特集 地域の居場所—コミュニティカフェ
多様な「居場所」が地域を豊かにする
長田 英史
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1NPO法人れんげ舎
pp.888-891
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003201005
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はじめに
気心知れた人たちと集う居心地の良さがあれば,都会の雑踏で過ごす孤独にほっとすることもある。人がどんなときにどんな場を求めるのかは,一人ひとりその時々で異なる。「居場所づくり」をするときには,この前提を忘れずにいたい。
「地域に居場所をつくり出そう」という試みは,市民活動の文脈ではトラッドなものだ。何か悩みや問題を抱えている当事者が,「同じ悩みや問題を抱えている人どうしで,とりあえず集まってみよう」ということで,実際に集まって互いの悩みや思いを共有する。多くの悩みは簡単には解決しないが,それでも悩みを話すだけで心が軽くなる。そのようにしてその場の価値が発見され,いつしかそこを「自分の居場所だ」と感じるようになる。悩みは人を孤独にするが,悩みでつながると居場所ができる。
「居場所づくり」というときには,例えば「一人暮らしの高齢者向けの居場所をつくろう」というような,居場所づくりそのものが動機になっているものと,なんらかのテーマ・関心事・問題意識などで活動が始まり,そこが結果として居場所になるという場合と,両方がある。どこを意識して動き出したかという違いだけで,それらの価値は同じだ。
今,認知症カフェ・子ども食堂・地域サロンなど,改めて「地域の居場所づくり」が注目されている。そのような居場所づくりに取り組もうとする人たちも増えている。これから居場所づくりに取り組みたい方や,興味がある方に向けて,何がどうなると居場所になるのか,その本当の価値は何なのか,居場所のつくり手はどうあるべきなのか,順番に示したい。
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