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はじめに
在宅経腸栄養法(home enteral nutrition:HEN)の適応としては消化管が安全に使用できる在宅患者ということになる。保険適応となる在宅成分栄養経管栄養法の適応としては「諸種の原因によって経口摂取ができない患者,または経口摂取が著しく困難な患者について,在宅において患者自らが実施する栄養法であり,栄養素の成分の明らかなものを用いた場合,対象となる患者は原因疾患の如何にかかわらず,在宅成分栄養経管栄養法以外に栄養の維持が困難なもので,当該療法を行うことが必要であると医師が認めたもの」とされており,在宅で栄養状態を維持するために経腸栄養法が必要と医師が認めた患者のすべてが適応と考えられる。具体的には脳血管障害などによる摂食嚥下機能障害患者,クローン病患者,胃がん,食道がんなどのがん患者などが挙げられる(表1)。
最近では社会の高齢化に伴い,認知症患者の在宅経腸栄養も増えてきている。
在宅経腸栄養法を行う場合でも定期的な栄養評価は必要である。また経腸栄養法を長期にわたって行うことで,さまざまな合併症が起こってくるため注意が必要である。病院退院時に立てられた栄養管理計画に基づいて漫然と栄養剤投与を行っていた場合に体重増加をきたしたり,逆に体重減少をきたしてしまう場合もあるために定期的に栄養アセスメントを行い,必要カロリー量,水分量などを計算して適切な栄養管理を行うことが大切となる。経口摂取可能であっても,経口摂取だけでは十分な栄養が摂取できない場合には,経腸栄養にて補助する場合もある。その場合には必要な時だけチューブを経口もしくは経鼻で胃まで挿入して間欠的に栄養投与を行う間欠的経口食道経管栄養法(oro-esophageal catheterization:OE法)や間欠的経口胃経管栄養法(intermittent oro-gastric catheterization:IOG法)なども選択することができる。在宅患者の療養環境はさまざまであり,経腸栄養を行うに当たっては介護者,療養場所,リハの程度に応じて栄養管理プランを考えることが大切で,短時間に行うために半固形化栄養法を選んだり,高濃度栄養剤を用いて1日3回投与を2回にしたり,いろいろな方法が選択可能である。患者の状況に合わせて提案できる知識を持っていることが在宅スタッフには求められている。また経管栄養を行うことで栄養状態が改善して嚥下機能も改善することがあり,そのような可能性があると考えた場合には,いつでも摂食嚥下評価,嚥下訓練を行うことで少しでも経口摂取ができるようにする連携も重要である。
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