訪問看護と介護 16巻8号 (2011年8月)

特集 つながる、拡げる、ネットワークする これからのステーション経営

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高齢社会・多死時代に向けて、ますます訪問看護への期待が高まっています。

訪問看護は、もはや地域の医療・介護のインフラとして不可欠です。

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 本特集の4つの実践報告は、2008(平成20)年度厚生労働省老健局研究事業「訪問看護事業所の機能集約及び基礎強化促進に関する調査研究事業」を契機に取り組まれたものです。この成果は、2009(平成21)年度からの同局「訪問看護支援事業」へとつながっていきます。本事業は2012(平成24)年まで継続される予定であり、より多くの地域の新規参入を願いつつ、本事業についてご紹介します。

 近年、国民の生活意識の変化や医療提供制度の改革により、医療を必要とする人々が施設内から居宅へと生活の場を移しています。その人々を支える在宅医療・看護へのニーズは、20年ほど先には現在の3倍を越えると予測されています。一方、訪問看護事業所数や利用者数は微増でしかなく、訪問看護の提供状態は、急増する社会的ニーズに対応できる状態とは言えないのが現状です。

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在宅医療・地域ケアのニーズがさらに高まっていこうという今、訪問看護の体制整備は、喫緊の課題です。

しかし、訪問看護ステーションも訪問看護師数も伸び悩み、その展望は、順風満帆とは言えないのが現状です。

制度の枠組みをも超えて、わが町での役割を果たし、それぞれの思いを実現していくには?

10年後、20年後を見据え、今、求められる「経営力」について、経営学の専門家の視点を交えて、語り合っていただきました。

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座談会①を受けて、実際に訪問看護に取り組むみなさんに、現場の課題と実践を語り合っていただきました。

現場の実感に基づく力強い提案は、10年後の社会と訪問看護の未来を照らし出してくれています。

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なぜネットワークを組んだのか?

 滋賀県甲賀市は5町が合併してできた県土14%の広い面積をもつ、人口9万4587人(2011年3月現在)の市です(図1)。この地域には7つのステーションがあり、この広い地域の訪問看護を行なってきました。

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なぜネットワークを組んだのか?

 福岡県久留米市の特徴は、人口約30万人、高齢化率23.1%(2010年現在)。訪問看護ステーションは現在26か所ですが、ステーション同士のネットワーク化に取り組んだ2008年は18か所でした。医療機関併設のステーションの休廃止がある一方、個人のステーションの開設も多くなった時期であり、市内の訪問看護部会の協力を得て、18ステーションで訪問看護支援事業を契機に取り組みました。

 内容は、

❶PRのための共通のパンフレットづくり

❷必要な医療材料等の入手について薬剤師会との協力体制づくり

❸訪問看護師教育

の3項目です。

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なぜケアマネとの連携に取り組んだのか?

 在宅療養者の増加により、ますます訪問看護ステーションへの期待が高まっています。しかし、近年、訪問看護ステーションの休廃止が続いており、茨城県では、107事業所にまで増えた事業所数は、2010年12月現在、94事業所に減少しています。また、約8割は常勤換算数5人未満の小規模事業所で、約3割は赤字経営です。こうした影響もあり、2006~2008年の訪問看護利用者数・訪問件数(介護保険)の推移では、茨城県は減少傾向にあります。

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 はじめに、2011年3月11日に発生した東日本大震災により亡くなられた犠牲者のみなさまのご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に心よりお悔やみを申し上げます。また、避難生活を余儀なくされている多くの被災者のみなさまのご健康と、被災地の1日もはやい復興を心からお祈り申し上げます。

 訪問看護ステーションの管理者として、今回の大震災により、改めて災害時対応について検討が必要であることを実感しているところです。神奈川県横浜市の港北・都筑訪問看護ステーション連絡会では、2008年から、ステーションのネットワークによる災害時対応に取り組んでいます。本稿では、この取り組みの経緯と成果、今後の課題について報告します。

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日本は、2010年現在で23.1%が65歳以上の老年人口という、世界に類例を見ない超高齢社会に突入しています。今回お邪魔した三重県熊野市は、高齢化率36.89%、75歳以上人口も21.56%(2011年6月1日現在)を擁する、地方の農山漁村として典型的な超高齢・過疎地域。来るべき東南海地震・津波の脅威もささやかれるなか、この地域の在宅ケアを守り、はやくから在宅療養者のための防災・減災対策に取り組むステーションの“今”をうかがいました。

連載 訪問看護 時事刻々・149

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 厚生労働省が「看護師等の『雇用の質』の向上に関する省内プロジェクトチーム」報告書をとりまとめた。

 このプロジェクトチームは、昨年11月末に厚生労働大臣の指示を受けて省内の関係部署の責任者を集めてつくられた。厚生労働省の医療や保険を担う部署と労働関係を担う部署が一緒になって報告書をまとめ上げたのは今までにないことで、看護の労働環境の改善にとっても大きな影響を与えることが期待される。この報告書を受けて、厚生労働省は6月17日に医政局長、労働基準局長、職業安定局長、雇用均等・児童家庭局長、保険局長の5局長の連名で、看護師等の雇用の質の向上を取り組むようにと、都道府県知事に通知を出した。

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 筆者らの研究班では、質・量ともに安定した訪問看護の供給をめざすべく、平成21(2009)年度・平成22(2010)年度の2年間、全国の訪問看護事業所を対象に、経営状況やそれに影響する要因に関する調査を行なってきた。今回から全5回の連載で、これらの調査結果から見えてきた「訪問看護事業所の経営安定化への戦略」について、利用者の特徴や組織の質管理などのさまざまな切り口から考えていきたい。

連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第1回【新連載】

真似で関係が動き出す 細馬 宏通
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 カワカベさんはこのグループホームに来てもう七年になる。診断はアルツハイマー型認知症。以前はご自分の名前と生年月日をすらすらと唱えていたけれど、最近では、目を見て名前を呼ぶと「うん?わたし?」と返ってくる。

 カワカベさんの食事は、他の人よりも時間がかかる。いったん食べ出せば早いのだが、問題は食べ物に手をつけるまでだ。

連載 在宅ケア もっとやさしく,もっと自由に!・23

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 わが白十字訪問ステーションがある新宿区には、「戸山ハイツ」というとても大きな団地があります。昭和43~51年に建設され、総戸数3000、高層(エレベーターあり)から低層(階段のみ)まで35棟、約7000人が暮らしています。高齢化が急速に進み、いまの高齢化率は、なんと45%です。

 その戸山ハイツの33号棟1階は商店街になっていて八百屋さん、肉屋さん、雑貨屋さん、クリーニング屋さんなどが並んでいます。中ほどの店舗は、シャッターが下りたまま、この10年来営業していない本屋さんでした。

連載 在宅ホスピスの現場から ターミナルケア実践からの12の学び・8

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 「父が、医師から、胃がんで治療は難しい、あと余命3~6か月と言われた。できれば家で最期までと思うが、認知症の母がいるのでどうしたらよいか?」と、ご長男から当ステーションと併設の在宅療養支援診療所に問い合わせがありました。

 ご長男と診療所の医師が面談すると、徹さんも家で過ごしたいと望んでいるが、病状が進行していくなかで共倒れになってしまうのではないかと、ご長男は先の見えない不安を抱え、途方に暮れていることがわかりました。

連載 一器多用・第3回

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 身体の使い方の研究を深めるヒントになればと、以前、40歳代半ばの植木職人さんを紹介してもらったことがあります。彼は、仲間うちで“サスケ”と呼ばれる木登り名人です。そこで、ただ座って話しているのでは面白くないからと、木登りしながら話そうという展開になり、作業場にあったケヤキの木に2人で登り始めました。ハシゴなし、素手での木登りです。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第5回

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杏里 今回は番外編。被災地への「出張デイサービス“かわさき・健康応援隊”」を行なっている友人の川内潤さんをゲストにお迎えしました。マンガも増量してお送りします。母さんは、父さんの介護でお留守番です。

母 私の分までしっかり話を聞いてきてね~!

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 本研究は、在宅で老親を介護している未婚子の介護生活への対応と介護観を明らかにすることを目的とした。大阪府のA訪問看護ステーション利用者のうち、老親を介護している未婚の介護者4名に半構成的面接を実施した。

 質的分析を行なった結果、介護生活への対応として【介護は生活の一部である】【介護を続けるコツをもっている】【介護による精神的負担がある】【介護と自分の生活に折り合いがついている】、介護観として【親の介護は子どもがして当然である】【自分と親は切り離すことができない】【母が羨ましい】【自分は独りで死ぬかもしれない】【自分の老後は自分で何とかする】というカテゴリが抽出された。

 以上より、未婚子は「もともと介護基盤が脆弱」であることに加え、「親子関係の密着度の高さ」や「老親への精神的依存」、「自身の老後への不安」といったさまざまな特徴をもつということが明らかになった。

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 本研究では、訪問看護師の転職意向と訪問看護分野への定着に関連する環境要因を検討することを目的に、訪問看護師934人を対象としたアンケート調査を行なった。質問内容は、研究者らが作成した39項目の環境要因と訪問看護師の属性であった。分析は、転職などの意向の有無および属性と環境要因とをχ2検定で分析した。

 有効回答数は330人(35.3%)であった。「転職意向」と関連する環境要因は、困った場合は相談できるなどの人間関係であった。「訪問看護分野への定着」と関連する環境要因は、転職意向より要因が多く、資格取得などの自己実現や福利厚生などが加わっていた。また、経験年数と環境要因の間にも関連が認められたため、管理者はスタッフの訪問看護経験年数に応じた現任教育を用意する必要がある。さらに、看護師同士や利用者、他職種、設置者らとの人間関係に配慮し、経営理念の共有、キャリアや福利厚生の向上を図る努力が求められる。

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 褥瘡管理では個人の基礎疾患や病状をはじめ、除圧の方法、摩擦やずれ対策、スキンケアの方法、栄養管理、リハビリテーションなど、さまざまな視点から総合的に考えることが基本となります。局所の治療は医師の指示で行なうことが前提ですが、どのような方法であっても、実際のケアに関わるスタッフは安全に配慮した方法と、創を正しく評価できるように経験を積み重ねていくことが重要です。実際に褥瘡ケアを行なっている方は、治療方法に関する具体的な知識を求めているのではないでしょうか。

読者の声

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被災した学生とステーションの奮起

山本君子 千葉県・大学教員

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ニュース―看護と介護のこのひと月

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次号予告・編集後記 杉本 , 青木
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根っから数字に弱い私。「経営」と聞くだに目がショボショボします。でも、今回の特集では目の醒める思いを。経営って、算盤をはじくだけじゃないのですね。2つの制度を股にかけ、多様な役割を果たす訪問看護は、良くも悪くもまだ得体が知れません。2つの座談会と4つの実践報告から、ニーズに応じて自ら変身し得る懐の深さと可能性を感じました。表紙は、珊瑚礁をステーションに、超高齢社会という海原へ続々と泳ぎ出す、色々の訪問看護師たちのイメージです。まずは目下の収支改善が気になる方は新連載「事業収支を黒字化する経営戦略」もご覧ください。もう1つの新連載は、4月号巻頭インタビューの細馬宏通さん。緻密な観察にもとづいた細馬さんの発見は、認知症ケアへのヒントと希望に溢れています。…杉本

昨年から育児スタートを契機に、マンションの組合理事を引き受け、地域の行事に参加したりと、新しい経験を始めました。すぐ直面したのは、やはり「経営」問題。どこもかしこも、お金と人手の工面抜きに成り立ちませんね……。町内会費の徴収から老朽化した共有施設の再建、そして防災・減災のための手立てまで、やることが山積みです。古い貯水槽を備蓄庫に改築したり、車椅子のお年寄りを上層階から下ろせるよう担架の購入も準備中。拙宅の向かいにちょうど特養・地域包括支援センターもあって、保育園に送る道すがら、お年寄りの笑顔に送られるのが面映く、なぜだか泣きそうになるのを堪えて歩く初夏の朝です。…青木

基本情報

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訪問看護と介護
16巻8号 (2011年8月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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