保健師ジャーナル 74巻11号 (2018年11月)

特集 地域包括ケアにおける難病保健活動

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2015年の難病法の施行以降,地域包括的に難病患者や家族を支援する体制や事業の構築が求められている。本特集では,その進展や現状を整理するとともに,各地の難病保健活動の取り組みを紹介し,地域包括ケアにおける難病保健活動の在り方や保健師の役割を考える。

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厚生労働省における近年の難病対策の展開と背景に触れた上で,新たな難病の医療提供体制の整備に向けた取り組みについて解説する。また,その中での難病保健活動と保健師への期待について述べる。

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難病の特徴や難病療養者とその家族の気持ちを踏まえた支援と,難病支援に用いるさまざまな法律に基づく諸制度・サービスについて解説する。また,難病支援を地域連携で行うにあたっての保健師の役割を述べる。

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2014年と2017年に行われた全国調査の結果より,難病対策地域協議会の設置・実施状況を解説するとともに,設置を進めるための保健師活動のポイントなどを紹介する。

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名古屋市では,難病の個別支援のあり方を検討し,保健師の患者支援能力を高めるための事例検討と難病患者の個別支援ツール作成に取り組んだ。また,同市東区では難病の地域診断を行い,それを難病保健活動における地域包括ケアの推進に役立てている。これらの取り組みを紹介する。

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新潟市では,1989年から「新潟方式」と言われる多職種連携による難病対策を続けてきたが,法制度や市政の変更に伴い,難病支援における保健師の役割やあり方が変わってきた。そのため,その見直しを行い,「新潟市難病患者支援マニュアル」の作成に至った。その経緯と内容を紹介する。

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京都府では,①医療費助成制度,②医療提供体制整備,③難病患者地域支援,④難病団体活動助成の4つの柱からなる難病対策を進めてきた。その中から,難病対策地域協議会の設置と就労支援事業を中心に,その体制と京都府の難病保健活動の取り組みを紹介する。

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これまでの難病保健の展開において担ってきた保健師の役割を振り返り,その意義を考えるとともに,これからの難病保健活動への期待を述べる。

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はじめに

 ここ数年,「子ども食堂」のことがマスコミなどで取り上げられることが多くなり,皆さまの中にもその名前を聞いたり,近くの子ども食堂に行ったことがある方もおられるかもしれない。一方で,「子どもがやってる食堂?」とか,「貧しい家庭の子どもが行くところでしょ?」といった声が聞かれることも事実だ。

 本稿で子ども食堂をご紹介することが,保健師の皆さんに子ども食堂を知っていただき,関わりを持つきっかけとなればありがたい。

 

千葉県松戸市のこがねはら子ども食堂は,地域の子どもたちの育ちを地域の大人たちが見守る場所を目指し,学習支援を柱として運営している。そこではおいしい料理や季節ごとの行事など多様な体験を提供し,家庭でも学校でもない第三の居場所として地域に定着している。

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はじめに

保健師基礎教育調査の背景と概要

岸恵美子

■保健師基礎教育を取り巻く状況

 一般社団法人全国保健師教育機関協議会(以下,本協議会)は,保健師教育の充実を図り,公衆衛生の向上に寄与することを目的に活動する団体である。2018(平成30)年8月現在,209校の保健師教育機関を会員校とし,保健師教育の充実と教員の資質向上に取り組んでいる。

 2009(平成21)年の保健師助産師看護師法の一部改正により,保健師および助産師の国家試験受験資格のための教育期間は6か月以上から1年以上に延長となり,保健師教育は多様な教育課程で展開されることとなった。

 また2010(平成22)年には「保健師教育の技術項目と卒業時の到達度」(厚生労働省,2008年)を改訂した「保健師に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度」(厚生労働省,2010年)が提示され,2011(平成23)年には保健師助産師看護師養成所指定規則(以下,指定規則)が改正された。保健師国家試験受験資格取得に必要な単位数は,それまでの23単位から28単位に増加し,そのうち実習科目の単位数も4単位から5単位へと増加した。

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はじめに

 2004(平成16)年の精神保健医療福祉の改革ビジョン1)により,「入院医療中心から地域生活中心」の施策が推進されている。2015(平成27)年の病院報告2)によると,精神病床の平均在院日数は274.7日と短縮傾向にあり,地域で暮らす精神障害者が増えていると考えられる。また,2016(平成28)年の国民生活基礎調査3)によると,全国の世帯構造のうち独居世帯の割合は26.9%を占め,微増傾向にある。このことから,独居の精神障害者が増えていることが予測される。

 精神科訪問看護サービスの対象者の特性を明らかにした調査4)では,対象者が独居である割合が,訪問看護ステーションでは38.8%,精神科病院の訪問看護では55.4%であり,退院を機に単身生活を始めた人が多く含まれていると考えられている。

 この現状に対して,在宅精神障害者の潜在的なニーズを引き出し,プライマリレベルの相談に応じる行政保健師5)が,いかに独居の精神障害者を支援するか,その方策を明らかにすることが重要である。

 精神障害者が独居になる背景として,家族が高齢になったこと6)や,家族の負担感が強くなったこと7),家族とのトラブル8)などが挙げられる。独居の統合失調症者は,室内の整理や掃除,金銭管理といった生活に関する課題を抱えている9)。また統合失調症者は,病識の欠如があるため,服薬の継続が困難になる場合がある10)。服薬の継続には家族のサポートが重要となる11)ため,独居の場合,服薬中断の可能性が高まることが考えられる。

 このように,独居の統合失調症者は生活や病状管理において困難を抱えているが,その支援を明らかにした調査は,内谷ら6)による1事例の支援プロセスに基づく報告のみである。そこで,本調査は,独居の統合失調症者に対する市町村保健師の支援について明らかにすることを目的とした。

連載 ナカイタ発 保健師へのつぶやき・65

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 私も所属している日本公衆衛生看護学会では,「公衆衛生看護のグランドデザイン—2035年に向けて」を公表しています。学会員はもちろんのこと非学会員の方も学会WEBページでご覧になれます。

 公衆衛生看護のグランドデザインは,2035年に予測される社会を見据えて,公衆衛生看護の理念を明らかにし,公衆衛生看護の目標と役割,方向性を示したものです。作成にあたっては,2015(平成27)年6月に厚生労働省から発出された「保健医療2035提言書」も参照し,整合性を図っています。その中の方向性の1つに,継続教育の一環として保健師の「能力開発およびその質保証のための認証制度」の導入が掲げられています。

連載 地域・職域の健康課題の見える化と効果的な保健事業・3

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健康経営の実践に向けた支援

■健康経営とは

 働く人の健康状況は,多くの時間を過ごす職場での働き方や環境が大きく関係しています。近年,従業員の健康管理を経営的な視点で考え,戦略的に実践する「健康経営」が注目され,健康経営の実践に関心を持つ企業が増えてきました。「健康経営」とは,企業が主体となって従業員の健康増進・疾病予防に積極的に取り組むことで,従業員の健康と生産性の向上,企業のさらなる発展を目指す経営手法です1)

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 今回は,大隅地域の保健師人材育成の取り組みについて,もう少し具体的に紹介します。その前に昔話になりますが,筆者が入職して以降,10年間は鹿児島県内のどの保健所も管内保健師研修会を定期的に開催していました。研修会等を通じて地域の保健師皆が見知った間柄で,当時は「顔の見える関係」などというワードは必要なかったように思います。市町も保健所もお互いが身近な存在で,業務のことを気軽に相談できる関係があったと記憶しています。その後,業務分担による保健師業務が主流になってからは,大隅地域も管内の保健師が集まる研修が縮小され,新任期や中堅期の保健師はお互いの顔が見えず,近隣市町に気軽に業務のことを相談できる状況ではなくなりました。そのことへ危機感を抱いた統括等保健師は,既存の保健師研修を見直し,2016(平成28)年度に将来を見据えた人材育成に着手しました。

 管理期保健師は今後次々と定年退職となることから,統括等保健師連絡会の中で,より効果的な人材育成を行うために,新任期,中堅期,管理期のどの期を対象にすべきか検討した結果,ある程度の行政経験や,各期への波及効果が期待できる中堅期を対象に5回コースの研修を企画することになりました。統括等保健師から中堅期保健師に期待したい事項は,地域包括ケアにおける保健師の役割を理解することと,アセスメント力の強化でした。そのため,「地域包括ケア」を中堅期保健師研修のテーマとして研修を企画し,講話以外にT市病院の在宅診療医の訪問診療への同行訪問も計画しました。この同行訪問は,実事例を通じて各受講者(中堅期保健師)のアセスメント力を見ていくために内容に盛り込みました。上記医師および事例宅に対しての協力依頼や調整については,T市の統括保健師が担い,訪問診療への同行訪問が実現しました。その事例を通じて,実際にT市統括保健師が地域包括ケアにどのように関わっているのかを学ぶ機会にもなりました。同行訪問研修では,保健師3人が1グループとなり,事例に関する事前情報やT市統括保健師からの情報をもとに,訪問日までに受講者各自がアセスメントを行い,同行訪問,モニタリング,支援計画を作成しました。また,中堅期保健師研修会の最終日には,同事例に対する模擬地域ケア会議を体験し,地域の統括等保健師の助言を受け,研修全体の振り返りを行いました。

連載 見たい統計 自在に分析! 保健医療福祉計画データウェアハウス・7

医療給付実態調査 岡本 悦司
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 長瀬恒三,といってもピンとくる人はいないだろう。長瀬はわが国に健康保険が創られた頃の保険数理技師で,レセプト統計に取り組み,1935年に刊行した「傷病統計論」は医療費分析の古典として知られる1)。長瀬は当時,さまざまな負担割合だったレセプトを分析し,患者負担割合と医療費との関連を二次式で表した。この式は「長瀬式」と呼ばれ,例えば小児医療を無料化した時の補助金削減の算定式として,現在も使われている。「レセプトは単なる請求書ではなく傷病統計データだ」と主張した長瀬に敬意を表しつつ,連載7回目はレセプト統計として医療給付実態調査を取り上げる。

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History and Now

どのような機関なのでしょう?

 本学は1997(平成9)年に兵庫県南西部の赤穂市に開学し,現在は社会福祉学部,教育学部,看護学部の3学部4学科および大学院を設置しています。「人間平等」「個性尊重」「和と感謝」を建学の精神とし,豊かな人間性と深い専門性を備えた社会に貢献しうる有能な人材を養成しています。

 看護学部では,ヒューマンケアを提供し,社会の多様なニーズに対応できる質の高い実践能力のある看護専門職者を育成しています。看護師養成を基盤とし,保健師,助産師または養護教諭を選択して学ぶことができます。

連載 ニュースウォーク・246

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 大学生時代に一度だけボランティア活動を経験したことがある。1959(昭和34)年9月,東海地方を襲った伊勢湾台風の被災地救援活動だから60年前の話である。

 自分にとって大事だったはずなのに,活動記録が手元にないうえ,なぜか記憶が断片的だ。

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バックナンバー一覧

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基本情報

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保健師ジャーナル
74巻11号 (2018年11月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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