保健師ジャーナル 75巻9号 (2019年9月)

特集 若年性認知症者と家族の理解と支援

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若年性認知症には,家庭内の経済的な問題や家族関係の再構築,多重介護,相談・支援体制の未整備など,高齢者の認知症とは異なる課題がある。改正社会福祉法では包括的支援体制の構築を市町村の努力義務としているが,これらの課題を抱える若年性認知症者とその家族に対する支援が十分に進んでいるとは言えない。本特集では,疫学調査や先進的な取り組みからその現状を紹介し,支援や共生の糸口を探る。

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若年認知症の特徴や,医学的・社会的な課題を概観するとともに,高齢者の認知症とは異なるニーズを持っている若年性認知症の人とその家族に対する支援策について解説する。また,就労継続を支援するための対応や,2016年度から都道府県等に配置されている若年性認知症支援コーディネーターの役割についても述べる。

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都道府県ごとに配置され相談支援の最前線を担っている若年性認知症支援コーディネーター。筆者の東京都若年性認知症総合支援センターでの経験を踏まえ,事例を通してその役割を紹介し,アセスメント,就労支援,家族支援などの上で必要な知識や考え方について述べる。

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「若年認知症サポートセンターきずなや」は,奈良県で若年性認知症者の居場所づくりや雇用創出などの活動を展開している。その経緯と,本人や家族のニーズを踏まえた取り組みの内容,また若年性認知症支援と地域づくりとの両立を可能にする考え方についても述べる。

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東京都世田谷区では若年性認知症に関する取り組みとして,区民への普及啓発や,通所介護プログラム開発などを実施している。このうち当事者が意欲的に参加できる「社会参加型」通所介護プログラムの開発を中心に,その経緯と内容,評価,今後の展開などについて述べる。

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横浜市の若年性認知症に関する施策について,その背景となる本人・家族の課題と,インフォーマルサービスを含めた具体的な取り組みを報告する。またこれらの経験を通して感じた,保健師が若年性認知症の支援に取り組む意義や,当事者のニーズに寄り添うことの大切さなども述べる。

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周防大島町の概況

 山口県周防大島町(以下,本町)は,山口県の東南部に位置する面積138.09km2の島であり,瀬戸内海では淡路島,小豆島に次ぐ3番目に大きな島です(図1)。本土とは,大島大橋で連結しています。

 人口は1万6561人,高齢化率54.6%(2019〔平成31〕年4月1日現在)と過疎化,少子高齢化が著しい。このため,町政の重点施策の3本柱に「定住対策」「防災安全対策」「健康づくり」を掲げ,取り組みに注力しています。しかし,県内の健康状態を比較した統計では,心疾患の標準化死亡比や血圧高値者の標準化該当比も高く(表1),町国民健康保険の医療費からも循環器疾患対策が大きな課題となっています。

 

山口県周防大島町では,従来から循環器疾患に関連する課題が大きく,健康づくりの中核に「ちょび塩(減塩)」を据えて活動を進めてきました。産官学民が協働する町民一丸での健康づくりへと発展してきたこの取り組みについて紹介します。

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はじめに

 医療・介護・介護予防・生活支援等が包括的に確保される地域包括ケアシステムの構築・深化が求められる中で,住民の主体的な支え合いを育み,暮らしに安心感と生きがいを生み出す「我が事」・「丸ごと」の地域づくり,「地域共生社会」の実現に向けた改革が行われている1)。行政の健康づくりに関わるスタッフは,健康教育を通して,住民に情報を提供して対話し,関係機関とともに支援し,住民が自信を持って楽しく主体的・継続的に健康づくりに取り組めるよう環境を整備する必要がある2)

 このような中,茨城県立健康プラザでは,2017(平成29)年6月,県,県内保健所,県内市町村保健センターの健康づくり担当者を対象に,住民自らが健康問題を抽出,課題を設定し,健康づくりの企画を行い,主体的な活動に移すことができる健康教育の手法の説明会として,「主体的な活動につながる健康教育への支援」を開催した。この手法とは,アクティブラーニングを取り入れた「7つの議題で行うグループ・ディスカッション」である。

 その後,2017年11〜12月に,つくば市内の74の市民団体を対象に,この手法を用いて自主活動化を勧める健康教育を,地区別に計7回実施した3)

 本稿では,「7つの議題で行うグループ・ディスカッション」の手法について説明するとともに,その手法を用いたつくば市の事例と,手法の応用について紹介する。

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「公衆衛生看護学の体系」とは,保健師が公衆衛生看護活動を実践していく上で必要な学問を体系的に整理したものです。現場の保健師もその内容を理解し,自身のスキルアップや人材育成に活用できます。今回は,感染症分野の事例から,保健師活動と体系との関連を学びます。

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 鶴岡市は,山形県の西部に位置し,南部は新潟県に接しています。現在の鶴岡市は,2005(平成17)年10月に近隣の1市4町1村が合併してできました。日本海・月山を含む山岳・庄内平野と多彩な自然環境を有し,市として面積は東北最大の広さがあります。農林漁業から温泉街まで,面積が広い分,さまざまな職業の方がいます。人口は12万6195人,世帯数は4万8718世帯,人口は若干減少していますが世帯数は増加傾向にあります。高齢化率は34.2%で,3人に1人が65歳以上になります(いずれも2019〔平成31〕年3月末時点)。出生数は年間828人で出生率は6.5,死亡数は1880人で死亡率は14.7(平成28年人口動態統計),介護保険認定率は20.6%,特定健診受診率51.8%,特定保健指導修了者の割合は31.3%,メタボリックシンドローム該当+予備群者の割合は26.3%と山形県平均よりも良好な割合です(いずれも2016〔平成28〕年度実績)。

 現在の保健師の体制は,健康課33人,長寿介護課(介護予防担当)2人,子ども家庭支援センター(虐待防止担当)1人,職員課(職員の健康管理)1名の37人体制で,健康課以外の部署には管理期の保健師が配置されています。2019(令和元)年度は,統括保健師は健康課長に位置付けられています。

連載 数式不要!はめ込み統計学 保健師のための統計これだけ・9

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はじめに

傾向性の検定とは?

 今回は,傾向性の検定について学習します。この検定も保健領域では有用な検定法の1つですので,この機会にぜひ習得してください。まずは,図1をご覧いただくと,傾向性の検定を直感的にご理解いただけると思います。

 これは架空のデータですが,ある地区の成人男性の1日の喫煙本数を,少ない順に4つのグループ〈0本〉〈1〜9本〉〈10〜19本〉〈20本以上〉に分け,各グループの肺がんの頻度を示しています。A地区では,喫煙本数が増えるに伴い,肺がんの頻度も階段状に上昇しています。つまり,喫煙本数と肺がん頻度には,用量依存性があるように見えます。用量依存性というのは,一方(上記の例では喫煙本数)が増えれば,他方(上記の例では肺がんの頻度)も漸増する関係,あるいは逆に,一方が増えれば他方が漸減する関係,を言います。それに対して,B地区では,喫煙本数の増加に伴い,肺がんの頻度が漸増している訳でも漸減している訳でもありません。つまり,用量依存性は認められません。

 上記の例のように,「生活習慣」と「病気」との間に有意な用量依存性があるか否かを評価する方法として,コクラン・アーミテージ検定を用いることができます。上記の例では,生活習慣は「喫煙本数」,病気は「肺がん」です。

 別の例を挙げれば,運動習慣の程度を,1週間のうち〈1日もなし〉〈1〜2日〉〈3〜6日〉〈毎日〉のように4段階に分け,運動する日数が増えれば,糖尿病の頻度が有意に減少するか否かの判断するような場合も,コクラン・アーミテージ検定を用いて解析できます。

連載 見たい統計 自在に分析! 保健医療福祉計画データウェアハウス・17【最終回】

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 データウェアハウス(DWH)のメリットの1つは,異なる統計表の間でも,例えば同一の市町村データを連結(リンケージ)した相関等の分析が容易にできることである。例えば,市町村国保の特定健康診査の受診率やメタボ該当率とその市町村の医療費との間に関連があるかを分析したければ,国民健康保険事業年報の医療費データとレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)から得られる特定健康診査・保健指導データを,同一市町村ごとに結合すればよい。

 市町村別データは刊行物にすると膨大になるので,これまでは刊行物には都道府県別の統計表のみが掲載され,市町村別データは厚生労働省にて閲覧のみ許される「閲覧公表」とされることが通常であった。そうした閲覧公表データがe-Stat*1上に掲載されるようになり,DWHへの加工も主に閲覧公表データについて行っている。

連載 ニュースウォーク・256

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 秋も未だしというのに,「秋刀魚の歌」を口ずさんでいた。夕食の場だから,向かい合う細君がけげんそうにこちらを伺っている。

あはれ 秋風よ 情(こころ)あらば伝へてよ

—男ありて 今日の夕餉(ゆふげ)に ひとりさんまを食(くら)ひて思ひにふける と。

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基本情報

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保健師ジャーナル
75巻9号 (2019年9月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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