皮膚病診療 46巻13号 (2024年12月発行)

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特集　すぐに役立つ　すごく役立つ　皮膚科検査の基本マニュアル

機器の使い方

病理観察のための顕微鏡の使い方久保　亮治 46巻13号 , 2024年12月 , pp.7-8

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・病理を見るときと真菌を見るときでは，適したコンデンサの位置は異なる．コンデンサの垂直・水平位置を正しく合わせることが大切である．

・視野絞りと開口絞りを各倍率のレンズごとに正しく合わせることで，最良の病理写真を撮影できる．

（「POINT」より）

ダーモスコピーの使い方のコツ外川　八英 46巻13号 , 2024年12月 , pp.9-11

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・病変部の表面の小さなゴミ，鱗屑などを取り除き，臨床経過・臨床像を考慮して観察する．

・接触型ダーモスコープでは多めにエコージェルをのせて，血管構造を潰さないように押し付けずに観察する．

・なるべく画像を撮影して画像を拡大し，非偏光像と偏光像の両方を観察する．

（「POINT」より）

臨床写真の撮り方福田　英嗣 46巻13号 , 2024年12月 , pp.12-15

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・臨床写真を撮影する際には，何のために撮影するのかを考え，意図がはっきり伝わる写真を撮影することが重要である．

・撮影した写真のフォーカス（ピント）が合っていないことがあるため，同じ病変を何枚か撮影し，できれば撮影ごとに写真を確認する．

（「POINT」より）

感受性検査

パッチテスト鈴木　加余子 46巻13号 , 2024年12月 , pp.16-18

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・香粧品は，原則として洗い流す製品は1％水溶液，洗い流さないものはそのままユニットにのせて閉塞貼布する．

・業務用品（切削油，業務用洗剤など）は，データシートや成分を確認し，皮膚刺激性・皮膚毒性がないかどうかを調べる．pH試験紙で簡易的にpHを確認し，強アルカリ，強酸は皮膚テストは施行しない．

・陽性反応は，貼布部位全体に浸潤を伴う紅斑を認められるかで判定し，一部のみの紅斑や丘疹は陽性とは判断しない．

（「POINT」より）

プリックテスト千貫　祐子 46巻13号 , 2024年12月 , pp.19-21

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・プリックテストはIgE依存性即時型アレルギーの原因抗原を検索するための有用な検査法である．

・全身反応はまれであるが，全身反応出現に備えて救急処置の準備をしておくことが望ましい．

（「POINT」より）

特異的IgEの結果の読み方―コンポーネント検査を含めて― 原田　晋 46巻13号 , 2024年12月 , pp.22-23

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・特異的immunoglobulin E（IgE）は即時型アレルギーの原因アレルゲンの同定に有用かつ簡便な検査法である．

・ただし，皮膚テストと比較するとその信頼性は多少劣るが，近年粗抽出抗原とアレルゲンコンポーネントとの特異的IgEの測定を組み合わせることによって，診断精度が向上しうると期待されている．

（「POINT」より）

未知の原因抗原の調べ方―イムノブロッティング法を中心に― 阿部　紗也 , 森山　達哉 46巻13号 , 2024年12月 , pp.24-26

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・発症エピソードや特異的IgE検査，プリックテストなどで原因素材（アレルゲンソース）が判明したとしても，原因アレルゲンコンポーネントまではわからない場合が多い．

・そのような場合は，臨床研究としてイムノブロッティング法やIgE-ELISA，抗原の粗精製などを組み合わせて未知抗原を推定，同定することが可能である．

（「POINT」より）

薬疹検査鈴木　梨沙 , 濱　菜摘 46巻13号 , 2024年12月 , pp.27-30

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・薬疹は蕁麻疹型など特殊なタイプを除きⅣ型アレルギーにより発症するため，とくに重症薬疹において原因薬剤特定の検査として代表的な，薬剤リンパ球刺激試験（drug-induced lymphocyte stimulation test：DLST）とパッチテストについて解説する．

・重症薬疹の中でもとくに薬剤性過敏症症候群（drug-induced hypersensitivity syndrome：DIHS/drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms：DRESS）の場合，ヒトヘルペスウイルス 6（human herpesvirus 6 : HHV-6）やサイトメガロウイルス（cytomegalovirus：CMV）などを中心としたヒトヘルペスウイルス属の再活性化の病態があるため，長期にわたる採血などのフォローアップが重要となる．

（「POINT」より）

光線照射テスト山野　希 46巻13号 , 2024年12月 , pp.31-32

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・光線テストは照射後の皮膚症状を評価することにより，光線過敏症の診断のみならず，発症に関わる光の波長域（作用波長）を調べる方法である．

・光線過敏症は内因性光アレルギー（日光蕁麻疹，慢性光線性皮膚炎，多形日光疹），外因性光アレルギー（光線過敏型薬疹，光接触皮膚炎），遺伝性疾患の色素性乾皮症など多岐にわたり，これらの診断に利用される．

（「POINT」より）

感染症検査

耐性菌（細菌）の検査と評価三上　万理子 46巻13号 , 2024年12月 , pp.33-35

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・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌（methicillin-resistant Staphylococcus aureus：MRSA）はPBP2'の検出，mecAの検出，薬剤感受性試験によって同定する．

・遺伝子タイピングと産生毒素の検査を行い診断する．

・CLSIに則り行う薬剤感受性検査は重要である．

（「POINT」より）

真菌検査佐藤　友隆 46巻13号 , 2024年12月 , pp.36-38

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・真菌同定の基本は培養であるが，標的の真菌を純培養することはむずかしい．真菌は環境中に多く存在しており，標的の真菌以外がコンタミネーションとして培養されることがよくあるという認識が重要である．純培養された真菌を同定するには，巨大培養とスライド培養検査を行い，集落の形態を観察する．酵母は細菌検査と同様に質量分析が有用である．糸状菌については困難なことが多く，分子生物学的検査が有用である．rRNAシーケンシングは，真菌のみでなくさまざまな感染症診断に応用されているが，真菌の場合にはinternal transcribed spacer（ITS）領域をPCR法で増幅する．①原因菌と同定するには繰り返し同一真菌が培養されること，②組織内で真菌の存在が証明されることも重要となる．標的とする真菌は何かを明確にして純培養することがもっとも重要である．たとえば頭部白癬を診断する際に，動物との接触を疑う病歴があれば動物の種類や接触の内容，格闘技などの経験や，家族の趣味も聴取する必要がある．病歴から標的となる真菌を見定めて培養することが大切である．格闘技由来のTrichophyton tonsuransでは，皮疹がはっきりしないことも多く，頭皮のブラシ培養が有用である．繰り返しになるが，環境真菌をコンタミネーションしやすい真菌検査は臨床医が標的菌を明確にして検査を組み立てることが重要である．

（「POINT」より）

深在性皮膚真菌症楠原　正洋 46巻13号 , 2024年12月 , pp.39-41

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・深在性皮膚真菌症の診断に必要な検査は，病理組織学的検査と生検組織による真菌培養である．

・真菌培養では，目的とする菌種により培養の条件などを指示する必要がある．

・菌種の同定には，分子生物学的検査が必要である．

（「POINT」より）

直接鏡検法―疥癬― 夏秋　優 46巻13号 , 2024年12月 , pp.42-43

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・疥癬の診断はヒゼンダニの虫体，虫卵を検出することで確定する．

・ダーモスコピー検査で疥癬トンネル先端部の角層下の虫体を確認する，あるいは皮疹部（疥癬トンネルや丘疹・結節の中央部，角化病変など）から得られた鱗屑をKOH処理して直接鏡検することで虫体ないし虫卵を確認する．

（「POINT」より）

結核の検査・非結核性抗酸菌症・Buruli潰瘍村瀬　千晶 46巻13号 , 2024年12月 , pp.44-47

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・スメア検査，病理検査では抗酸菌の菌体を検出する．培養を行い，PCR法，DNA sequencing，質量分析法などを用いて菌の同定を行う．

・渗出液や膿汁，皮膚組織などを採取し，塗抹・培養を行う．成功率は必ずしも高くないため，臨床的に疑わしい場合は繰り返し行う．菌種により最適な培養条件が異なるため，検体提出時に，どのような病歴・背景の患者で，どのような菌を疑うのかを可能なかぎり検査技師に伝え，適切な検体処理・培養を行うことが抗酸菌の検出率・診断率を高めるために重要である．

（「POINT」より）

性感染症検査―梅毒― 原田　和俊 46巻13号 , 2024年12月 , pp.48-50

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・感染症の診断には病原体の検出が不可欠であるが，梅毒トレポネーマ（Treponema pallidum：TP）は培養が不可能である．

・現在のところ，主要な梅毒の検査方法は，TP感染によって産生された患者血清中の抗体を測定する梅毒抗体検査である．

・梅毒抗体検査は診断，治療判定に有用であるが，抗体価を盲信せず，皮疹や問診結果を考慮しTPの感染状況を判断すべきである．

（「POINT」より）

Hansen病の検査と末梢神経検査木村　真衣 , 石井　則久 46巻13号 , 2024年12月 , pp.51-53

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・Hansen病は，らい菌の感染により主に皮膚と末梢神経が障がいされる疾患である．

・らい菌は培養不可能な抗酸菌であり，菌検出には皮膚スメア検査，病理組織検査，PCR検査の3つを行い，評価する必要がある．

・末梢神経検査では知覚（触・痛・温度），運動，表在神経の肥厚や圧痛などの検査を行い評価する．神経障がいの早期発見には，深い外傷や熱傷を繰り返していないか問診で確認することも重要である．

（「POINT」より）

HPVの型清水　晶 46巻13号 , 2024年12月 , pp.54-55

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・ヒトパピローマウイルス（human papillomavirus：HPV）は良性，悪性含め230以上のタイプが報告されている．

・HPVタイプを決定した後に，HPVの組織内局在を確認する．

・表面擦過検体でもHPVの検出は可能である．

（「POINT」より）

ヘルペス・帯状疱疹検査渡辺　大輔 46巻13号 , 2024年12月 , pp.56-58

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・Tzanck試験はヘルペス疾患の基本の検査だが，単純疱疹，帯状疱疹の鑑別はできない．

・蛍光抗体法はウイルスの鑑別が可能だが，やや感度に劣る．

・イムノクロマト法は，感度，特異度とも高い．

（「POINT」より）

組織学的検査

皮膚生検安齋　眞一 46巻13号 , 2024年12月 , pp.59-60

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・生検時には，ある程度疾患の絞り込みをする．

・皮膚生検による病理組織検査には限界があることを知る．

・検体採取時，組織破壊的な操作はしてはならない．

（「POINT」より）

蛍光抗体直接法・間接法片山　奨 , 氏家　英之 46巻13号 , 2024年12月 , pp.61-65

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・自己免疫性水疱症において蛍光抗体直接法（direct immunofluorescence：DIF）に用いる検体は，水疱周囲の紅斑部や無疹部から採取する．

・口腔病変を有する自己免疫性水疱症では，病変部でなく頰粘膜正常部からの検体を用いたDIFで自己抗体の検出が可能である．

（「POINT」より）

免疫組織化学検査・酵素抗体法と特殊染色皆川　茜 , 安齋　眞一 46巻13号 , 2024年12月 , pp.66-69

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・H-E染色標本による形態学的評価を補強する検査である．

・ターゲットに適した染色法や一次抗体を選択し，その結果を解釈する必要がある．

（「POINT」より）

先天性疾患の免疫染色・蛍光抗体染色検査吉田　憲司 46巻13号 , 2024年12月 , pp.70-72

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・蛍光抗体染色検査は凍結切片上の標的抗原に対する抗体（一次抗体）を，蛍光色素（二次抗体）で標識し，蛍光顕微鏡で観察することで，標的抗原の発現度合い，局在を調べることができる．（図1）

・表皮水疱症では各種表皮基底膜構成蛋白の蛍光抗体染色により，発現低下または消失している蛋白のスクリーニングが可能である．

・新生水疱部であれば，4型コラーゲンの蛍光抗体染色により水疱形成部位の推定が可能である．

（「POINT」より）

FISH検査―腫瘍や先天性疾患の融合遺伝子検査― 川端　公貴 , 神人　正寿 46巻13号 , 2024年12月 , pp.73-74

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・FISH検査は組織や細胞上で特定のDNAまたはRNA配列に発光物質を付着させ，蛍光顕微鏡下で可視化することにより位置や数を特定する方法である．

・皮膚科領域では隆起性皮膚線維肉腫や汗孔癌などの腫瘍性疾患，そしてパリスターキリアン症候群などの先天性疾患の診断に利用される．

（「POINT」より）

抗体検査

膠原病自己抗体の検索と結果の読み方久住　藍 , 吉崎　歩 46巻13号 , 2024年12月 , pp.75-77

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・患者の自己抗体のパターンを正確に把握することは，膠原病診療において非常に重要である．

・新しい自己抗体測定法であるA-Cube^®は，数十種類の自己抗体を一度に測定できる網羅性と，従来の保険収載検査や免疫沈降法と同等の信頼性を兼ね備えており，日常臨床での活用が期待される．

（「POINT」より）

自己免疫性水疱症の抗体検査と結果の読み方朝比奈　泰彦 , 高橋　勇人 46巻13号 , 2024年12月 , pp.78-80

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・自己免疫性水疱症患者の血中自己抗体の抗体価はELISA（enzyme-linked immuno-sorbent assay）法・CLEIA（chemiluminescent enzyme immunoassay）法で定量化可能であり，デスモグレイン1（Dsg1），デスモグレイン3（Dsg3），BP180NC16aに対する抗体検査が保険収載されている．

・抗体価の測定は，診断や病勢のモニタリングに有用である．

（「POINT」より）

水疱症の免疫ブロット法と結果の読み方石井　文人 46巻13号 , 2024年12月 , pp.81-82

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・免疫ブロット法は，標的抗原蛋白を同定する検査法である．

・ELISA・CLEIA法に比べ，手技的に簡便には施行できないが，自己抗原の検索に有用な検査法の1つである．

（「POINT」より）

画像診断

壊死性筋膜炎の画像診断長野　徹 46巻13号 , 2024年12月 , pp.83-84

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・皮膚エコーは壊死性筋膜炎のスクリーニングに有用なツールであり，皮下組織，筋膜の肥厚，液貯留は有意な所見である．

・CTでは筋周囲の三日月様のhigh density areaがあれば強く疑うが，浮腫が強い場合は要注意である．

（「POINT」より）

センチネルリンパ節の同定と転移診断井上　禎夫 , 中村　泰大 46巻13号 , 2024年12月 , pp.85-88

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・センチネルリンパ節生検は結果によりその後の治療方針に大きな影響を与える．

・各皮膚がんにおけるセンチネルリンパ節転移陽性例に関して，取り扱いの規定やガイドラインの整備が期待される．

（「POINT」より）

皮膚血流検査法浅野　善英 46巻13号 , 2024年12月 , pp.89-91

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・皮膚血流検査は，末梢動脈性疾患，下肢静脈瘤，膠原病に伴う末梢循環障害や皮膚潰瘍の診断と適切な治療選択に不可欠である．

・臨床所見と皮膚血流検査（CTA，MRA，エコー），および生理学的検査（ABI，SPP）を組み合わせて病態と重症度を評価し，治療方針を決定する．

（「POINT」より）

遺伝学的検査・細胞解析

遺伝学的解析の総説夏賀　健 46巻13号 , 2024年12月 , pp.92-93

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・遺伝学的解析では，レファレンス配列と解析対象の配列の比較を行う．

・同定されたバリアントの記載法にはルールがある．

・複数の手法で病原性を確認し，そのうえで遺伝カウンセリングにつなげる．

（「POINT」より）

角化異常症（魚鱗癬）における遺伝子異常とその診断後藤　文音 , 武市　拓也 46巻13号 , 2024年12月 , pp.94-96

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・遺伝性角化症の1つである魚鱗癬は，生涯にわたってQOLを損なう疾患であり，確実な診断のためには原因遺伝子について病的バリアントの検索が必須である．

・近年，魚鱗癬の病因遺伝子が多く報告されていることから，従来のサンガー法に比較して，次世代シーケンシングによる全エクソームシーケンシング解析のほうが効率よく検索できる．

（「POINT」より）

遺伝性色素異常症（白皮症含む）の遺伝子診断岡村　賢 , 鈴木　民夫 46巻13号 , 2024年12月 , pp.97-100

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・遺伝性色素異常症は，メラニンの合成や輸送などに関わる遺伝子の異常によりひきおこされる遺伝性疾患の総称である．

・色素が低下する疾患から増強する疾患，さらに両者が混在する疾患まで多岐にわたるため，まず臨床的な鑑別をしっかりすることが重要である．

・疾患によっては重篤な合併症をきたす場合もあるため，遺伝子レベルでの正確な診断は患者の予後を予測するうえで非常に重要である．

（「POINT」より）

表皮水疱症・Darier病・Hailey-Hailey病の遺伝学的解析石河　晃 46巻13号 , 2024年12月 , pp.101-103

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・次世代シーケンシングの登場に伴い，一部の遺伝性皮膚疾患は保険診療下で外注検査として遺伝子診断が行えるようになった．

・遺伝子検査では頻度の低いバリエーションが解析結果として報告されるが，最終診断は臨床像，病理組織像などを加味して総合的に判断する必要がある．

（「POINT」より）

自己炎症性疾患と膿疱性乾癬などの遺伝学的解析杉浦　一充 46巻13号 , 2024年12月 , pp.104-106

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・自己炎症性疾患は病態により4つのカテゴリーに分類される．

・保険適用で遺伝学的解析ができる自己炎症性疾患がある．

・自己炎症性角化症と膿疱性乾癬（generalized pustular psoriasis：GPP）の遺伝的研究が進んでいる．

（「POINT」より）

掌蹠角化症における遺伝子異常とその診断乃村　俊史 46巻13号 , 2024年12月 , pp.107-109

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・掌蹠角化症の多くは臨床と病理の所見から診断可能である．

・遺伝子解析はほとんどの場合，診断の確実性を担保するために行う．

・とくに長島型掌蹠角化症と点状掌蹠角化症1型は患者数も多いので，その臨床的特徴をしっかりと理解する必要がある．

（「POINT」より）

先天性腫瘍・母斑症における遺伝学的解析今福　信一 46巻13号 , 2024年12月 , pp.110-112

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・母斑症の遺伝学的解析を行うには臨床症状から疾患を疑う必要があるので，臨床症状，とくに乳児期，小児期の症状についてよく理解しておく．

・検出されたミスセンスバリアントの病原性については十分に検討する必要がある．

・母斑症の遺伝子異常にはモザイクなどの複雑な病状が混在する場合があり，検査法や解釈に注意が必要である．

（「POINT」より）

色素性乾皮症・コケイン症候群における遺伝学的解析と細胞検査森脇　真一 46巻13号 , 2024年12月 , pp.113-116

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・色素性乾皮症（xeroderma pigmentosum：XP），コケイン症候群（Cockayne syndrome：CS）はいずれもまれではあるが皮膚科医が知っておくべき遺伝性光線過敏症である．

・これらは小児慢性特定疾病，指定難病であり，早期診断確定が重要である．

・XP，CSを疑った場合には速やかに専門施設への紹介を検討する．

（「POINT」より）

モザイク疾患における遺伝学的解析齋藤　苑子 , 久保　亮治 46巻13号 , 2024年12月 , pp.117-119

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・Blaschko線に沿った分布やチェッカーボードパターンの分布など，特徴的な分布を示す皮疹をみたら，皮膚モザイク疾患を疑う．

・皮膚モザイク疾患の診断は，臨床症状や病理検査からの診断に加えて，遺伝学的診断を組み合わせて総合的に行うことが可能になりつつある．

・モザイク疾患の遺伝学的診断には，生検組織を用いた遺伝学的解析が必要なため，人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づいた臨床研究として実施する必要がある．そのため専門機関への早期の紹介・相談が望ましい．

（「POINT」より）

腫瘍の遺伝学パネル検査とそれに基づく治療選択の現状山﨑　直也 46巻13号 , 2024年12月 , pp.120-124

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・次世代シーケンシングの登場によって，ゲノム解析技術は，多数の遺伝子を同時に短時間に，また以前より安価に検索することが可能となった．その結果，がん診療の現場に包括的がんゲノムプロファイリング（がん遺伝子パネル検査）が導入され，遺伝子情報はがんの治療戦略に不可欠なものとなった．

・C-CAT（Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics：がんゲノム情報管理センター）はがん遺伝子パネル検査に基づいた新治療法開発や個別化治療の促進のための情報集約および管理と，個々の患者への国内治験や候補薬の情報報告という役割をもっている．

（「POINT」より）

皮膚機能検査

サーモグラフィー・発汗機能検査室田　浩之 46巻13号 , 2024年12月 , pp.125-126

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・X線やエコー検査のように形態的な異常の有無を評価する検査とは対照的に，サーモグラフィー検査と発汗機能検査は機能を評価する．本稿ではサーモグラフィー検査と発汗機能検査を取り上げ，その手技について概説する．

（「POINT」より）

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巻頭言向井　秀樹 46巻13号 , 2024年12月 , pp.1-1

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監修者より久保　亮治 46巻13号 , 2024年12月 , pp.2-2

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目次 46巻13号 , 2024年12月 , pp.3-4

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執筆者一覧 46巻13号 , 2024年12月 , pp.5-6

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奥付 46巻13号 , 2024年12月 , pp.127-127

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基本情報

皮膚病診療
46巻13号
(2024年12月発行)

電子版ISSN：2434-0340 印刷版ISSN：0387-7531 協和企画

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