近の小児をとりまく家庭環境の多様化,複雑化を反映して自験例のような症例が増加することも十分予測されるので若干の考察を加え報告した.

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 62歳,男性.四肢に疼痛を伴う浮腫性硬化が出現し,2か月後より紅斑,水庖が出現したし水疱は表皮下水疱で,表皮真皮境界部に線状にIgAが沈着し,IgAクラスの血中抗体基底膜部抗体が認められたことから,線状IgA水疱性皮膚症と診断した.ジアフェニルスルホン投与で紅斑と水疱は改善したが,浮腫性硬化は徐々に進行した.硬化部の生検では好酸球を含まない単核球浸潤による炎症を伴う筋膜の肥厚を認めた.血液検査で好酸球の軽度増加がみられ,好酸球性筋膜炎を考えプレドニゾロンを投与した.浮腫は改善したが硬化は軽快しないためLipo-PGE15μgを連日投与したところ,硬化は著明に改善した.本例は好酸球性筋膜炎と線状IgA水疱性皮膚症が同時期に発症した合併例と考えた.

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 46歳および36歳女性の顔面に生じ,美容的問題が大きかった深在性エリテマトーデスの2例を報告した.ビタミン剤内服,ステロイド剤外用にて難治のためDDS投与を試みた.約2か月で紅斑に対し十分な効果を得ることができ,投薬中止し経過観察しても紅斑の再燃を認めない.

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 シクロスポリンが奏効したneutrophilicdermatosisの72歳,男性例を報告した.皮疹は有痛性,やや暗赤色の浸潤性紅斑で,組織学的には真皮下層から脂肪織にかけての核破片を伴う稠密な好中球浸潤であった.Sweet病類似病変であり,発熱を伴っていたが末梢血好中球増加は軽度であった.骨髄穿刺で骨髄異形成症候群の存在が明らかとなり,同症に伴うneutrophilic der—matosisと診断した.ステロイド,ジアフェニルスルホンの内服では症状のコントロールが困難であったが,シクロスポリン投与で皮疹,発熱とも速やかに改善した.

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 クロファジミンが奏効した壊疽性膿皮症を報告した.症例は55歳,男性.約5年前より左下腿に膿疱を混じた紅斑性局面が出現し前医にてステロイド外用にて寛解,増悪を繰り返していた.初診1か月前より米粒大の潰瘍,小結節が出現し,ステロイド軟膏,抗生剤軟膏外用にて加療を受けていたが,壊死を伴いながら急速に増大した.心筋梗塞にて左伏在静脈をグラフトとして冠動脈バイパス術を施行されており,糖尿病,高血圧,高脂血症の内服加療を受けているため,ステロイド剤の全身投与は行わずに,クロファジミンによる治療を開始した.クロファジミン200mg/日連日投与で潰瘍は急速に改善し,約3か月で瘢痕治癒した。種々の既往歴を抱え,ステロイド,免疫抑制剤の全身投与が難しい症例にはクロファジミンは有用であると考えられた.

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 72歳,女性.初診の約3か月前より特に誘因なく背部に軽度瘙痒を伴う皮疹が生じ,徐々に拡大,増加した.初診時ほぼ全身に栂指頭大から手掌大までの境界明瞭,辺縁軽度隆起性で環状を呈する紅斑が多発し,一部では膿疱もみられた.病理組織学的には,表皮は軽度肥厚し錯角化を伴い,角層下に好中球性膿疱および表皮内に海綿状膿疱を認めた.再発性環状紅斑様乾癬と診断し,副腎皮質ホルモン含有軟膏の外用にて約2か月で皮疹はほぼ消失した.本邦報告例のまとめに若干の考察を加え報告する.

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 66歳,女性に生じたスパルフロキサシンによる光線過敏型薬疹の1例を報告した.内服照射試験において用量依存性にUVAに陽性を示し,光毒性反応を主と考えたが,発症時の感作期間の存在および掻破光貼布試験において本剤とロメフロキサシンのみに陽性を示したことは交叉反応と考えられ,光アレルギー性反応を思わせた.この2剤の交叉性は過去にも報告があり,ピペラジニル基内のメチル基の位置が交叉性に関与していると考えられた.

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 サラゾスルファピリジン(SSP)内服中の潰瘍性大腸炎患者に認めた伝染性単核球症様薬疹2例を報告した.両者はいずれも伝染性単核球症を思わせる臨床像を呈し,血中異型リンパ球の増加および肝機能障害を認めた.パッチテストにて症例1,2共エタノール基剤SSP陽性,ワセリン基剤陰性,本剤の代謝産物と思われるparaphenyl—enediamineは陽性であった.内服テストは症例1にてSSP 30 mg(常用量の1/300)内服24時間後陽性であった.また症例2では本剤の代謝産物である5-aminosalicylic acid(5-ASA)も用いてパッチテストを施行した.最近潰瘍性大腸炎の治療に5-ASA単独製剤が用いられており,本剤による薬疹を疑った際5-ASAのパッチテストも一般化することで原因成分をより明確にし,潰瘍性大腸炎の治療に役立てるべきと思われた.

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 38歳,女性.右1指の痛みのためエパテックゲル®(3%ケトプロフェン含有)を使用したところ,同部に浮腫性紅斑,水疱が出現した.主成分であるケトプロフェンのパッチテスト陰性,光パッチテスト陽性で,ケトプロフェンによる光接触皮膚炎と診断した.

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 64歳,男性.約27年前に他院で頻回かつ多量の皮下注射を両上腕に受けた.以後同部に腫瘤を形成し疼痛が出現してきたため,他医および当科で摘出術を施行した.腫瘤は皮下から筋膜に存在し,一部筋肉に浸潤していた.検査所見や組織所見より栄養障害性(代謝性)石灰沈着症の限局型の石灰沈着症と診断した.皮下石灰沈着症には局所pH,Ca,P,クエン酸イオン,ビタミンD濃度,酸素分圧,アルカリフォスファターゼ活性などが関与する.注射が原因の場合は薬液の浸透圧やpHも影響すると本例ではさらに頻回かつ多量の皮下注射という一種の外傷も要因として重要である.頻回かつ多量の皮下・筋肉注射は石灰沈着症のみならず筋短縮症の可能性もあるため避けるべきである.

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 71歳男性の顔面に生じたmultiple miliaryosteoma cutisの1例を報告した.両頬部に半米粒大までの正常皮膚色丘疹が多発しており,病理組織学的に脂肪髄を有する結節状の骨組織を真皮内に認めた.両頬部の接線方向の単純X線像で皮内に微細な石灰陰影を無数に認めた.誘因となるような先行疾患はなかった.皮膚科領域での本症の報告例は少ないが,歯科領域でのX線画像検査で頬部に多数の石灰陰影がときに見いだされることから,それほどまれな疾患でない可能性もある.臨床的に顔面に硬い正常皮膚色丘疹を多数認める症例では,本症も鑑別疾患の一つとして念頭におくべきと思われた.

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 57歳,女性のバセドウ病患者にみられた脛骨前粘液水腫の1例を報告した.現病歴は,バセドウ病にてメルカゾール®を6か月内服していたが,自己判断で中断した.その6か月後に体重減少と右下腿脛骨前面の皮疹に気づき,4か月間で徐々に拡大した.初診時,TSHの高値,free T3,free T4の低値と,甲状腺機能は充進していた.現症は,右下腿前面の比較的境界明瞭な弾性硬の浮腫性局面で,組織学的に真皮全層の浮腫と膠原線維の離開を認めた.膠原線維間はコロイド鉄およびアルシアンブルー染色陽性で,ピアルロニダーゼで消化されたことよりヒアルロン酸の沈着と考えられた.甲状腺機能の改善はないにもかかわらず,ステロイドの外用により皮疹は改善した.

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 8か月男児の上背部に生じ乳児線維性過誤腫の1例を報告した.腫瘤は生後1か月で生じ,7か月後の手術時には3.2×2.0 cm大の板状の硬結として触れた.病理組織学的に腫瘤は成熟脂肪組織,交錯する索状の線維性組織,未分化間葉系細胞巣の3成分で構成され類臓器構造を呈した.線維性組織は膠原線維と線維芽細胞に類似した紡錘形細胞からなり,この細胞は免疫組織化学的染色により抗vimentin抗体および抗α-smooth muscle actin抗体に対する免疫活性所見を呈し,myofibroblastの形質を発現していると考えた.また自験例は全摘術施行後約1か月で再発を認めたが,その後は縮小傾向にある.自然消退を期待して注意深く観察する方針である.

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 71歳男性の右上腕深部に生じた血管平滑筋腫の1例を経験した.右上腕三頭筋内に巨大な筋肉内腫瘤として生じ,無痛性で,組織学的に錯綜する成熟平滑筋線維間に大小の血管腔がみられた.

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 6か月,男児.生下時より左膝蓋部に暗褐色の浸潤局面が存在し徐々に腫大,皮内硬結を認めるようになった.多毛,多汗および軽度の圧痛を認めた.組織学的には,真皮中層にエクリン腺の軽度の増加と被膜を有さない腫瘍細胞巣を認めた.腫瘍細胞の主体は類円形をしたやや大型の淡染性の核を有する細胞で不完全な血管腔を形成していた.核の異型性,核分裂像は認めなかった.以上より血管芽細胞腫と診断した.初診時に比べ硬結は消退傾向を示したため,経過観察していたところ硬結は退縮し,6か月後には色素沈着を残すのみとなった.

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 肛門管原発悪性黒色腫は全悪性黒色腫の約4.6%を占めると言われる.また,進行しないと症状が発現しにくく転移が早期に起こることから,5年生存率は約18.7%と予後は極めて悪い.今回,我々は鼠径部リンパ節転移を初発症状として発見された64歳男性の肛門管原発悪性黒色腫の1例を経験した.鼠径部に悪性黒色腫と考えられる腫瘤が見られた場合は,皮膚原発だけではなく,肛門管原発の可能性も考え検索すべきと考え,報告した.

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 76歳,男性.約15年前より左下腿内側に瘙痒と灼熱感を伴う皮疹が出現した.徐々に拡大し,4年前より近医にてステロイド外用の治療を受けるも軽快せず,当科を受診した.初診時左下腿内側に,40×25mm大,表面軽度びらんを有する扁平隆起性紅斑を認めた.組織学的に,錯角化,異常角化細胞を含む表皮内全層性の配列の乱れを伴う異型細胞の増殖がみられ,特に澄明細胞が目立ったことからpagetoid Bowen病が考えられた.澄明細胞が一部で腺腔様構造を呈したことから,汗腺系腫瘍,乳房外Paget病,および悪性黒色腫を鑑別する必要があると思われた.特染の結果,澄明細胞は有棘細胞由来を示す分化型ケラチンのみ陽性を示し,自験例をpagetoid Bowen病と診断した.澄明細胞の電顕所見において,細胞内小器官に富むものと,細胞内小器官の乏しいものを見いだし,これらは経時的に変化し,初期にみられる澄明細胞の活動性が次第に低下するものと思われた.

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 61歳,女性.1990年9月頃,左側頭部の皮下腫瘤に気づいたが自覚症状に乏しかったため放置していた.次第に増大したため近医を受診し全切除術を施行されたが,同年10月局所再発を認め再び増大した.病理組織学的に真皮上層より皮下組織にかけて線維性隔壁により比較的明瞭に区画された多数の腫瘍塊を認め,個々の隔壁内はPASおよびアルシアンブルー陽性の粘液様物質が充満し,中心部の腫瘍細胞塊はその粘液中に浮かぶがごとく認められた.ほとんどすべての腫瘍細胞がCEA陽性であった.転移性皮膚腫瘍の鑑別のため全身検索を施行したが,他臓器に腫瘍性病変はみられず,以上より左側頭部皮膚原発のmucinous carcinoma of the skinと診断した.治療として腫瘍より約4cm離し腫瘍全切除を行い,皮弁ならびに分層植皮術を施行した.術後3年9か月の現在,再発,転移は認めない.

連載

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165

次の組み合わせのうち適当なものはどれか.

①cat scratch fever Bartonella henselae

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Palm Computerをご存じですか?

 今回はコンピュータについてのお話をしましょう.以前にインターネットでの“netiquette”についてお話ししましたが,今日ここでもう少し付け加えたいことがあります.皆さんが多くの友達や同僚にメッセージを送るときに“to”エリアにそれらのアドレス全部を入れないで下さい.これは長いe-mailになるばかりでなくプライバシーの侵害にもなりかねません.また皆さんは病気の子供たちから励ましの手紙や贈り物を送って欲しいという内容のものを受け取られたことがおありかと思いますが,インターネットではぜひやらないで下さい.と申しますのは大量のe-mailが殺到するためにサーバーの機能が麻痺し,一般利用者に多大な迷惑がかかるという事態が起きています.

 さて皆さんはPalm Computerをご存じですか.これはウインドーズCEをはじめ3Com,TRGとHandspringから出ており,3Comが最小サイズ(Palm VとPalm Vx)のメモリーが大きく,ゲームやbeeper機能を持ち合わせています.これらのいずれのpalm unitも医学ソフトウェア(シェアーウェア)を入れることができ,入院患者の記録,複雑な臨床検査,人体解剖図から往診の際の車の走行距離やガソリン代まで即座に分かります.これ以外にも5,000以上のプログラムがインターネットからダウンロードでき,あなたのポケットやベルトにつけて持ち運びができるわけです.慣れてしまうと離せなくなってしまいますよ.もちろん日本語で操作することができ,住所,氏名などはもっと入れやすいわけです.

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 主に高齢者の下腿,足背の術後欠損創の再建方法として,伸展皮弁とメッシュ操作を組み合わせたmeshed advancement flapを5症例に対し試みた.術後完全上皮化までの期間は皮弁壊死を生じなかった3症例は3〜4週間であったが,皮弁壊死を生じた2症例は6週間を要した.自験例を供覧し,本法の利点,欠点について考察した.

基本情報

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臨床皮膚科
54巻2号 (2000年2月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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