臨床雑誌整形外科 68巻9号 (2017年8月)

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腰痛を主訴に当院を受診した18歳以下の成長期患者248例(平均年齢14.5歳)を対象に、腰椎疲労骨折ありの74例(F群)と疲労骨折なしの174例(LBP群)に分け、腰仙椎の静的アライメントについて比較検討した。その結果、F群とLBP群を比較すると、仙骨のアライメント、腰仙椎部の形態はともに有意差がなく、腰椎前彎の増強もみられなかった。

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当科で頸椎前方除圧固定術を施行した262例のうち、4椎間前方除圧固定術を行った17例(手術時平均年齢67.2歳)を対象に、椎体亜全摘のみ施行した7例(C群)とハイブリッド法を施行した10例(H群)に分け、短期成績を比較検討した。その結果、年齢、入院期間、手術時間、出血量、JOAスコア、スコア改善率については両群間で有意差を認めず、癒合率は両群とも100%であった。術後矯正損失についてはH群で有意に少なかった。合併症はC群の1例に認めたが、H群ではみられなかった。

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当院で経験した外傷性頸部症候群395例のうち、外傷性胸郭出口症候群と診断した7例(男性5例、女性2例、平均年齢43歳)について検討した。受傷機転は追突6例、側突1例であった。治療内容は物理療法(頸部ホットパック)を全例に施行し、内服薬は症状に応じて対応した。平均経過観察期間は7.3ヵ月で、治療成績は寛解71%、改善29%、不変・悪化0%であった。握力の回復には平均4ヵ月、しびれの消失には平均6.5ヵ月を要した。

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外科的治療を行った胸膜外孤立性線維性腫瘍15例(男性10例、女性5例、初診時平均年齢52.1歳)の治療成績について検討した。術後平均経過観察期間43.7ヵ月の結果、発生部位は上肢が4例、下肢が4例、脊髄が4例、体幹が3例で、症状は腫瘤が10例、神経症状が2例、疼痛が2例、無症状が1例であった。大きさは平均7.6cmで、病理学的悪性例は2例であった。手術の際の切除縁は陰性が9例、陽性が6例で、放射線照射や化学療法などの補助療法の併用例はなかった。再発例や死亡例は認めず、遠隔転移は病理学的悪性例の1例にみられた。腫瘍学的転帰はCDF(continuous disease free)が14例、AWD(alive with diease)が1例であった。

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変形性膝関節症(膝OA)患者88例(男性26例、女性62例、平均年齢66±10.7歳)を対象に足部外がえしのROMを計測するとともに、足関節捻挫用サポーターを併用した高低差12mmの吊り下げ型足底板と靴に挿入する高低差8mmの足底挿板の効果を男女別に検討した。無作為に43例を足底挿板群、45例を足底板群に分類し、治療期間は4週間とし、1日に5時間以上装着するよう指導した。その結果、女性の足底挿板群では10.7%(3/28例)が「靴を1日5時間以上装着できない」という理由で脱落した。膝OA患者の足部外がえしのROMは正常値よりも低く、特に男性患者は女性患者に比べて有意に低かった。男性の改善点数は、足底板群よりも足底挿板群の方が有意に優れる結果となった。今回の検討から、女性膝OA患者の中で1日の大半を屋内で過ごす専業主婦では足底板を処方した方が生活環境に適合すると考えられた。また、足部の外がえし角度が小さい男性膝OA患者には、足底板よりも足底挿板を装着することで効果を期待できると思われた。

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75歳以上の変形性膝関節症患者35例(男性6例、女性29例、平均年齢85.4±5.6歳)を対象に、ブプレノルフィン経皮吸収型製剤(BP貼付剤)の短期的効果と安全性について検討した。その結果、膝痛の軽減は副作用で貼付中止となった2例を除いた33例にみられた。BP貼付剤の増量が必要であった症例はなく、貼付後平均4.0日には膝痛の軽減が確認できた。BP貼付剤が7日以上使用可能であった32例で検討すると、PRS(痛み緩和スケール)は貼付開始時と比べ、貼付後7日で有意な低下を認めた。副作用は11例(31.4%)で認め、うち3例はそれぞれ不穏、嘔吐、落ち着きのなさで貼付中止となったが、他の症例では重篤なものはなかった。

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64歳女性。20年前より関節リウマチ(RA)に対する内服加療中であった。今回、四肢脱力、しびれ、歩行困難、呼吸障害を主訴に受診となった。頸椎単純X線およびCT、MRI所見より、RAに伴った環軸椎後方脱臼と診断され、観血的脱臼整復および後方除圧固定術を施行した。術後は脊髄の圧迫が解除され、術後3ヵ月で四肢筋力や呼吸状態などの症状が改善、術後6ヵ月で環軸関節の良好な骨癒合が得られた。

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66歳女性。約4ヵ月前に重い荷物を持った後から背部痛を自覚し、その後、両側胸部痛、両鼠径部以下のしびれ、歩行時のふらつきが出現した。初診時、MRIおよびCT所見では胸椎硬膜外腫瘍を認めたが、全身検索では異常所見がみられず、神経原性腫瘍または血管腫の可能性が強く疑われた。だが、悪性腫瘍も否定できず、腫瘍摘出術を施行した。手術はTh8~Th9左椎間孔外に進展する腫瘍であったため、左Th8~Th9左椎間関節を切除し、インストゥルメントを用いた後方固定術を行った。病理組織学的にWHO分類grade Iの髄膜皮性髄膜腫と診断された。術直後より両側胸部痛は消失し、術翌日より歩行を開始した。その後、痙性の軽減とともに歩容は正常化し、Th-JOAは術前の5.5点から術後4ヵ月で10.5点へ改善し、退院となった。

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67歳男性。腰痛、左下肢痛を主訴に受診となった。腰椎MRIではL5/S1に椎間板ヘルニアを認め、投薬治療を開始したが、翌々日には疼痛による体動不能を呈したため緊急入院となった。入院時MRI T2強調像ではL5/S1レベルで左側に脱出した椎間板がみられ、硬膜の中等度圧迫とS1神経根の圧迫を認めた。硬膜外カテーテルを留置して2%ロピバカイン塩酸塩水和物を持続点滴したところ、疼痛は軽減したが、入院後7日目に膀胱直腸障害が出現したため緊急手術を行った。術中所見は両側の腰仙部神経根走行異常を伴う椎間板ヘルニアであった。術翌日には腰痛、下肢痛が消失し、歩行可能となり、JOAスコアは術直前の3点から術後23点に改善した。その後、独歩退院となったが、退院時も膀胱直腸障害の改善はなく自己導尿が必要であり、現在も膀胱直腸障害は残存している。

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76歳男性。2009年に他医にて左肩腱板修復術を施行され、2011年に上腕骨骨頭壊死をきたしたため人工肩関節全置換術(TSA)を施行した。その後は4年間の保存的治療を受けたものの、左肩痛および挙上困難が持続したため当院へ紹介となった。臨床経過および単純X線、CT、MRI所見より、Seebauer分類Type IIBの腱板断裂性関節症にTSAが施行された後、三角筋皮下断裂をきたしたと判断し、リバース型人工肩関節を用いた再置換術および三角筋修復術を行った。術後19ヵ月経過で疼痛は消失し、自動挙上は150°、JOAスコアは術前の16点から術後69点へ改善した。

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41歳女性。10歳時に右脛骨偽関節のため下腿切断術を施行され、術後は義足を装着していた。今回、椅子から落ちた際に右膝関節痛、右膝蓋大腿関節の不安定感が出現したため、受傷後すぐに当院へ受診となった。単純X線およびMRI所見より、右下腿切断術後の初回膝蓋骨脱臼と診断され、脱臼を徒手整復した後に膝関節を外固定した。しかし、その後も膝蓋骨脱臼を反復したため、初回脱臼から1ヵ月後に内側膝蓋大腿靱帯再建術を施行した。術後14日で義足装着下で部分荷重を開始し、術後4週で全荷重可能となった。術後12年経過現在、義足の装着が可能であり、日常生活で問題は生じていない。

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健常者62例(男性32例・年齢68.1±10.9歳、女性30例・年齢65.7歳±8.3歳)の三次元骨盤モデルを用いて、上前腸骨棘および閉鎖孔内の様々な解剖学的参照点と股関節中心との左右、上下、前後各方向における距離の相関を調査し、股関節中心の推定を試みた。その結果、大腿骨頭中心と上腕腸骨棘との相関係数はX、Z方向で低値であったことから、上腕腸骨棘は股関節中心の推定には不適当であると考えられた。一方、閉鎖孔周囲の参照点は相関係数が中等度以上であったことから、股関節中心の推定に有用であると考えられた。また、寛骨臼~閉鎖孔周囲の形状には性差があるものの、同性内では個人差が小さい可能性が示唆された。

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大腿骨骨折手術後に免荷式リフトによる歩行訓練を行った7例の成績について検討した。大腿骨近位骨折の5例には両側の恥骨・坐骨を介して吊り上げるハーネスAを使用し、大腿骨遠位骨折の2例には骨盤・両大腿近位部を包囲して吊り上げるハーネスBを使用した。その結果、全例で免荷式リフト歩行訓練中に患肢痛の増悪はなく、ハーネスAまたはBの吊り上げによる腰臀部や大腿部への有害事象もみられなかった。また、全例で運動FIM(運動機能的自立度評価法)の改善が得られ、全荷重許可での歩行様式へ移行することができた。

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症例1(75歳女性)。右股関節痛による歩行困難を主訴に受診となった。X線で関節裂隙の消失と荷重部骨頭変形がみられ、人工股関節全置換術(THA)を施行した。病理組織所見では変形性膝関節症にみられる破壊性滑膜炎が観察された。症例2(69歳女性)。16年前にTHAが施行され、1年前より左股関節痛が進行したため再置換術を行った。病理組織所見では人工関節の摩耗に基づく、磨耗性滑膜炎が観察された。

X線診断Q&A 国分 毅

卒後研修講座

筋損傷の診断と治療 奥脇 透

基本情報

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臨床雑誌整形外科
68巻9号 (2017年8月)
電子版ISSN:2432-9444 印刷版ISSN:0030-5901 南江堂

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