特集 すぐに役立つ すごく役立つ 皮膚科検査の基本マニュアル
感染症検査
真菌検査
佐藤 友隆
1
1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科
pp.36-38
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000004010
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・真菌同定の基本は培養であるが,標的の真菌を純培養することはむずかしい.真菌は環境中に多く存在しており,標的の真菌以外がコンタミネーションとして培養されることがよくあるという認識が重要である.純培養された真菌を同定するには,巨大培養とスライド培養検査を行い,集落の形態を観察する.酵母は細菌検査と同様に質量分析が有用である.糸状菌については困難なことが多く,分子生物学的検査が有用である.rRNAシーケンシングは,真菌のみでなくさまざまな感染症診断に応用されているが,真菌の場合にはinternal transcribed spacer(ITS)領域をPCR法で増幅する.①原因菌と同定するには繰り返し同一真菌が培養されること,②組織内で真菌の存在が証明されることも重要となる.標的とする真菌は何かを明確にして純培養することがもっとも重要である.たとえば頭部白癬を診断する際に,動物との接触を疑う病歴があれば動物の種類や接触の内容,格闘技などの経験や,家族の趣味も聴取する必要がある.病歴から標的となる真菌を見定めて培養することが大切である.格闘技由来のTrichophyton tonsuransでは,皮疹がはっきりしないことも多く,頭皮のブラシ培養が有用である.繰り返しになるが,環境真菌をコンタミネーションしやすい真菌検査は臨床医が標的菌を明確にして検査を組み立てることが重要である.
(「POINT」より)
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