皮膚科懇話会
組織培養と皮膚の構造
土肥 淳一郎
1
,
橋本 謙
2
,
川村 太郎
3
,
北村 包彦
4
,
福代 良一
3
,
小堀 辰治
5
,
鈴木 滋
6
,
野口 義圀
7
,
小嶋 理一
8
1慈恵会医科大学
2昭和医科大学
3東京大学
4東京医科大学
5東京逓信病院
6都立大久保病院
7横浜市立大学
8三楽病院
pp.93-98
発行日 1960年1月1日
Published Date 1960/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202750
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〔抄読〕
組織培養と皮膚の構造
「組織培養と皮膚の構造」という問題を取り上げましたが,今まで教室で撮影しました表皮の組織培養の映画を見ていただいて,それから考えられる皮膚の構造というようなことについて,私の考えておりますことをお話してそれについてdiscussionをしていただきたいと思います。
組織培養といいますのは,御存じのように動物又は植物の組織を体外に取り出して,適当な栄養物を与えて,試験管の中で生命を維持させ,増殖させることです。現在の段階では,組織培養というよりは,細胞培養といつた方が良いのではないかと思います。ですから,生体における組織そのものを再現するというところまではいつてない状態ではないかと思います。ですから,主として細胞学的には詳細な所見が出ておりますけれども,組織ということになりますと,まだいろいろ問題が残つています。ただ組織培養で一番大きな利点は,生きている細胞をそのまま目で見ることができるということ,これは死んだ細胞を扱つている世界ではまねのできない非常な利点だろうと思います。
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