訪問看護と介護 22巻10号 (2017年10月)

特集 患者状態適応型パスで見せる訪問看護のプロセス

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新人からエキスパートまで“誰がやっても質の高いケア”はどうすればできるのか。

本誌8月号特集に続いて、訪問看護の実践プロセスのフローチャートなど、患者状態適応型パス(PCAPS)のツールを使って、その実際に迫っていきます。

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見える化して、共有し、再利用する

 わが国は、超高齢社会への対応、増大する医療費の抑制、医療安全、国民の生活に根差したコストパフォーマンスの高い医療の提供など、並行して解決できるのかと思われるような大きな課題をいくつも抱えています。筆者は、これらの課題解決に向けて、訪問看護が重要な役割をもっていると考えています。

 さらに、老人訪問看護事業が語られ始めたころから、訪問看護の可能性や未来に期待しており、看護師の皆さんが、誇りをもって訪問看護を語り、実践する世界を構築したいと考えてきました。そこで訪問看護サービスを提供しているとき、個々のエキスパートナースが用いている暗黙の臨床知識があるはずで、それらを「見える化」して、共有し、再利用できるようにしたいと思うようになりました。

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 ここでは、がん末期の利用者に実践した訪問看護サービスについて、患者状態適応型パスにより、訪問看護のプロセスの見える化の試みを紹介する。さらに、その結果について、医師や他職種と診療情報の共有にどう役立てることができるのかにも言及する。

 なお、これらに利用されている用語はすべて、看護実践用語標準マスターを利用し、一般的な看護で利用する看護観察編および看護行為編の用語とともに、看護行為マスター在宅領域を併用している。

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COPD患者への地域連携における訪問看護の役割

 慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)は慢性疾患であるため、在宅での疾患管理が鍵となり、なかでも自己管理は重要です。しかし、患者さんは高齢者が多いことや、自己管理の内容が疾患の理解、薬物療法の管理、禁煙、栄養管理、運動、増悪の予防および対応など、多岐にわたることから、患者が1人で管理を実施していくことは困難です。

 そのため、患者さんの自己管理を継続するためには、在宅で患者さんを支える多職種からなる医療チームが必要になります。COPD診断と治療のためのガイドライン*1には、地域医療ネットワークによる連携の必要性や、COPDに対する在宅医療として自己管理教育の有用性が確立していること、在宅リハビリテーション、訪問看護、テレメディシンなども含めた包括的な在宅管理体制が望ましいことなどが明記されています。こうしたなかで、患者さんの生活の場に入り、これまでの生活の歴史や患者さんの信念、価値観などをじっくりと理解することができる訪問看護は、自己管理のための教育、増悪の早期発見・早期対応において重要な役割を担っていると考えます。

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 今、「病院完結型」医療から「地域完結型」医療への転換が推進されるなか、病院と地域の連携がますます重要になってきています。そんななかで、訪問看護は、退院した患者が地域で安心して暮らすための受け皿としての機能が求められています。

 本稿でご紹介する患者状態適応型パスシステムは、初めは患者の入院から退院までのプロセスを支援するシステムとして開発されました。しかし、病院を退院した人を地域で支えるための訪問看護領域においても、患者状態適応型パスシステムの作成が必要であると、私たちは考えました。

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 現在の看護基礎教育は、聴講と実習の2本立てで行なわれています。教育を受けるのは社会経験が少なく、生活そのものを冷静に考えることもままならない学生です。人の支援に関わる職業全般にいえることですが、看護基礎教育を、訪問看護の対象である利用者の安全・安心を確保した看護サービスにつなげていくためには、このような学生が溶け込みやすいように、聴講授業でも実習でも教材として利用できるツールが重要です。

 在宅看護教育の歴史をふり返り、その特徴と現状から、看護基礎教育に患者状態適応型パスを活用した場合の可能性を考えます。

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「仕事が想定どおりにいかなくて」「あの人が言うことを聞いてくれなくて」「期待ハズレの結果になって」——。理由はさまざまですが、仕事のなかではストレスを感じる場面はよくあるもの。今回、そうしたストレスで「キーッ」となってしまうことに悩む看護師・安田さん(仮名)に登場していただきました。認知行動療法の第一人者である臨床心理士・伊藤絵美さん(洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長)が、相談者にインタビューしながら悩みを解きほぐし、ストレス状況とのよりよい付き合い方を考えていきます。

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 2017年4月26〜29日に、「認知症の人と家族の会」と「国際アルツハイマー病協会(ADI:Alzheimer's Disease International)」の共催によって開催された第32回ADI国際会議。「認知症:新しい時代へ」というテーマのもと、国内外から約4000人あまりが集まった今会議は、およそ200人の認知症をもつ当事者が参加したことが印象的でした(本誌2017年6月号p.433-439)。

 この会議の参加者は、何を見て、何を感じたのでしょうか? 4人の声を紹介します。

連載 地域包括ケアのまちを歩く—コミュニティデザインの視点で読み解くケアのまちづくり・第11回

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住民、専門職、行政がつながった結果、幸手には「ケアする社会」が生まれようとしている。そこで共有されているのは信頼や情報といった「形のない何か」。それは地域包括ケアを超えて、人と人とのつながりの新しい形となっている。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・97

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 里帰り分娩という言葉に対応するように、「呼び寄せ老人」という言葉があります。呼び寄せ老人とは、都会に暮らす娘や息子に地方から呼び寄せられた高齢者のことです。その多くは、「一人暮らしで心配だ」「近くにいたら把握しやすい」という子ども側の都合によるものが多いようです。

連載 認知症の人とその家族から学んだこと—「……かもしれない」という、かかわりの歳月のなかで・第7回

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回復に向けられる権利ベースアプローチ

 本誌9号に認知症の「回復」のことを少し述べたが、ある精神科医から「回復のあり方として『病が人間に座を譲る』という、いわば人間の回復を連想させます。それはrecoveringに向けた権利ベースのアプローチ(RBA:Rights-Based Approach)へとつながっていくのだと思います」と、真に的確なコメントをいただいた。

 認知症当事者の権利ベース運動に限っていうと、2000年にクリスティーン・ブライデンらによる「認知症権利擁護・支援ネットワーク」が誕生した前後から進められてきた。2014年には、当事者のみの「国際認知症同盟」が組織化され、翌年には「障害者人権条約」の批准(2006、国連)」の適用範囲に認知症を加えることを国連に訴えている*1。国内では、この連盟組織メンバーが個々に当事者との交流をもっていると聞いている。

連載 訪問看護実践と成果のつながりを可視化するために—日本語版オマハシステムの開発に向けて・第15回

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内容や方法が多岐にわたる訪問看護の質評価

 皆さんは訪問看護の質評価というと何を思い浮かべますか? すぐに思いつくのは「利用者満足度評価」でしょうか。あるいは、第三者による「事業所評価」や「業務実績・経営状態の評価」でしょうか。また、管理者が行なう「事業所自己評価」、スタッフが行なう「訪問看護実践における自己評価」も考えられます。

 これらは評価者や方法による違いこそありますが、どれも訪問看護サービスを評価する指標となることは間違いありません。しかし何を評価しているのか、何と比べて「よい、悪い」と判断するのか、何を評価基準にするのかによって、結果が変わってきます。

連載 どう読む!? 在宅医療・看護・介護政策・第22回

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 介護サービスの質の評価が2018年度介護報酬改定のテーマになっている。自立支援につながる質の高いサービスを評価し、事業者にインセンティブを与えるべきだという意見があるが、この問題を議論した8月23日の介護給付費分科会では、慎重な意見も多かった。

連載 シンソツきらきら・第10回

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 訪問看護ステーションは、開設している地域や受け入れている利用者さんなどによって、それぞれに特徴が異なります。そのなかでも、今回は「精神科訪問看護」に力を入れているステーションに就職した金関舞さんに、自らの経験について書いていただきました。新卒からの精神科訪問看護、今後も広がってほしいです。(小瀬)

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今月の5冊

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次号予告・編集後記 栗原 , 小池
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共働き家庭なら必ず(?)問題になる家事分担。わが家でもしばしばケンカの火種になっていました。そこで挑戦してみたのが「家事の見える化」。それぞれ自分がやっている家事を項目ごとに書き出し、タイミングや必要時間を追記する……とやっていくうちに、いつのまにかケンカは終了。というのも、相手がやっていることが見えてきて、自分がやっていることを伝えられただけで、なんだかすっきりしたのです。結果よりプロセスから学ぶことが多いというのは、こういうことなのだと実感しました。結局、分担は何も変わっておらず、不満がないわけではないですが、ゆっくり最適解を探していけばいいやという気持ちになっています。…栗原

巻頭「認知行動療法」企画、悩みの根っこが明らかになるプロセスに唸ってしまう面白さがありました。相談者・安田さんから後日談のメールも。「平穏な日が来た(パチパチ)。とはいかず………さらに強力な患者さんと格闘してます。でも、キーッと声に出ることはなくなりました」とのことで、手応えを感じているよう。なお、メールに「患者さんを見ていなかった」と反省しているとも綴られていたのですが、それが優先できなかったほどにストレス状況下にあったのかもしれません。いずれにせよ、現場で働く人の心身が健やかな状態になければ、いいケアも生まれないように思うのです。さて、次号も同様の思いに端を発した、問題提起型の特集です。…小池

基本情報

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訪問看護と介護
22巻10号 (2017年10月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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