訪問看護と介護 22巻11号 (2017年11月)

特集 訪問看護師が経験する「暴力」

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現場の訪問看護師の声を受けて行なわれた神戸市看護大学などの調査により、利用者やその家族から暴力を受けた経験のある訪問看護師が少なくないと明らかになりました。

本特集では、同調査の報告とともに、この問題を考えていくための材料を提示。

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 訪問看護も介護も、多くは女性1人で、利用者だけでなく、家族も暮らす家への訪問をする。もちろん善良な利用者が大半だ。しかしながら最近、管理者は安全対策だけでなく、防犯まで予見し、被害にあわないように対策をとることが求められる時代へと変化していると思う。

 そのように認識するのが遅れ、被害を出してしまった私の経験と、支援を求めて歩んだ道のりについて報告する。訪問看護師や介護職の皆様の暴力の予防対策の取り組みへの一助となることを願う。

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 訪問看護と協働する、介護の世界にも「暴力」の問題は横たわっています。介護労働者が利用者およびその家族から受けるさまざまな嫌がらせや人権侵害を「ケアハラスメント」と位置づけ、かつて調査研究を行なった篠崎氏に論考を寄せていただきました。訪問看護の領域で「暴力」をめぐる取り組みが動き出した今、先行研究や考察に学ぶものは多いように考えます。(編集室)

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 皆さんに、質問があります。「暴力の被害を受けた人はどのような心身の反応を示すでしょうか?」怖がっている、泣いている、落ち込んでいる、ぼう然としている、自分を責めている、眠れない、食欲がない……などを思い浮かべるのではないでしょうか。

 この質問の回答はあるのですが、ここではあえて示さないことにします。というのも、自分自身がもっている暴力被害者に対する先入観や思い込み、価値観に気づいたうえで、被害者を理解していただきたいからです。

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 現在、継承や閉院などの組織管理を担当する傍ら、毎日4〜5件もの医療機関トラブルの相談に対応する尾内康彦さん。そんな尾内さんに「サービス提供を拒むこと」で問題になることはないのか、尋ねました。(編集室)

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訪問看護師が利用者や家族から受ける「暴力」の問題。さまざまな立場の皆さんに、この点について考えるところを、自由に語っていただきました。

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 訪問看護師が利用者・家族から受ける暴力の実態解明を目的に、兵庫県下で同意の得られた83施設・600名の看護職を対象に質問紙調査を実施し、返信のあった358名分のデータを分析した。その結果、これまでに利用者やその家族・親族等から暴力を受けた経験のある者は180名(50.3%)で、その内容は身体的暴力と精神的暴力の双方で、多岐にわたっていた。「もっとも印象に残った事例」を尋ねた結果、暴力の行為者は、認知症、脳血管疾患、精神疾患の利用者が多かったが、約4分の1は家族からの暴力であった。看護師の対処は、「相手の言い分をただただ傾聴した」が最多で、我慢やあきらめといった対処も少なくなかった。事業所の対策や対応に関して、「訪問看護の仕事が安全である」と感じる看護師は半数に満たなかった。

巻頭 地域包括ケアのまちを歩く—コミュニティデザインの視点で読み解くケアのまちづくり・第12回

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 地域包括ケアシステムをつくるとき、まず考えるのは「どんなケアを、どこで、どのくらい、どのような人に届けるのか」ということだ。では、それで「最適なケア」や「よりよいケア」を実現できたとしたら、それで地域包括ケアのゴールといえるのだろうか?

 その答えを示唆する取り組みが、石川県を中心にして進められている。「人」の専門家・社会福祉法人佛子園の雄谷良成さんと、「建築」の専門家・五井建築研究所の西川英治さんが挑戦する、新しいまちづくりだ。

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 本書は、訪問看護におけるフィジカルアセスメントだけの本ではありません。いかに多職種でチームとして動くか、そのために何が必要か、そして訪問看護を通して人が成長するプロセスまでが見えてきて、途中で「この本のタイトルって何だったっけ?」と思うのです。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・98

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 呼び寄せ老人の状態となっていたKさんが、暮らしの保健室につながった経過を前回お伝えしました。今回は、Kさんがそこから故郷に帰り着くまでの2か月のエピソードを紹介します。

連載 訪問看護実践と成果のつながりを可視化するために—日本語版オマハシステムの開発に向けて・第16回

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 本連載では、これまで高齢者を中心に事例を展開してきましたが、今回は小児とその家族を取り上げます。連載第9回(2017年2月号p.152-158)、10回(同3月号p.230-236)と同様に、まず、事例の概要や看護師の思考過程を記述し、それをオマハシステムの手順に沿って整理します。

 小児のケアには、医療だけではなく、その児らしい成長・発達を促す保健や福祉、教育などを含む地域のネットワークが不可欠です。それは児のためだけではなく、家族それぞれの生活を広げ、エンパワメントするためにも重要です。

連載 どう読む!? 在宅医療・看護・介護政策・第23回

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 厚生労働省は、働き方改革に沿って医師の労働時間に対する規制を検討するため、「医師の働き方改革に関する検討会」(岩村正彦座長)を設置して検討を進めている。来年1月には、中間整理をまとめる予定だ。9月22日の会合では、厚労省が医師の勤務実態を把握するため、タイムスタディ調査を実施する考えを示した。医師の働き方が変われば、医療現場に影響が出ることは避けられない。

連載 シンソツきらきら・第11回

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 これまで本連載では、新卒訪問看護師の体験談をご紹介してきました。今回は少し視点を変え、新卒を育てるために、私自身が新卒として教育を受けたり、後輩のプリセプターになるなど多くの新卒と関わってきたりした経験から、大切にしていることを5つご紹介します。

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 第7回日本在宅看護学会学術集会の開催地が山梨に決まってから、約1年半、企画委員会を中心に準備を重ねて参りました。

 今回のテーマを「在宅看護の原点、そしてさらなる挑戦」としたのは、全国に先駆けて訪問看護の制度化に取り組んできた山梨だからこそ、「在宅看護の原点」を大切にしつつ、「在宅へ」という時代のニーズに応える看護職の「さらなる挑戦」を語り合い、参加者がさらに元気になる学会にしたいと考えたからです。

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今月の5冊

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バックナンバーのご案内

次号予告・編集後記 栗原 , 小池
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DVや子ども虐待の被害者・加害者支援を行なっている方に取材したときに、「加害者が怒りにまかせて上司を殴ることはない。社会状況的に『殴っていい』と自分が判断した人だけを殴る。だから暴力とは怒りの問題ではなく、社会的な問題である」という言葉を聞いて、もやもやとくすぶっていた疑問がすっと溶けていくような体験をしました。性別や年齢、職業、身体的・精神的な病気や特徴によって「暴力をふるわれてもいい人」が決まっている社会なんて、ぞっとしますが、それが今私たちが生きている社会なのかもしれません。誰もが心身を侵害されないで働き、生きられる社会になりますように。本特集がその一助となりますように。…栗原

援助職にある人が暴力を語るのは「タブー」である。お話を伺うと、在宅領域にはまだそうした向きがあるようです。●精神科医・中井久夫氏著『こんなとき私はどうしてきたか』(医学書院)において下記のような文章がありました。「患者さんが暴力をふるうということは、患者さんにとって身体的な不利益だけでなく、社会的な不利益を生む。暴力で反応する習慣を患者さんがもたないことは、社会復帰のうえでとても重要なことだ。それは治療の一部なんだ」。都合よく解釈することは慎まねばなりませんが、「暴力」にきちんと向き合うことがケアになる、そう読めるように思うのです。タブーとせず、身近な暴力の問題を顕在化させる。まずはそこからなのかもしれません。…小池

基本情報

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訪問看護と介護
22巻11号 (2017年11月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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