保健師ジャーナル 74巻10号 (2018年10月)

特集 保健師がつくる地域共生社会

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2017(平成29)年の改正社会福祉法で「我が事・丸ごと」の包括的支援の理念が明確化された。課題を抱える個人や世帯に対する適切な支援が図られることとなる中,地域共生社会を理解し,保健師としてどのように関わればよいかについて考える。

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地域共生社会とは何か,これまでたどってきた道のりと法整備について概略するとともに,これからの地域づくりの方向性について考える。また,今後保健師に期待される役割について述べる。

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社会福祉法改正,地域福祉(支援)計画策定ガイドライン改定の背景とその概要について紹介するとともに,今後の地域共生社会構築に向けた展望と保健師への期待について述べる。

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藤沢市では「藤沢型地域包括ケアシステム」として,高齢者はもとより誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう,地域特性を活かしながら「行政と多様な主体との協働による支えあいの地域づくり」を進めている。ここでは「藤沢型」の重点テーマに基づく代表的な取り組みを紹介する。

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名張市では地域づくり組織を市内15の地域に置き,住民主体のまちづくりを目指している。また,地域づくり組織と一体的に地域福祉を推進するため,身近な健康づくりと地域福祉活動の拠点としてまちの保健室を整備した。ここでは,これまでのまちの保健室の取り組みについて紹介する。

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地域包括ケアを推進するに際して地域の課題をどう読み解いていくべきか,活用できる分析データや公表資料を紹介するとともに,地域共生社会に向けてのデータヘルスの在り方について述べる。

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久山町の概要

 久山町(図1)は,福岡県福岡市の東に位置する人口約8800人(2018年〔平成30〕年7月時点)の自然豊かな町です。世帯数は3390世帯で,高齢化率は27.8%です。土地の大部分を長年,市街化調整区域に指定することで過度な土地開発が行われず,過去50年間で急激な人口変動が少ない町です。

 

福岡県久山町では,九州大学が1961年から実施している久山町研究のデータを基に考案した将来の糖尿病や心血管病の発症を予測するICTツールを活用した保健事業を実践している。久山町における産官学連携による取り組みを紹介する。

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はじめに

 本年,ついにわが国の高齢者人口動態において,後期高齢者数が前期高齢者数を上回り,当面その差はどんどん広がることが明らかである。2025年問題に対して多くの関係者はこれまで対策を検討し,実行しつつあると思われるが,より政策効果を高めるために,これまで以上の政策的イノベーションが必要である。

 “Smart(スマート)”という言葉が最近よく使われる。これは賢いという意味となるが,筆者らは10年前にスマート・ウエルネス・シティー(SWC)という言葉を提示し,このまちに住むと自然と健康になるまちづくり(この場合のまちづくりはハードとソフトの両面を意味する)を多くの自治体と研究し,在るべき姿を求めて政府の特区制度等を活用しながら社会実験を繰り返してきた。ここ数年は,SWCという言葉の代わりに“健幸都市”という言葉を用いることが多くなったが,担当課名としても「健幸」という言葉が多数の自治体で用いられている。地域包括ケアシステムを本当の意味で完成させるためには,まちづくりの視点が重要となるが,保健師の皆さんの興味関心はまだ低いのが実情である。

 筆者らは,2014(平成26)年度から3年間にわたり,国と連携して健康づくりにおけるインセンティブ効果を検証するために,6自治体の連携による大規模なヘルスケアポイント実証実験を行った。この主な成果としては,後述するように約1万2600人が参加し,そのうち約77%が健康無関心層であったこと,および1年で1人当たり5万円という医療費の抑制効果も確認された。その後,本成果を参考にしながら厚労省はヘルスケアポイントの事業実施に対するガイドラインも策定している。

 ヘルスケアポイントを取り入れる自治体や企業健保は飛躍的に増加しつつある一方,事業を開始して数年経つ保険者の多くにおいて成果があまり出ておらず,事業改善が求められている。なぜ成果が乏しいのか? 筆者らの分析で見えてきたことの1つとして,成功していない保険者は予算の制約や人手不足から,効果が不十分であっても値段が安いことが民間サービスの採用の規準となっていることが挙げられる。すなわち成果を出すための事業デザインが不十分なことが根本的な要因となっている。

 このような状況を打破していく新たな制度や取り組み方法が必要となるが,筆者らは現時点での解決の手段として最も適当なのがソーシャル・インパクト・ボンド(SIB,詳細後述)であると考える。そこで,本稿ではインセンティブによるヘルスケアポイントの成果を出すために,SIBの活用について解説する。

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はじめに

 わが国では,高齢化が急激に進行しており,特に後期高齢者の増加が顕著となっています。

 2014(平成26)年に日本老年医学会が「フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント」1)を発表し,フレイルに関する社会的な関心も高まっています。国民健康・栄養調査2)においても,「低栄養傾向(BMI≦20kg/m2)の者」は85歳以上で男女とも顕著に増加することが明らかとなっており,今後,団塊の世代が75歳以上の後期高齢者へシフトすることが予想されるなか,フレイル対策は喫緊の課題となっています。

 このような状況から,高齢者では,老年症候群,フレイル等の高齢者の特性を踏まえたアセスメントおよび保健事業が求められています。

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■要旨

目的:フォトボイス,GISと半構成的面接を組み合わせた住民参加型地域診断により,高齢者の生活行動圏域の生活資源へのアクセシビリティに関する実態を明らかにする。

方法:A地区における高齢者の暮らしを買い物,受診,地域交流の3テーマに沿って,地域高齢者ケアに携わる医療保健福祉職および住民ボランティア33名に対してフォトボイス,A地区で暮らす高齢者8名に対して半構成的面接,かつA地区に対して地区視診を行いGISによる地域把握を実施した。

結果:A地区の高齢者の生活資源へのアクセシビリティに関する地域診断として,買い物の不便さを解消するために「多様な買い物サービスの維持・向上」と「買い物送迎サービスの不足」を補う必要性,受診に関して「健康意識の維持・向上」を図り「通院送迎サービスの不足」を解消する必要性,地域交流に関して「地域の取り組みの維持・向上」を図り「住民が気軽に立ち寄れる場の不足」を解消する必要性を住民とともに導いた。

結論:本研究より,住民参加の上地域の課題を明らかにできることが示され,今後,まちづくりへの活用のためには検証を重ねる必要がある。

連載 ナカイタ発 保健師へのつぶやき・64

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 私的な日常のお話になりますが,週に数回いわゆるはやりのジムに通っています。メニューはランニングと筋トレで1時間強です。決して腹筋女子を目指しているわけではなく,アンチエイジング気分に浸りたい程度の軽いものです。それでも集中できるので,一定の満足感がありますし,その後のジャグジーが何よりのご褒美です。

 ある日の出来事を記そうと思います。いつもより若干時間に余裕があり,ジャグジーにのんびり入っていると,3人の女性の会話が耳に入ってきました。誤解のないように加えておきますが,決して聞き耳を立てていたわけではありません。いきいき高齢者も運動後の高揚でつい声に力が入ります。

連載 地域・職域の健康課題の見える化と効果的な保健事業・2

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はじめに

 前回は,効果的・効率的に保健事業を進めるための方法論についてご紹介しました。今回は,広島市,沖縄県高齢者医療広域連合と広島大学が共同研究で実施したデータ分析の実際をご紹介し,支援対象とする集団が持つ健康課題を明らかにするためのデータ分析の実際を中心にご説明します。健康課題を明確化することは,支援対象者らの現在の健康状態と今後のリスクを検討することになり,課題に応じた対策を講じる上で,とても重要です。また,エビデンス(科学的根拠)に基づく保健指導と評価のポイントについても触れていこうと思います。

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 前回は,組織再編で分散配置や業務分担が進む中で,保健師本来の地域活動ができずに悩みを抱える県保健師の話を紹介しました。今回は,筆者が自慢する大隅地域の市町の保健師とともに行った人材育成の取り組みについて紹介します。

 大隅地域とは,九州南端の2つの半島のうち,宮崎県側の大隅半島にある所管地域です。その面積は東京都とほぼ同じで,本所機能の鹿屋保健所(保健師11名)と支所機能の志布志保健所(保健師4名)があります。統括保健師は鹿屋保健所に配置され,地域の保健師の人材育成などを担っています。大隅地域の管轄自治体数は4市5町で,総人口は2017(平成29)年10月現在で約23万人,平均高齢化率は34.2%,高齢化率1位の町は46.6%となっています。大隅地域で高齢化率40%を超えた4市町は,鹿児島県内の高齢化率の上位10位以内に入っており,少子高齢化,人口減は深刻で,既に関係者は2040年問題への危機感を深めている過疎の地域となっています。

連載 見たい統計 自在に分析! 保健医療福祉計画データウェアハウス・6

人口動態統計(死亡) 岡本 悦司
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 出生と並んで人口動態統計の重要な項目が死亡である。国際疾病分類(ICD)も元々は正確な死因統計をとるために開発されたもので,現在のICD-10は1995年以来24年にわたって使われており,今年はおそらくその最後の年となる(WHOはICD-11を6月18日に公開したので,わが国人口統計への導入は来年と思われる)。24年とは歴代ICDの中でも最長寿であり,しかもe-Stat*1でデータが提供されるようになった期間でもある。疾病分類が一貫していれば,それをデータウェアハウス化(以下,DWH化)して一貫した長期観察が可能となる。

 人口動態統計で重要なものは「保管表」である。たとえば市区町村別のような報告書に掲載しきれない詳細な統計表を指し,かつては統計情報部に赴いて閲覧やコピーをするしかなかった。実物はコンピューターのプリントアウト紙を束ねた厚さ数十cmもあるもので,膨大な百円玉を持参してコインコピー機に乗せてコピーする,という大変な作業も今となっては懐かしい。こうした保管表がe-Stat上でCSV*2やEXCEL形式で提供されるようになったことが,DWH化を可能にした(市区町村別データをDWH化すれば,都道府県単位の報告書掲載の統計表は不要となる)。

連載 ニュースウォーク・245

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 「今朝,3匹も助けてやった」というのは,集合住宅の階段や踊り場で腹を見せたままの蝉のことである。躯かと手に取ると身動きするから,空に放つと寝起きが悪そうなままに飛び去ってゆく。今夏は夜が明けると身動きできないでいる蝉の数が多すぎる。猛暑のなせる業に違いない。

 気象庁が「命の危険がある暑さ。1つの災害と認識している」と緊急警告を発した(7月23日)ほどの夏だった。横浜市郊外の高台にあるわが家はエアコンをほとんど必要としないが,今夏だけはそうもいかなかった。それなりに猛暑を実感しながら「暑さ=蝉」は子どものころから抜け切れない,単純な思考回路なのだろう。

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保健師ジャーナル
74巻10号 (2018年10月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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