臨床放射線 67巻10号 (2022年10月発行)

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特集　Ⅲ期非小細胞肺癌に対するIMRT

肺癌に対するIMRT：コンツーリングのコツとピットフォール小宮山　貴史 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1035-1042

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肺癌強度変調放射線治療（intensity-modulated radiation therapy：IMRT）放射線治療計画は理論・機器・装置の進歩により大きく変化してきている。その中で放射線腫瘍医には適切な診察と画像診断を基としたターゲットの描出（コンツーリング）が求められる。コンツーリングは ① 肉眼的腫瘍体積（gross tumor volume：GTV）の同定，② CT撮像とdata-set作成，③ ターゲットコンツーリングの3段階を経て行われる。本稿では各段階における日常臨床でのコツ・ピットフォールについて概説する。

Ⅲ期非小細胞肺癌に対するIMRT：知っておきたいポイント石倉　聡 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1043-1049

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Ⅲ期非小細胞肺癌に対する放射線治療において強度変調放射線治療（intensity-modulated radiation therapy：IMRT）の普及が進んでいる。IMRTのメリットとして，① 放射線肺臓炎や心血管毒性の軽減による治療関連死亡の減少，② 放射線食道炎の減少による治療コンプライアンスの向上，③ 適応患者の拡大，すなわち正常肺への線量制約が従来の3次元放射線治療（3D conformal radiation therapy：3D-CRT）では達成できず根治照射が困難な場合でもIMRTでは根治照射が可能となる場合がある，などがある。

Ⅲ期非小細胞肺癌に対するIMRT：物理・技術的ポイント清水　秀年 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1051-1059

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Ⅲ期非小細胞肺癌に対する根治的化学放射線療法後に維持療法として免疫チェックポイント阻害薬を使用することにより，無増悪生存割合および全生存割合が大幅に改善された^1）2）。本レジメンは同癌に対する従来の化学放射線療法と置き換わり，新しい標準治療となった。一方で，維持療法に使用する本薬剤はgrade 2以上の間質性肺臓炎を有する患者には適用できない。本薬剤の幅広い適用には，化学放射線療法時の放射線肺臓炎を低減するための照射技術が必要であった。その照射技術として注目されたのが強度変調放射線治療（intensity modulated radiation therapy：IMRT）であり，2016年のメタ解析^3）において，IMRT群は3次元原体照射（3-dimensional conformal radiation therapy：3DCRT）群と比較してgrade 2以上の重篤な肺臓炎が少なかったと報告された。当院では，本薬剤の保険承認と時期を同じくして2018年から同癌に対する強度変調回転放射線治療（volumetric modulated arc therapy：VMAT）を実施してきた。本稿では，同癌に対するIMRT・VMATのさらなる普及を期待して，当院における経験をもとに，前半では物理・技術的な視点から固定具および呼吸性移動対策を紹介し，後半では治療計画の線量最適化計算における重要なポイントを解説する。

JASTRO研究課題「強度変調放射線治療における線量分布の質的評価基盤の確立」における標準化への取り組み脇田　明尚 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1061-1066

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治療装置，治療計画装置の進歩により，強度変調放射線治療（intensity-modulated radiotherapy：IMRT）が2000年に国内に導入されはや20年以上が経過した。2008年に頭頸部腫瘍，前立腺腫瘍および中枢神経腫瘍の患者に対して，2010年には限局性固形悪性腫瘍の患者に対して保険適用となり，現在では300を超える多くの施設でIMRTが導入されるに至り，様々な部位に対して放射線治療の有力な選択肢の1つとなっている。

診療

腎細胞癌重粒子線治療前後における^99mTc-MAG3腎動態シンチグラフィの初期検討山﨑　香奈 , 西井　龍一 , 磯部　喜治 , 粕谷　吾朗 , 谷　俊明 , 田村　謙太郎 , 今林　悦子 , 石川　仁 , 辻　比呂志 , 東　達也 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1067-1073

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原発性腎細胞癌に対する標準的な治療は外科的切除であり，特に部分切除は根治的腎切除に比較すると有効性が高く，術後合併症が低いことが知られている。しかし腎機能が低下している場合などでは，手術不適応になることもあり，根治的治療が望めない場合もある。

PET検査に従事する看護師の水晶体被ばく線量に関する基礎検討藤沢　昌輝 , 芳賀　善裕 , 曽田　真宏 , 加賀　勇治 , 阿部　美津也 , 稲葉　洋平 , 鈴木　正敏 , 細井　義夫 , 千田　浩一 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1075-1083

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国際放射線防護委員会（International Commission on Radiological Protection：ICRP）は2011年に組織反応に関する声明（ソウル声明）を発表し，計画被ばく状況での職業被ばくについて，これまで年間150mSvとしていた水晶体等価線量限度を定められた5年間の平均で20mSv/年，かついずれの1年においても50mSvを超えないこととした^1）2）。これに伴い2021年4月より我が国においても職業被ばくにおける水晶体等価線量限度の引き下げがなされている。この大幅な線量限度の引き下げにより，医療従事者の線量限度超過が懸念される。このような背景から医療従事者の水晶体被ばくについて多くの研究が行われている^3-11）。

症例

小児側脳室内髄膜腫の1例大谷　暢之 , 松下　周 , 大隈　智尚 , 國廣　誉世 , 馬場　良子 , 石黒　友也 , 真鍋　隆夫 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1085-1089

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小児の髄膜腫はまれな疾患であり，小児中枢神経腫瘍の2.4％を占める^1）。原発性脳室内髄膜腫はさらにまれで，髄膜腫全体の0.5～5％と報告されている^2）。今回我々は小児に発生した原発性脳室内髄膜腫の1例を経験したので，文献的考察とともに報告する。

FDG-PET/CTが有用であった気管原発MALTリンパ腫の1例藤澤　伶奈 , 田中　優美 , 重村　知香 , 服部　秀計 , 櫻井　映子 , 塚本　徹哉 , 大野　良治 , 外山　宏 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1091-1096

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辺縁帯リンパ腫（marginal zone lymphoma：MZL）は非ホジキンリンパ腫の一種であり，粘膜関連リンパ組織（mucosa-associated lymphoid tissue：MALT）に発生する節外性MZL（extranodal MZL：EMZL），節性MZL，脾MZLに分類される^1）。

T2強調像で著明高信号の充実性腫瘤像を呈した卵巣甲状腺腫の1例杉原　亘 , 真木　浩行 , 久野　壽也 , 木曽原　昌也 , 小林　晋 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1097-1101

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卵巣甲状腺腫の嚢胞がT2強調像で低信号を示すことは知られているが，充実部の信号に関しては中等度～高信号を示すと報告されている^1）。今回，卵巣甲状腺腫の充実部分がT2強調像で著明高信号を示し診断に苦慮した症例を経験したので，画像所見と病理所見を比較し，文献的な考察を加えて報告する。

上肢に発生した骨化性線維粘液性腫瘍の1例大浦　達史 , 塚本　太朗 , 大戎　直人 , 桑江　優子 , 竹内　真規子 , 馬場　玲亜 , 大谷　暢之 , 三木　幸雄 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1103-1106

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骨化性線維粘液性腫瘍（ossifying fibromyxoid tumor）は1989年にEnzingerら^1）によって初めて報告されたまれな軟部腫瘍であり，画像的な特徴は不明な点も多い。今回我々は診断に苦慮した骨化性線維粘液性腫瘍の1例を経験したので，文献的考察とともに報告する。

耳下腺分泌癌に術後放射線治療を施行した1例松田　恵治 , 小林　満 , 山下　安彦 , 平木　隆夫 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1107-1112

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唾液腺分泌癌は2010年にSkálováらによって提唱されたETV6-NTRK3融合遺伝子を有する唾液腺悪性腫瘍である^1）。乳腺分泌癌との組織類似性が示され，乳腺相似分泌癌（mammary analogue secretory carcinoma：MASC）と称されていたが，2017年WHO分類において分泌癌（secretory carcinoma：SC）と新たに分類された。今回我々は，耳下腺発生の分泌癌に術後放射線治療を施行し，再発なく経過した症例を経験したので，若干の文献的考察を加えて報告する。

術後再発を繰り返すエナメル上皮腫に対して放射線治療が奏効した1例小久保　亮 , 小西　憲太 , 荒牧　修平 , 若林　紘平 , 平田　真則 , 大平　啓一 , 中村　和正 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1113-1116

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エナメル上皮腫（ameloblastoma）の診療ガイドラインによると，エナメル上皮腫に対しての標準治療は手術であり，放射線治療は補助療法として位置づけられている。しかしながら，術後再発症例に対しての治療法についてはエビデンスが確立されていないのが現状である^1）。

連載

今月の症例小山　雅司 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1117-1119

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画像所見　胸部単純X線仰臥位正面像（図1）：右胸腔は拡大し，薄い隔壁を有する気腔がその大半を占めている。右肺は肺門側に押しつけられるように虚脱し，縦隔影も左方に偏位している。左肺にはびまん性に分布する粒状影を認める。

放射線治療談話会記録　第433回定例会「医療施行規則一部改正に伴う放射線治療分野の対応について」坂本　昌隆 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1121-1126

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近年の診療放射線の進歩は目覚ましく様々な診断や治療の向上につながっており，その重要性は今後もより一層増すことが想定される。原子放射線の影響に関する国連科学委員会（United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation：UNSCEAR）の2008年の報告では，我が国におけるX線CT撮影に代表される診療用放射線の利用が他の先進国に比べて多いことが指摘されている^1）。これらの背景もあり，我が国では2019年3月11日に「診療用放射線に係る安全管理体制並びに診療用放射性同位元素及び陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の取扱い」について，医療法施行規則を一部改正する省令が官報に公示され，2020年4月1日より施行された。この診療放射線に係る安全管理体制に関する規定では，X線装置などを備えるすべての病院・診療所は医療放射線安全管理責任者を配置すること，医療放射線の安全管理のための指針を策定すること，医療放射線に係る安全管理のための職員研修の実施，放射線診療を受ける者への情報共有，さらに保有する装置により，医療被ばくの線量管理・線量記録を行うことが求められている。

診療ガイドラインにおけるFDG-PET推奨度解説　第30回　腹膜播種の診断立石　宇貴秀 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1127-1132

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腹膜播種診療ガイドライン2021年版におけるFDG-PETの有用性および推奨度について以下にまとめた。

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目次 67巻10号 , 2022年10月

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英文目次 67巻10号 , 2022年10月

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2022年臨時増刊号予告 67巻10号 , 2022年10月

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次号予告 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1133-1133

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バックナンバー 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1134-1134

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読者アンケート 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1135-1135

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投稿規定 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1136-1137

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編集後記 67巻10号 , 2022年10月 , pp.1138-1138

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基本情報

臨床放射線
67巻10号
(2022年10月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0009-9252 金原出版

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