地域リハビリテーション 13巻12号 (2018年12月)

特集 地域の居場所—コミュニティカフェ

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 人と人が出会う場所や,同じ境遇をもった人たちの情報交換の場,自宅や職場以外にふらりと立ち寄れる場所として,コミュニティカフェという「居場所」が注目されています。認知症カフェや高齢者のサロンだけでなく,失語症や栄養,子育て世帯や介護・支援者側が集うような,さまざまなかたちの「居場所」もつくられ始めています。地域コミュニティの核として,「居場所」の役割と可能性を考えてみたいと思います。

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はじめに

 気心知れた人たちと集う居心地の良さがあれば,都会の雑踏で過ごす孤独にほっとすることもある。人がどんなときにどんな場を求めるのかは,一人ひとりその時々で異なる。「居場所づくり」をするときには,この前提を忘れずにいたい。

 「地域に居場所をつくり出そう」という試みは,市民活動の文脈ではトラッドなものだ。何か悩みや問題を抱えている当事者が,「同じ悩みや問題を抱えている人どうしで,とりあえず集まってみよう」ということで,実際に集まって互いの悩みや思いを共有する。多くの悩みは簡単には解決しないが,それでも悩みを話すだけで心が軽くなる。そのようにしてその場の価値が発見され,いつしかそこを「自分の居場所だ」と感じるようになる。悩みは人を孤独にするが,悩みでつながると居場所ができる。

 「居場所づくり」というときには,例えば「一人暮らしの高齢者向けの居場所をつくろう」というような,居場所づくりそのものが動機になっているものと,なんらかのテーマ・関心事・問題意識などで活動が始まり,そこが結果として居場所になるという場合と,両方がある。どこを意識して動き出したかという違いだけで,それらの価値は同じだ。

 今,認知症カフェ・子ども食堂・地域サロンなど,改めて「地域の居場所づくり」が注目されている。そのような居場所づくりに取り組もうとする人たちも増えている。これから居場所づくりに取り組みたい方や,興味がある方に向けて,何がどうなると居場所になるのか,その本当の価値は何なのか,居場所のつくり手はどうあるべきなのか,順番に示したい。

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活動の目的と経緯

 「病気になった人の栄養管理ではなく,病気になる前に予防したい。軽度なうちに重症化予防で栄養にかかわりたい」と思っていたところ,埼玉県和光市が介護保険制度改正で介護予防の開始にあたり,栄養事業を始めたいと考えていると聞いた。栄養事業ができるよう,2006年4月に管理栄養士や栄養士らでNPO法人ぽけっとステーションを設立した(図1)。2014年4月には,まちかど健康相談室(栄養ケアステーション)を開所し,看護師,保健師,歯科衛生士も加わった。

 2000年に介護保険制度が始まったが,栄養士が介入するケアプランは少ない。管理栄養士の居宅療養管理指導はあるが,摂食困難者の指導などであり,対象者も限られる。2006年に始まった介護予防も,運動器の機能向上,栄養改善,口腔機能の向上,閉じこもり予防・支援,認知症予防・支援,うつ予防・支援の6分野において施策が実施とあるが,「栄養改善」を実施している行政は少ない。和光市は,6分野すべての施策に取り組み,効果を上げている。

失語症カフェ「ワックル」 園田 尚美
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失語症カフェ「ワックル」とは

 話っ来る,和っ来る,輪っ来る,失語症コミュニティカフェ「ワックル」の語源は,話の話,仲間の輪,人の和,平和の和など,さまざまな「わ」から始まっている。

 この事業は株式会社言語生活サポートセンター(以下,弊社)(図1)と,特定非営利法人日本失語症協議会との協働事業として,2016年から偶数月の第3日曜日に定期的に開催している。また,2018年7月から新たに,失語症のある家族を持つ方限定で奇数月の第3日曜日に「失語症家族カフェ」を開催の運びとなった。いずれも午後1時半から3時まで開催している。

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はじめに

 少子高齢者の進展や核家族化が進み,地域社会や家庭の機能が大きく変容している中で家族,とりわけ地域におけるつながりはより一層希薄になってきていると言える。子育て中の親たちも決して例外ではない。

 子育て中の親たちが,隣近所のおじちゃん,おばちゃんに,悩みごとを聴いてもらい相談ができる気さくさはなくなってしまった。子どもたちもまた,隣近所の大人たちから見守られて,成長してきた時代ではなくなった。

 こんな時代だからこそ,地域でのつながりを育み,居場所づくりが不可欠だと考える。よく言われる,子育ては「孤育て」であってはならない。「子育ては一人ではないよ」

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 東京都目黒区で認知症カフェの多拠点展開に取り組んでいる。名称は“Dカフェ”。「総合病院」「介護事業所」「飲食店」などを会場に,特徴の異なるカフェを10カ所運営している(表)。

 1980年代から,母のアルツハイマー病と並走した。2000年に目黒認知症家族会たけのこに参加。「認知症でも大丈夫町づくり2008モデル」に顕彰されるなど,活発な活動を続けていたが,一方で家族会というロールモデルに限界も感じていた。認知症当事者と家族だけでなく「認知症に関心がある」人々が気軽に集える場所が必要だと…。そこで,家族会の次世代モデルとして,カフェスタイルの認知症交流を構想した。築70年の自宅を建て替えて始めることにし,ネーミングは「ラミヨ」とした。フランス語のラミ(L'ami:友だち)と母の名・伊代から成る造語で,認知症の仲間たちといった思いを込めた。しかし,着工直前,震災の年の夏に母は98歳で逝ってしまった。ろうそくの炎がふっと消えるように,在宅の平穏死だった。

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はじめに

 「未来をつくるkaigoカフェ」は介護やケアにまつわる身近なテーマをもとに,さまざまな立場の方が,肩書や役職を抜きにした自由な対話の中で気づきや学びを共有する場である。6年前の2012年7月のオープニングイベント以来,出張カフェも含めて100回以上開催し,延べ7,000人以上の方に参加していただいている。

 カフェはご案内をすると,ほぼ1日で100名程度の参加者が集まる。それはだんだんと口コミで広がっていった経緯もあるが,多くの医療福祉職が対話する場を求めていた,ということもあるのではないかと考える。

 筆者がカフェを始めた経緯や現在の活動について,これからの展望も交えてお伝えする。

巻頭言

平成30年7月豪雨災害 岡 光孝
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 西広島リハビリテーション病院(以下,当院)がある広島県で,また豪雨災害が発生してしまった。

 今回は広島県だけでなく,岡山県・愛媛県を含む中国・四国地方が広い範囲で大きな被害に遭った。

連載 脳卒中慢性期のリハビリテーションメソッド 起き上がり編・第6回【最終回】

上体を起こせない症例 福田 俊樹
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 起き上がり動作のポイントとして第2〜3回では肩が引けてしまう症例,第4〜5回にて下肢を降ろせない症例について紹介してきたが,最終回の今回は上体を起こせない症例について評価と介入方法を検討していきたい。

連載 高次脳機能障害者のための脳機能アッププログラム・第12回【最終回】

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 今回は,「地域イベントへの参加」について職員のザキさんが,「ドリームサロン」について私(ちずさん)が,そして「一泊旅行」について職員のムーランさんが解説します。

連載 在宅生活を豊かにするシーティング技術・第9回【最終回】

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はじめに

 今回の連載は医療機関のシーティングからはじまり高齢者施設や在宅支援のシーティングまで専門領域のセラピストに執筆していただいた。読者の方々には全体を見ていただくと,ご自分の領域でのシーティングの取り組みの参考になったかと思う。特に摂食・咀嚼・嚥下のシーティングについては多くの執筆者が取り上げ,フレイル予防から誤嚥性肺炎の予防を含むシーティングの展開の実例が示されていた。また,地域包括ケアシステムのシーティングと多職種連携についても事例を通しながら紹介があった。しかしながら,国内では「寝かせきり」に起因する褥瘡発生から拘縮・変形,誤嚥性肺炎,ひいては知的には問題はなく重度障害により座位がとれないために,働く機会に恵まれない方もまだ多い。

 シーティング技術は,障害のある人や高齢者が椅子・車椅子,または座位保持装置を適切に活用し,活動と参加の支援,二次障害の予防,介護者の負担を軽減することである1)。前回までの連載では触れられていない褥瘡予防のシーティング,高位頸髄損傷者の事例を通して褥瘡対応から就労サポートに関連するシーティングについて解説する。

連載 そうだったのか!地域リハビリテーション活動支援事業・第12回【最終回】

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表:いろいろ聞きすぎて,もうおなかいっぱいって感じです。興味関心をもって,一歩踏み出すことが大事ということは理解しました。じゃあ,最後に安本さんがこの事業にこれからかかわるリハ専門職に向けて,一番大切だと思うことを教えてください。

安:了解。その前に,ちょっと気になることがあるので良いかな。裏さん,以前会ったときに比べて,とても表情豊かで,笑顔が素敵で,しっかりうなずきながら話を聞いてくれていたよね。もっとクールであまり表情を変えない人だと,勝手に思い込んでいたよ。失礼ながらとても良い変化だと思って。

連載 介護期から終をみすえたリハビリテーションの実践・第6回【最終回】

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はじめに

 最終回は,第1回で大田仁史さんが提案されています具体的支援の中にある「家族へのケア」を取り上げます。この「家族へのケア」は,介護期,終末期と一貫してチームが担うもので,家族が抱える疲労やストレス,不安,別離の悲しみや罪責感,そして悔いの心などを理解したうえで,寄り添い,少しでもそれらを軽減しようというものです。ここでは,「家族へのケア」の基本をお話し,次に脳卒中者の追跡調査で出会った家族を紹介して「家族へのケア」を考えてみたいと思います。

連載 神奈川県立特別支援学校での内部専門家としての専門職の活用・第6回【最終回】

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 神奈川県は,障害のある子どもを含めすべての子どもの教育的ニーズに応える「支援教育」を柱に,積極的に教育改革を進めてきた1)。1990年代からは特別支援学校の教諭を対象とした「スクールサイコロジスト養成講座」(個別教育計画に基づく教育と地域支援の研修)が行われ,2004年から「教育相談コーディネーター研修」が実施され,支援教育の実施を担う教員の育成に力を入れてきた。そして2008年からはPT,OT,ST,心理職が自立活動教諭(専門職)として特別支援学校に配置された。教員のチームワークを強化しながら,特別支援教育に関連する専門職を学校に導入することは,まさに「チーム学校」の先駆けであり,今後のモデルとなる。本校ではチーム学校の視点から,神奈川県の特別支援学校における自立活動教諭(専門職)の意義について検討したい。

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要旨 本研究の目的は,在宅脳卒中患者の活動を身体活動量と活動範囲の両面からとらえ,これらに影響する要因を身体機能,動作能力,社会的および心理的因子の点から検討することである。在宅脳卒中患者および高齢者40人(脳卒中群16人,その他疾患群24人)を対象とした。対象者の基本情報,身体機能,基本動作能力,日常生活活動能力,手段的日常生活活動能力,転倒歴,転倒恐怖感,身体活動量,活動範囲を調査し,群ごとに,身体活動量および活動範囲との関連要因を重回帰分析にて抽出した。結果,脳卒中患者では日常生活活動能力,手段的日常生活活動能力および歩行能力が,その他疾患患者では年齢や性別,歩行能力,転倒恐怖感がそれぞれ身体活動量,活動範囲との関連性が高く,影響を及ぼす可能性が示唆された。

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地域リハビリテーション
13巻12号 (2018年12月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1880-5523 三輪書店

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