精神看護 22巻2号 (2019年3月)

特集 教えて先輩! 看護って何?—現場のどうしよう、困ったを解消する看護理論

中村 創 , 水谷 緑
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何が看護で、何が看護でないか

 「Aさんをどう捉えたらいいんでしょう」「Bさんに何ができるんでしょうか」。そんなふうに悩む声を、病棟詰所や訪問看護ステーションで聞くことがあると思います。そんな時、先輩や上司が答えてくれたことがあるでしょう。ある先輩は、自分が経験あるいは学習したことから答えてくれたでしょう。

 私たちは「看護の視点」で患者さんを捉え、「看護の立場」で患者さんにサービスを提供しています。私たちは看護師です。ですから患者さんに提供するサービスは「看護」でなければなりません。ラーメン屋がうどんを出して「はい、ラーメンお待ち」と言ったらおかしいように、看護以外のことを「これが看護です」と言ってサービスを提供することは詐欺です。こうならないためには“何が看護で”、“何が看護でないか”を知らなければなりません。では看護とは何でしょうか。その問いに答えてくれるのが「看護理論」です。

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若寺さん(仮名) 60代前半

20代前半に統合失調症の診断を受けそれ以来長期在院している

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先輩の助言を受けて、オレム・アンダーウッドの理論を用いて若寺さんを観察した結果…

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若寺さんと私は、ペプロウの図ではまだお互い「未知の人」だし「方向づけの」段階にいることがわかりました。

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スカイプ座談会—研修会や学会以外でも、他県の人たちとつながれる

 皆さんは普段どのような方法で学習をしているだろうか。自身の看護レベルを上げるために、学術集会や研修会に参加したり、研究発表などから新たなエビデンスを学んだり、また雑誌からの情報や研修会に参加して、アカデミックな内容を学んだりしていることと思う。

 外の研修会に参加すれば、確かに新たな知識を得ることができる。しかし得た知識を自分の病院で活かそうとしても、他のスタッフと同じ目線で共有することは難しく、すぐに実践できない場合のほうが多い。となると、その知識は広がることなく、ケアに活かせずに終わってしまう。

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この経験を共有したい

 前編(2019年1月号)では、自閉症スペクトラムの特性が強い患者さんが精神科病院に入院に至る要因として3つのパターンを見出し、それぞれの看護のポイントを伝えた。後編となる今回は、自閉症スペクトラムに知的障害を併存し、暴力があり、長期の隔離処遇を受けていた、いわゆる処遇困難事例と言われる患者さんが退院に至った経過を紹介しながら、看護のポイントをまとめたいと思う。

 暴力がある場合、看護者は日々の対応に追われてしまい、先を見据えて目標を持つことができにくくなる。事態が進展しないと無力感やジレンマにとらわれ、精神科看護の限界を試されているように感じる。しかし、だからこそ処遇困難事例の患者さんが退院できた時は、充実感を持ち、精神科看護に新たな可能性を見出すことができる。

連載 リエゾンナースである私が、自分史上最も困難を感じたケース・1【新連載】

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リエゾンナースが対象とする患者さんの特徴

 私はこれまで、“死”を考える多くの患者さんにかかわってきました。例えば、二度目のがんの再発で生きることすら考えられなくなった患者さんに、「それほどつらいと、死にたくなることはないですか?」と尋ねると、「よくわかったね……」と、床頭台から首を吊るためのロープを見せてくれた方がいました。それは「自分は自殺を考えている。がんで生きていても仕方がない。家族に迷惑をかけるのはこれ以上ごめんだ」という苦しい気持ちを理解してほしいというメッセージでした。

 さまざまな苦悩をかかえる患者さんは、時にそれらから目を背けたくなるものです。私たちリエゾンナースは、苦悩を患者さんが1人でかかえるのが困難な場合に、共に考え、苦悩を軽くする対応をしていきます。

連載 うんこあるある・1【新連載】

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 それはある病院で……2交代夜勤の夜中のことだった……。

 一緒に勤務している男性ヘルパーさんが、患者の人員確認のためにトイレを見に行きました。私は「さぁ、仮眠まであと数分♪ 早く寝たいなぁ〜」と思っていました。すると、ヘルパーさんが、「すみません…ちょっと来てください… (;゚Д゚) 」とナースステーションに飛び込んできました。

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 ダンサーの砂連尾理さんの案内で、京都の特別養護老人ホーム「グレイスヴィルまいづる」を見学させてもらった。砂連尾さんはここで、哲学者の西川勝さんと一緒に、月に一度ダンスのワークショップを行っている。

 事前にお話をうかがったとき、砂連尾さんは、「認知症の方は、過去、現在、未来を自在に行き来できるような気がする」と語った。認知症というとこだわりが強くなるというイメージが強かったので、「自在に行き来できる」というのは意外な感じがする。その時間感覚が知りたくて、今回、見学させてもらうことになった。

連載 便との戦いに終止符を。腸は畑—畑を壊さないためには・2

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 日本消化器病学会の関連研究会が編集している『慢性便秘症診療ガイドライン2017』*1が出ました。この本には定義、分類、診断基準、疫学、病態生理、診断、治療が書かれていますが、それによりますと、便秘の定義は「本来体外に出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」です。

 我が精神科領域、特に病状の重い方や、長期間にわたり抗精神病薬を服用されている患者さんが多い当院のような施設では、いわゆる薬剤性(腸管運動抑制・麻痺性)、機能性、あるいは巨大結腸症などの、より複雑かつ高度な慢性便秘症に陥っている方を多く診ることになります。

連載 幻覚・妄想を聞く。・4

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 2019年1月号に引き続き、当事者研究を導入し、変化が見られたケースを紹介します。

 Bさん、70代、女性、統合失調症。40年間の入院歴。生活は妄想に支配され、気難しい顔で何かを考えており、他者交流はほとんどなく、日中の大半をベッド上で過ごす生活でした。2015年2月から当事者研究への参加となりました。

連載 これが長谷川病院のセルフケア看護モデルをベースにした看護だ・4

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 長谷川病院では、セルフケア看護モデルに基づいてケアを行っています。患者さんの安全、安寧、健康を大事にしますが、それと同時に、患者さんがその人らしくあるためにどう生きたいのか、どうなりたいのかをしっかり聴いて、支えていくことが大切です。

 今回はモデルケースを通して、セルフケア看護モデルを使用した看護過程のなかで、どのようにプロセスを踏んでいったのかを紹介します。

連載 MSEを穴埋め式問題で練習してみよう・4

せん妄のケース 武藤 教志 , 小野 悟
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 精神科でも決して珍しくない「せん妄」。過活動型せん妄の多彩で激しい精神症状(とくに「精神運動興奮」を伴うもの)が急激に現れれば、「これはせん妄だ」と見立てやすいのですが、そんなせん妄ばかりではありません。“静かなせん妄”とも言える低活動型せん妄もありますし、過活動型せん妄であっても、多彩で激しい精神症状が現れる前から“いつもとちょっと違う”“どこかおかしい”といった程度で気づかれる前駆期・前兆期が存在する場合がほとんどです。この時点で介入を行えば、はるかに早くせん妄離脱できます。静かなせん妄を見逃さず、早期に症状を発見できなければなりません。そこで今回は、せん妄の早期発見場面を取り上げます。

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「栄養型うつ」は食事で治す!血液検査を栄養の観点から活用

 ビタミンB群やタンパク質、コレステロール、鉄、亜鉛、マグネシウム、ビタミンDなど、どの栄養素の問題でも、うつ状態となる可能性がある。精神科において、血液検査を栄養面からも活用し、積極的な食事や栄養の指導がなされることが理想的である。“栄養”と“うつ(状態)”が関係していることを、1人でも多くの方に知っていただきたいと思い、「栄養型うつ」という言葉を使って注意喚起をしている。血液検査の結果がすべて検査会社の参考基準値内であっても、そこに栄養の問題が隠れているかもしれない。

連載 栄養学的アプローチと精神科看護・3

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今回の趣旨

1.摂る「脂肪酸」の種類によって、細胞の質が変わってしまう。n-3系の脂肪酸は、炎症が起きにくい体を作る。それは精神疾患の改善にも関係する可能性がある。

2.これまでの常識が変わり、コレステロールは「低いことがよくない」。なぜならコレステロールは神経細胞、ビタミンD、胆汁酸、副腎皮質ホルモン、性ホルモンの原料であり、抑うつ、不安、焦燥感、倦怠感、不眠などの精神症状にも関連していることがわかっているからだ。

連載 武井麻子先生にこれを聞きたい・6【最終回】

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 今回の質問は、質的研究におけるデブリーフィング・セッションについてです。

 前回、フィールドワークを実践する院生の不安を支えるのが、大学院で実施するデブリーフィング・セッションであると書きました。私の前任校である日本赤十字看護大学では、院生がフィールドワークを行う場合、必ずフィールドで得た観察データをフィールドノーツにまとめて、翌週のクリニカルゼミで報告することになっていました。インタビュー調査の場合は、録音データから逐語録を作成して、読み合わせを行います。1人週1回90分、領域の教員や院生が集まって報告を聞き、感想や気づいたことを言い合うのです。この集まりは、単にデータの分析のためだけではなく、院生の不安や感情の動きをモニターし、コンテインし、何がフィールドで起こっていたかに気づく場となっていました。

連載

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つい何時間も見てしまう動画と学会や講演会のプレゼンは何が違うのか?

TEDやYouTubeは何時間でも見れるのに

 言いたいことを言うと伝わらない、というサブタイトル。衝撃的ですね。故・日野原重明先生は、「医師は聞き上手になりなさい、患者は話し上手になりなさい」と講演でよくおっしゃっていました。話し上手な医師が多いように思われていますが、じつは言いたいことが伝わっていないケースが多いのも事実です。その原因が、単に言いたいことを言っていたからだ、というのが本書の主張です。

 読者の皆さんも、学会や講演会などで医師のプレゼンテーションを聞く機会があると思います。複雑で大量のスライドを次々とめくりながらものすごい勢いで話す講師、体全体をスクリーンに向けて自分の世界に夢中になっている講師など、さまざまなケースが思い出されます。一方で、世界的なプレゼンテーションをTEDやYouTubeなどでみると、面白くてかつ勉強にもなるので、つい何時間も見てしまうことがあると思います。これは一体、何が違うのでしょうか。

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目次

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基本情報

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精神看護
22巻2号 (2019年3月)
電子版ISSN:1347-8370 印刷版ISSN:1343-2761 医学書院

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