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疣贅に對するテラマイシン軟膏の效果
山田 櫻子
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1東京大學醫學部皮膚科教室
pp.493-494
発行日 1952年10月1日
Published Date 1952/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200815
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從來も疣贅類をヴイールス性疾患とする假定の下にアンチモン劑,蒼鉛劑等を以てする所謂化學療法がこの病類にも試みられ,相當な成績が確認されていた。即ち吾教室でも昭和15年(1950)山崎,齋藤は青年性扁平疣贅,尋常性疣贅の治療にアンチモン劑のスヂブナールを使用,好成績を擧げ,昭和22年(1947)谷奥は尋常性疣贅の16例,青年性扁平疣贅の24例に蒼鉛含有量1竓中0.1瓦のギフロンを1回1竓,週2回,臀筋内に注射,尋性疣贅に對する有效率を56.3%,青年性扁平疣贅に對する夫れを79.1%とした。化學療法劑中,所謂抗生物質の疣贅類への使用は最近のことに屬する。今その報告を見るに,先づオーレオマイシンでは1950年Hollander Hardyはその鹽酸鹽を10例の疣贅に1回量250mg,1日3回,14日間,内服せしめ,うち僅かに2名にのみ效果を認めた。又同年Sawicky et alはオーレオマイシン鹽酸鹽を3%の割に含有させたラノリン,鑛物油及びワゼリンを各種皮膚疾患に試み,膿痂疹,毛瘡,二次感染には有效だが,尋常性疣贅ではその全9例に無效,單純性疱疹,痤瘡及び手の慢性濕疹にも同様とした。但し一方1951年Sidney Hillsはオーレオマイシン軟膏を6才小兒の顔面及び手脊に1年前から存在する80ヶ餘りの扁平疣贅に10%の三鹽化醋酸に併用,治療聞始後1週間で痕跡なく治癒せしめたと報じてゐる。
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