訪問看護と介護 23巻2号 (2018年2月)

特集 訪問時の交通安全対策—リスクマネジメントとしての取り組み

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利用者宅などへの「移動」が欠かせない訪問看護。訪問先で行なう予定のケアややりとりに気を取られ、移動中の注意が散漫になってしまう経験は誰もがあるのではないでしょうか。とくに、自動車に比べて自転車は、一般的にも安全対策が遅れがちといわれています。歩道を走る場合もあることから、歩行者を巻き込み「加害者」となる事故が増えており、さらに事故の「被害者」になって死亡する人も増加しているというデータもあります。移動中の訪問看護師が巻き込まれ、重篤な怪我を負う事故も起こっています。

起こってしまってからでは遅く、起こる前に予防しなければいけないのは、医療事故も交通事故も同じ。利用者の安全だけでなく、スタッフの安全を守ることも管理者の重要な仕事です。見過ごされがちな「移動中」の安全対策について、とくに自転車に焦点を当ててまとめました。

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 1992(平成4)年に制度化された訪問看護ステーションは、2017年4月時点で稼働数9735か所、届出数としては1万176か所となりました(全国訪問看護事業協会調べ)。医療と介護の両面から在宅療養者を支えることのできる訪問看護は、地域包括ケアのなかでも中心的な役割を担い、医療ニーズの高い療養者やがん末期の方のケアをはじめとする、多様なニーズに応えるサービスとして期待されています。

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住宅密集地での訪問に欠かせない自転車は、小回りがきき、駐輪場所の心配がないなど、とても便利な訪問ツールです。しかしその手軽さゆえに、事故の危険性や安全対策の重要性に目を向けにくくなってはいないでしょうか。

自転車は、法的には自動車やバイクと同じ「車両」です。交通事故の当事者になってしまったら、巻き込まれたスタッフや住民の被害はもちろん、ステーションとして地域で信用を失いかねません。実際に、運転中にヒヤッとした経験がある訪問看護師は少なくないといいます。

「予防」のために何ができるのか、自転車安全利用の啓発を担当している警視庁交通部交通総務課交通安全対策第二係のお2人にお話を伺いました。

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 始まりは、出勤直後の事故発生報告だった。

 朝いちばんの訪問途中の看護師が、東急世田谷線豪徳寺駅付近の踏切を横断したところで、前方から来た右折車に接触し、跳ね飛ばされてボンネットに乗り上げ、お尻から落下。しゃがんだまま身動きできないと、同じ方面に走行中の職員から一報があった。のちに、腰椎圧迫骨折で全治3か月の診断が下されたが、肩や頭から落ちていたらと思うとぞっとする。業務中の死亡事故につながりかねない一瞬であった。

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「思わぬ交通事故」を多くの訪問看護師が経験している

 私は訪問看護認定看護師教育をしているので、全国の訪問看護師と出会いますが、よく「思わぬ交通事故」について耳にします。そして、その内容は、全国どこで聞いても似ているのです。それは本当に「思わぬ」事故だったのか、「思う機会がなかった」だけなのか、つねづね気になっていました。

 そんな折、身近でまた交通事故がありました。訪問看護をやりたいと意気揚々と就業した看護師が自転車で転倒骨折し、仕事を休むことになったのです。

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 私たち「一般社団法人自転車安全利用促進協会(BiSPA、以下ビスパ)」は、自転車の安全利用推進の一環として、日本で唯一の自転車損害賠償保険の開発に取り組んできました(表1)。その立場から、業務で自転車を使う訪問看護師さんやヘルパーさんに必要な補償についてご紹介します。

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「生活モデル化」が合理的である社会が到来しつつあるのだという。

この指摘は、著書『病院の世紀の理論』(有斐閣)で知られる猪飼周平氏によるものだ。

何も、「道徳的に正しいから」ではない。

歴史的な大きな時間の流れのなかで、人々は、生活モデルに基づくケアを「よいケア」であると感じる方向に変化しているというのである。

これは、政策レベルから、専門職が行なうケアのレベルにまで関わる話なのだとか。

生活モデル——。大まかに理解しているけれど、一体どのような概念で、それを基軸に据えた支援がいかなる点で生活困難を抱える個人を支え得るものかを、自分の言葉に落とし込んでいる実践者は決して多くはないのではなかろうか。

今回、研究者であることを足場に現場に関わり続ける猪飼氏を司会に、地域社会に暮らす人々の支援に関わる実践者との座談会を企画。

三者三様の実践者と研究者の対話から『生活モデル』の輪郭線をなぞり、どのような価値観をもとにした支援なのかを探っていく。

すると、「地域共生社会」のなかでの位置付けも見えてきた。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・101

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 暮らしの保健室で行なう勉強会では、事例を通して、多職種が集まって病院と地域、職種間の連携などを話し合っています。先日、事例にあがったのが、看護小規模多機能型居宅介護「坂町ミモザの家」につながって半年が経過した、80代前半の女性Sさんでした。

 Sさんは長らく糖尿病を患い、認知症による気分の変化で2つの顔を併せもつ方。陽気に歌って手踊りし、「ありがとう、ありがとう」と話す「エンゼル」の顔。そして、否定的な言葉を話し、表情が険しくなる「デビル」の顔です。この方への関わりは、看護と介護の連携も含め、その方の隠された能力を引き出すケアとは何かを考える機会になりました。

連載 認知症の人とその家族から学んだこと—「……かもしれない」という、かかわりの歳月のなかで・第10回

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 本誌の昨年12月号(22巻12号)の巻頭シリーズ「ケアのヒュッテ」に社会福祉法人小田原福祉会の特別養護老人ホーム(以下、特養)「潤生園」のホットな活動が掲載された。私が30年以上も前に学ばせてもらった施設である。今回は質問者の役割をいただき、特養潤生園の歴史は、時田純理事長(90歳)の人生の折々の経験知から考えられた理念が息づいているのだと知った。このときの会話のなかで私は、忘れ去っていたいくつもの記憶が呼び起こされた。

連載 訪問看護実践と成果のつながりを可視化するために—日本語版オマハシステムの開発に向けて・第18回

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 今回は、筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)のある人への看護をオマハシステムで展開します。

 オマハシステム研究会代表の長江と筆者は、日本語版オマハシステムの開発に取り組む一方で、エンドオブライフケアにも取り組んでいます。以前、日本の文化に合ったエンドオブライフケアを検討する目的で、文献を用いて、さまざまな疾患のある人に対する看護師による意思決定支援の実践を分析しました。

連載 どう読む!? 在宅医療・看護・介護政策・第26回

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 2018(平成30)年度予算編成の焦点となっていた診療報酬と介護報酬の改定率が昨年12月18日、麻生太郎財務相と加藤勝信厚生労働相の閣僚折衝で決まった。介護保険サービスの公定価格である介護報酬は0.54%の引き上げで決まった。また、診療報酬は本体の改定率が0.55%の引き上げ、薬価・材料価格の引き下げと合わせた全体の改定率は1.19%の引き下げとなった。6年に一度の同時改定は、医療機関の経営安定と介護従事者の処遇改善に配慮するかたちで決着した。

 一方、社会保障審議会・介護給付費分科会(田中滋分科会長)は12月13日に介護報酬改定に関する審議報告をまとめ、新たに導入される介護医療院をはじめ、各種サービスの基準・報酬の考え方を示した。審議報告と改定率がまとまったことから、介護給付費分科会は年明け以降に各サービスの改定事項の詳細の検討に着手。2月上旬に答申する予定だ。

連載 シンソツきらきら・第14回

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 在宅看護実習で魅力を感じ訪問看護の世界に新卒で飛び込んだ、岡山県の前中さん。不安を感じつつも、じっくり利用者やその暮らしに関わらせてもらう経験を通して、訪問看護師としての自信を育んでいったプロセスをふり返ってもらいました。(小瀬)

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今月の5冊

Information 学会・研究会情報

バックナンバーのご案内

次号予告・編集後記 小池 , 栗原
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巻頭座談会は紙幅の都合で、掲載できたのは本当に一部。「支援とは何か」「ケアとは何か」にぐぐぐと迫る瞬間も多々あり、個人的に超興奮の議論でした。「個人の生活とは複雑で、ましてや目標なんて他人にわかりようがない。そう言い切ってしまってから始まる支援/ケアがあるのだ!」。出席者の皆さんは異口同音にそれを語っていたのかなと思います。現場で生じたモヤモヤ感や葛藤、ひっかかりを、諦めるわけでもなく、ただそれとして受け入れ、日々をつないでいく。これは何も援助職だけに求められるものではないのかも。私自身の考え方にも、大きな影響を与える座談会となりました。…小池

子どもの体重が10kgを超え、そろそろ電動アシスト付き自転車がほしい……と考えていたところにタイムリーな企画をさせていただきました。しかし取材すればするほど自転車に乗ることが怖くなっていくという悪循環に。それでも乗らないわけにはいかないからこそ、事故予防が重要になるのだと痛感しました。運転免許証をもっていない自分には初めて聞く話も多く、歩行者として交通ルールやマナーについて考えるいい機会にもなりました。自転車と一緒に子どもと自分の分のヘルメットも購入したいと思います。…栗原

基本情報

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訪問看護と介護
23巻2号 (2018年2月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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