臨床皮膚泌尿器科 6巻10号 (1952年10月)

泌尿器科圖譜・13

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 第1例 46歳,膀胱結石兼前立腺結石。主訴 尿意頻數,排尿痛,排尿困難。膀胱鏡挿入に際して尿道前立腺部に抵抗感あり,結石に衝突する感がある。膀胱鏡的に卵圓形の結石を認める。軍純撮影により膀胱結石と共に恥骨縫合線の右縁に接して前立腺結石の陰影を認める。(第1圖)

 膀胱並に前立腺結石摘出後5日目にウンブラトールによる精嚢撮影術を施行すると,正常精嚢腺像と共に,前立腺結石摘出後の空洞内に造影劑が流入し,前立腺結石と全く相似の像を得た。(第2圖)

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I.緒論

 最近膠原病としてのエリテマトーデスが論議され,その諸變化が,Eppinger,Gross等の研究につれ漸次明らかにされつつある一方多數の腎上體皮質ホルモンが抽出又は合成に成功し,腎上體皮質ステロイド,ACTHのエリテマトーデスに對する效果は治療法に新分野を開拓し下唾體腎上體系の重要性が強調されている。膠原病と下垂體並びに腎上體皮質機能との關係は,現在不明の點少くないが,エリテマトーデスにThorn試驗を行ひそれに件う2,3の代謝變化について述べる。

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緒言

 昭利13年8月皮膚科地方會で太田教授は一群の顔面の母斑にNaevus pigmentosus opthalmo-maxillarisと名づけ發表し,その後この母斑が青色母斑に類するものとし,Naevus fusco-caeru-1eus ophthalmomaxillarisと改稱された。その詳細は谷野氏が昭和14年の皮膚科秘尿器科雑誌に發表した。

 我々は最近谷野氏分類の輕度顴骨型の患者に,さらに鼓膜,耳介,口腔及咽頭腔の粘膜に同じ様な色素斑のある患者に遭遇したので報告する。

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緒言

 近年エリテマトーデスの原因病理が再検討されると共に,種々の療法が試みられているが,我々は最近3例のエリテマトーデスにクロロマイセチンを使用してその效果を觀察したので,茲に報告する。

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Ⅱ 主として尿管の水力學的考察

1.序論

 順序としては,尿道及び膀胱に言及すべきであるが,整理の都合上尿管に就て述べる。尿管口の運動は膀胱鏡検査で或る程度まで知り得るし,造影法によるレ線撮影でも知り得る。又尿の排泄貯溜ば尿導カテーテルでも分る。最近尿管の運動については,九大の江本氏が一部實驗動物にょり觸れている。筆者は腎盂一尿管一膀胱に至る尿路に就て水力學的考察を行い,既知の事象の整理並に知見を括めてみたい。

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 直腸,子宮,膀胱等より發生する悪性腫瘍に對して夫々根治手術が行われるに到つた今日,廣汎なる骨盤臓器悪性腫瘍に對し骨盤臓器全剔除術が根治手術として理想的であることは當然考えられる處である。この手術は1950年Applebyが本手術施行後7年生存した症例を報告している點から既に1940年頃彼が最初に成功したものと考えられる。併し本手術の最初の報告者はBrunschwigであり,彼は1946年以來多數例に本手術を施行し,その第1報を1948年に發表している。そして最近本手術に對する一般の關心が頓に深まつて來たのは1つに彼の功績に歸すべきものである。かくて嘗ては有效な治療の範園を遙かに越えているかに見えた廣汎なる骨盤臓器悪性腫瘍にも治癒の道が開かれるに到り,Thompson & Howe(1950),Burt(1950). Gilchrist,Merricks,Hamlin & Rieger(1950),Bricker & Eiseman(1950),Brinthnall & Flocks(1950),parsons & Lea-dbetter(1950)等は本手術施行の1例乃至20數例に就て相次いで報告しており,Bricker & Modlin(1951)は本手術を施行した32例の經驗に基き詳細な考察を行つている。

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 膀胱炎の場合のグラム陰性桿菌としては,Escherichiaが從來最も多く重要なものとされたが現在にても其れに變りはないが,その外にProteus,Aerobacter,Pseudomonas等多くのグラム陰性桿菌が尿中に現れる。從つて診療に際してはグラム陰性桿菌に因る膀胱炎も一應考へに置く必要がある。余は尿中の細菌を研究中特異なグラム陰性桿菌を見出し如何なる菌か決定し得なかつたが,治療に對して非常な抵抗性を示した慢性膀胱炎を經驗し,且つかかる菌に因る膀胱炎の報告を未だ見ないので報告する次第である。

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 白癬菌の陰嚢に對する態度は極めて特異であつて,例えば頑癬が陰股部に廣範團にわたつて病巣を形成しているような場合でも陰嚢部位だけがひとり侵襲をまぬがれているのは毎常われわれが經驗するところである。しかしながら頑癬が陰嚢にも波及した症例はFort BenningにおけるHo-pkinsの報告もあつて絶無ではないようであるが,ここに述べるのは幼兒の陰嚢皮膚に原發した小水疱斑状白癬で,從來の症例とはいささか性格を異にするが,これを機會に白癬と陰嚢皮膚との問題にふれてみたいと思う。

 なおこの症例は第51回九州醫學會の第13分科會の席上當教室奧野助教授により圖読せられたが,その後菌學的検索をとげたのでその成績を記載する。

發疹後の皮膚色素異常症 鎌田 修一
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 皮膚疾患の治癒後に色素異常の招來する事はよく經驗される所で,特に黄色人種たる吾人では種々な病型に遭遇するが,從來の記載は概ね特殊な皮膚疾患の後貽色素異常に限られた観があつた。余は此種色素異常を主訴として外來した15ヵ年間(1937年—1951年7月)の患者139例及び最近2年7ヵ月(1949年—1951年7月)に皮膚疾患治療經過中發現せる色素異常症153例に就いて統計的觀察を試みた。

 例數:總例數は292例で原皮膚疾患のはつきりしているものは258例である。此等各疾患を4群に分類し第1表に示す。なお表には示めして居らないが,余等はLeucoderma pseudosyphilitica5例,Poliosis ciliare(眼藥點眼中睫毛及び眼瞼周圍皮膚の色素脱失を來せるもの)6例,バセドー氏病經過中に發現した白斑2例を經驗している。

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 從來も疣贅類をヴイールス性疾患とする假定の下にアンチモン劑,蒼鉛劑等を以てする所謂化學療法がこの病類にも試みられ,相當な成績が確認されていた。即ち吾教室でも昭和15年(1950)山崎,齋藤は青年性扁平疣贅,尋常性疣贅の治療にアンチモン劑のスヂブナールを使用,好成績を擧げ,昭和22年(1947)谷奥は尋常性疣贅の16例,青年性扁平疣贅の24例に蒼鉛含有量1竓中0.1瓦のギフロンを1回1竓,週2回,臀筋内に注射,尋性疣贅に對する有效率を56.3%,青年性扁平疣贅に對する夫れを79.1%とした。化學療法劑中,所謂抗生物質の疣贅類への使用は最近のことに屬する。今その報告を見るに,先づオーレオマイシンでは1950年Hollander Hardyはその鹽酸鹽を10例の疣贅に1回量250mg,1日3回,14日間,内服せしめ,うち僅かに2名にのみ效果を認めた。又同年Sawicky et alはオーレオマイシン鹽酸鹽を3%の割に含有させたラノリン,鑛物油及びワゼリンを各種皮膚疾患に試み,膿痂疹,毛瘡,二次感染には有效だが,尋常性疣贅ではその全9例に無效,單純性疱疹,痤瘡及び手の慢性濕疹にも同様とした。但し一方1951年Sidney Hillsはオーレオマイシン軟膏を6才小兒の顔面及び手脊に1年前から存在する80ヶ餘りの扁平疣贅に10%の三鹽化醋酸に併用,治療聞始後1週間で痕跡なく治癒せしめたと報じてゐる。

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 最近皮膚科領域に於て盛に内分泌腺臓器の移植療法が施行されているが,私の見る事の出來た所では,幼小兒に對して之を行つた例は稀であつて,齋藤氏は4才女子の先天性汎發性生毛不全症兼先天性足底角化腫に腦下垂體移植を行い效果を認めたと述べ,後藤氏は3才と5才の女子の毛髪發育不全症に腦下垂體移植を行い效果を得たと述べているに過ぎない。當警察病院皮膚科に於ても幼小兒に對して腦下垂體ならびに副腎の移植術を行つたので報告する。

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緒言

 アセトコリンの存在は,古くより知られていたが,純粋には1914年Ewins麦角より取り出したのが始めであり,次いでDaleに依り藥理學的に研究され,臨床的には1926年Villaret,Besanconに依り使用されたことに始まり,Weiandに依り胃腸の副交感神經性緊張を保持する作用のあることが見出され,更にLehewxに依ればAuerbach氏神經叢の生理的興奮を起すものと考えられ,又必臓に對し抑制的に作用し,Adrenalinに依る血壓亢進を下降せしめ,動脈及び小動脈を擴張し,未端の血液循環を調節し,血管の痙攣を解消する。その他滑平筋緊張を高める作用のあることが知られている。

 余は第一製藥の製品であるオピソートを外用として使用し,優秀な結果を得つゝあるので,こゝに報告する。

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緒論

 血管腫は多くは先天性の發育異常に依るもので一種の過誤腫(Hamartome)に屬するもの多く,一般には眞性腫瘍と區別している事が多い。血管腫の發生部位は軍純性血管腫は皮膚及び皮下に最も多く,海綿状のものは皮膚に好發し,筋肉,肝臓,腎臓等の諸器官にも稀に見られ,蔓状のものは皮膚に好發するが時折内臓諸器官にも見られる事があると云われている。粘膜殊に膀胱粘膜に發生せる血管腫の報告は本邦に於ては,阿久津氏(大正8)以來今日迄に僅かに9例に過ぎない。本症の主訴は1,2の例外を除き殆んど全例が血尿を訴えているが,吾々は最近病理組織學的に典型的な海綿状血管腫の像を呈せる巨大なる膀胱粘膜血管腫を經驗したが,其の臨床所見が從來の報告とやや趣を異にしているので,自家症例を報告すると共に主として本症の臨床的事項に就て,考察を試みる次第である。

所謂鹽素痤瘡の1例 姉小路 公久
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緒言

 我々は某研究所に於て,鹽素關係の實驗に携つて居た1研究員に面皰,尋常痤性瘡様發疹,ミリウム様發疹,皮下膿瘍を發來し,之が職業的皮膚疾患と考えられる1例に遭遇し,些かこれに検討を加えることが出來たので,ここに報告する。

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 吾々は惡性腫瘍に對して所謂根治手術を行つた場合其の成果を償うため或は豫防的の意味でしばしば術後X線照射を併用するがこの場合悪性腫瘍を目標としているのであるから照射は充分に行わねばならぬことは論を俟たない。然しその場合副作用としてレントゲン火傷を發生することも時にまた己むを得ない。X線火傷時の潰瘍は普通の潰瘍と異り變化は深部にまで及び殊に血管が侵されるので創の治癒傾向は極めて惡いこと且つ激烈なる疼痛を伴うことがその特徴とされている。

 從來之が治療としては無刺戟性ワセリン,ラドン軟膏,アネステジン軟膏等又は連續的に温浴をとらすとか種々の鎭痛劑,麻醉劑が用いられている。時には潰瘍面を切除して有莖皮膚移植を行う様なことも試みられるが局所の肉芽不良なる爲所期の目的を達することはしかく簡單ではない。何れにしてもその經過は極めて長く特に激痛に對する患者の苦痛は大きい。

興味ある紫斑の1例 宮本 利策
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 最近私は前躯症なく突然に四肢に掻痒なき丘疹を生じ,間もなく中央に出血點を認め然もその出血は丘疹全體に擴大し,時と共にその部分が壊死に陥り疼痛を伴い淺き潰瘍となり,瘢痕形成及び色素沈着を殘して治癒せる興味ある1例を經驗したのでこゝに報告し,大方御批判仰ぎたいと思う。

海外トピツクス
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進行せる前立腺癌の物質代謝性療法

 前立腺癌の女性ホルモン療法の發案者であるWilliamP.Herbstは,最近その10週年を迎えるに當り進行せる前立腺癌の抗男性ホルモン療法を中心とする物質代謝性療法(metabolic management)の趨勢を述べると共に自己の意見を次の様に述べている。

 前立腺癌は外科的に剔除すべきであると言う點に關して今日論爭の餘地のない處である。たゞ根治手術の適應症の判定に關しては問題がある。Colstonは手術不能の患者にdiethylstilbestrolを投與して手術を可能にしたが,Herbstは患者が不快でなく自己の活動をなし得る間は除睾術も女性ホルモンの投與もすべきでないと考えている。排尿障碍のある際には勿論經尿道的切除術を施行すべきであり,患者の全身壮態が不充分であり又衰弱に傾く際には除睾術が適應する。たゞ患者が除睾術を好まない場合及び患者に診斷を打ちあけないで治療して行くには女性ホルモン療法がよい。Mungerの施行した放射線療法による去勢術は外科的除睾術よりも效果が不確實であるが,患者が手術を好まない時にはなすべき療法である。

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皮膚科

外國文献

成年および思春期における頭部白癬

思春期以後に發生した本症の57例を報告,うち成人にみられたものは39例で,それらにっき年齢,性,罹患年齢,期間,經過および經過中における内分泌系の影響等につき檢討を加えている。著者の經驗によると思春期以後に本症をみることは必ずしも稀ではなく,テキサスにおいては過去20年間にみられた本症例中5%を占めている。このうち髪内性白癬菌が82%を占め,菌種別ではTrichophyton tonsuransが91%で,全白癬菌中87%,全症例中73%の高率を占める。本菌による場合の臨牀像は甚だ變化にとみ,少くとも一般の頭部白癬に類似することは先づないが,さればと云つて他の慢性皮疹を思わせる像を呈することもない。從て本症を診定するための唯一の手掛りは,罹患病巣の鱗屑ならびに病毛であり,鱗屑は時とすると二次的炎症によるものと誤認し易いおそれがある。WoodのライトはTrichophyton tonsur-ansによる場合,診斷的意義はない。治療は一般の頭郎白癬における如く局處治療に期待はもてない。唯レントゲンによる抜毛(390〜410γ)或は手で克明に鱗屑および毛髪の斷端等を取除くことが非炎症性感染の場合に一應適當な治療と云うことが出來る。(S.Lewis Pipkin-Arch.Dermat.&Syph.66:9,1952)

基本情報

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臨床皮膚泌尿器科
6巻10号 (1952年10月)
電子版ISSN:2188-6164 印刷版ISSN:2188-6156 医学書院

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