訪問看護と介護 23巻3号 (2018年3月)

特集 足を見よ、暮らしが変わる—在宅で見るべきところ、行なうべきこと

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「足を見ることは大事だ!」。

これを否定する方はいないのではないでしょうか。

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 私は病棟で看護師として勤務するかたわら、「メディカルフットケア」の技術を生かし、慢性疾患をもつ足病患者に対し、予防的フットケアを2010年から行なっています。

 「メディカルフットケア」とは、「正しく足爪を切ることを主体に、医師と連携をとり、局所および全身の状態に注意しながら爪・足を健康な状態に保っていくために行なうもの」です。必ずしも糖尿病足病変へのケアを行なうだけでなく、健康的に暮らしていくために足を支えることを大切にし、小さな足の傷、爪のトラブルに対するケアも精力的に行なっています。

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今回の特集では、一関市国民健康保険藤沢病院のフットケア外来の皆さんにご協力いただきました。

同院のフットケア外来では、メディカルフットケア(メディカルフットケアJF協会認定)の技術を生かし、爪切りを主体とした予防的フットケアに取り組んでいるのだとか。

ただ、「フットケア外来」が、そもそもどのようなところなのかをご存じない方も多いのでは?

そこで、実際に伺って、どんなことをやっているのかを覗いてみました。

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 フットケアの特別な技術や、グラインダーやニッパーなどといった道具がなくてもできる足・爪へのケアがあります。むしろ、本当に大切なのは早期発見と予防的な介入であり、それは普段の暮らしのなかで行なわれるべきものです。そこで本稿では、「在宅でもここまでできる!」という視点から、足の観察やケアのポイントとコツを解説していきます。

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快適に歩くには、足が“最も重要”である

 子どもから高齢者まで元気に楽しく活動するために必要なことは何でしょうか? 病気をしない、認知症にならない、お金があるなど、さまざまな要素がありますが、最も基本的なことは“歩ける”ことだと思います。しかも、ただ歩けるのではなく、“快適に歩ける”ことが重要です。痛みやだるさ、しびれなどがあれば歩くのが億劫になり、最小限の移動にとどめるか、それすらもやめてしまう人もいるでしょう。糖尿病や高血圧があっても、がんを患っていても快適な歩行が確保されていれば、自分なりに元気にご自身の人生を生きるための活動の幅が広がります。

 歩行の維持には、足が重要です。在宅や施設の現場にこそ足の機能を高め、人生の質を維持、向上することが求められると考えています。歩けない、あるいは寝たきりになってしまう要因のひとつが“足”なのです。

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 皆さんは「VSED」という単語を知っていますか? VSEDとは、Voluntarily stopping eating and drinkingの略で、自分で飲食を止めることで、患者自身が死期を早めるための方法です。安楽死や医師による自殺幇助の代替方法として海外では知られています。

 実際に日本の医師がどのくらいこのような患者を経験しているのか、私たちは2016年初めての調査を行ないました。それによると、32%の医師がVSEDを試みた(完遂したかどうかは不明)患者を経験していました。

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 介護支援専門員(以下、CM)の高齢精神障害者への支援の現状と課題を明らかにするため、自記式質問紙による集合調査を実施、90人の回答を得た。回答者の平均年齢48.2歳、経験平均年数7.5年であり、高齢精神障害者のプラン作成経験は83.3%で、利用者のもつ障害の内訳は統合失調症37.8%、抑うつ・うつ病62.3%、不安神経障害38.9%、アルコール依存症34.4%であった。対応に困った行動項目では、利用者の気分が変動する、生活上の不安に対する訴え、幻聴、幻視等の訴えや独語、「死んでしまいたい」と訴える、身体が痛い・具合が悪いという頻回の訴え、物が盗られたという訴えで、そのような行動に「困った経験有り」が70%を超えた。精神障害者の地域移行が推進されるなかで、CMが力量不足を感じ、精神保健医療福祉関係者との連携で困難を感じている現状が示唆された。

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地域緩和ケアのなかで、住民の・住民による・住民のための意思決定支援の場として、「私設公民館」をつくる取り組みが横浜で始まっています。

目的は、「友達を増やして、毎日を楽しく過ごすこと」。

その仕掛人は、地域住民の1人である医師と、2人のまちづくりの専門家。

カフェや公園、看板屋、お寺などまちのさまざまな場所で展開する活動について伺いました。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・102

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 昨年4月18日、NHK教育テレビ(Eテレ)の『ハートネットTV』で30分番組「がんと共に歩む力を」が放映されました。その冒頭にKさんが登場されています。胃がんのステージⅣと診断され、病院から退院したその足でマギーズ東京に立ち寄られた方で、しばしの語り合いの後、マドレーヌを召し上がるといったシーンがあります。今回は、このKさんとその後の物語を紹介します。

連載 認知症の人とその家族から学んだこと—「……かもしれない」という、かかわりの歳月のなかで・第11回

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挨拶は難しい

 30年以上も前、介護施設の大部分は“徘回する人お断り”だった。しかし、そんな彼らを受け入れ、拘束をしないケアをめざして果敢に取り組んでいる施設がいくつもあった。当時私は、電話相談や介護家族の集い、訪問から、認知症の人の状態に関与しているかもしれないと思えるいくつもの問いを、認知症の人ときちんと触れ合って、わかりたい、そして、そこに必要とされる(または、あるべきはずの)ケアの心・知・技を言語化したいという思いにかられていた。

 こうして観察とも手伝いともつかない勉強を許してくれた2、3の介護施設に出かけるようになった。滞在時間は、夕食時から居住者の多くが眠りにつき、ワーカーがひと息ついて多少の話し合いができる4〜6時間ほどであり、頻度も週1回のときもあれば2か月ぶりといったゆるい学びである。今はもっとゆるい視察に近い学びになっているが、いつ行っても難しいのは、彼らに挨拶をするタイミングと、その時々の言葉の選択や距離の取り方である。「こんにちは」「お仲間に入れてください」などの挨拶も、認知症の人には見知らぬ侵入者の迷惑な物言いであろう。それを承知で、“あなたがこの病とどのように付き合っているのか”を知りたいと願うわけで、受ける側としては、応答するにせよ、無視するにせよ、何らかの関係性を強いる行為である。

連載 訪問看護実践と成果のつながりを可視化するために—日本語版オマハシステムの開発に向けて・第19回

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 本連載では、これまでさまざまな事例を用いて、オマハシステムの活用方法について解説してきました。そのなかで、おもに訪問看護を行なうにあたって、初めのデータ収集・問題の推定→問題の特定/修飾因子優先度→介入開始前の評価→計画と介入までの事例展開を行なってきました。これは、図1のオマハシステムのステップ円環表*1で見ると、STEP1〜4まででしたが、オマハシステムの特徴の1つとして、長期的ケアについて評価・変化を追えるという点があります。そこで本稿では、事例をSTEP6まで進め、知識・行動・状態(KBS)の変遷や問題優先度の変化について述べていきたいと思います。

 今回の事例は、染色体異常により医療的ケアの必要な小児に対する訪問看護と家族へのケアを取り上げます。全国の訪問看護ステーションにおいて小児の利用者を受け入れているのは約3割*2と、受け皿としてまだ少なく、今後より一層の医療的ケア児が増えていく社会において、訪問看護事業所が担うべき対象の1つとして重要であるという思いも含め取り上げました。

連載 どう読む!? 在宅医療・看護・介護政策・第27回

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 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」(森田朗座長)と「医師需給分科会」(片峰茂座長)は、2017年12月18日に合同の会合を開き、医師偏在対策の第2次中間とりまとめを了承した。

 医師需給分科会の片峰座長は同日談話を発表し、「これまでの医師偏在対策とは一線を画す実効性の期待できる提言内容」と強調した。厚労省は、この中間とりまとめを受けて、通常国会に医療法と医師法の改正案を提出する予定だ。長年の課題である医師の偏在に有効な手を打てるのか、医師偏在対策の具体化に向けた検討が注目される。

連載 シンソツきらきら・第15回

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 高知県では行政や大学からのサポートもあり、2017年度に県全体で初めて5名の新卒訪問看護師が誕生しました。高知で先陣を切った坂本さんは、どのようなことを感じながら訪問看護を行なっているのでしょうか。(小瀬)

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 まず本書を手にして、新しくインターライ方式のガイドラインができたことに期待をもちました。なぜなら、ラックコーポレーション(以下、当社)では、インターライ方式の前身であるMDS-HC(在宅版)からそのアセスメント方式の導入にこだわり全事業所へ働きかけてきましたが、アセスメント項目数の多さとケアプランを導き出す工程への指導が不十分であったため、なかなか浸透せず苦慮していたからです。

 本書で指摘されているように、当社でも事業所独自の簡便なアセスメント表を使用していた時期がありました。作業は楽ですが、個別性がなく、画一的で根拠が明確でないケアプランが多かったのは事実です。そこで、あらためてインターライ方式に集中すると方針を決め、全社で取り組みました。本書は実践に即して活用できるものになっており、これを活用すれば、きっとスタッフが意欲的に取り組むことができると確信しています。

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今月の5冊

Information 学会・研究会情報

バックナンバーのご案内

次号予告・編集後記 小池 , 栗原
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藤沢病院に伺った際、私も伊藤恒子さんのフットケアを体験しました。履いている革靴が原因でできた(?)魚の目、肥厚した爪へのケアに加え、マッサージまで。一連のケアは満足度が高く、ケア中に披露される皆さんの話術に心のコリもほぐされます。「フットケアは、心温まる“ホットケア”なんだ」という三浦和子さんの言葉に納得の取材となりました。●取材を終えると、帰りはすっかり夜。岩手県一関の路面は雪こそなかったものの、そこかしこで凍結しています。慣れぬ冬の峠道のドライブはヒヤヒヤもの。この日、取材から帰り道まで、ドキドキしっぱなしの1日となりました。…小池

人とおしゃべりしていると、「課題として意識化される前にそれが解消され、同時にようやくそれが課題だったと気づく」という体験をします。Co-Minkanプロジェクトの取材をして、「あの体験はこれだったのか!」と思いました。●「可能性志向型」の支援といえば、グラミン銀行などのマイクロファイナンスやビル・ゲイツの養鶏業支援などを思い出しますが、よく考えれば「その人のもつ可能性や力を引き出す」というのはまさに在宅看護ですよね。まちづくりと在宅看護の新しい接点をまた1つ見つけた気がします。…栗原

基本情報

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訪問看護と介護
23巻3号 (2018年3月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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