訪問看護と介護 14巻1号 (2009年1月)

特集 精神科訪問看護の実際

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精神保健医療福祉のあり方が「入院医療中心から地域生活中心へ」と変わり,精神疾患をもっている方々が地域で生活していけるような支援が求められているにもかかわらず,精神科訪問看護に取り組むまでのハードルを高いと感じ,一歩を踏み出すことに躊躇するステーションは少なくありません。

すでに取り組んできたステーションの報告から,精神科訪問看護への理解を深め,実践につなげていきたいと思います。

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 今日,精神科の病院では退院促進が加速度的に進んでおり,今後,精神科治療における在宅での療法として,訪問看護ステーションの役割が重要になると予想される。訪問看護ステーションクローバー(以下,クローバー)は,精神科訪問看護を専門に実施している。そこで訪問看護師として,また,管理者として経験していることなどをふり返り,精神科訪問看護の実際について述べる。

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 私が勤務する訪問看護ステーションクローバーでは,精神科訪問看護の利用者の74.6%が統合失調症の方々である。統合失調症は幻聴・幻覚・妄想などの症状により社会生活に支障を来すため,時には何度も入退院をくり返すことがある。精神科訪問看護ではこうした方々に対し再発を予防しながら,地域のなかで自立した日常生活を送り,社会復帰できるように援助していくことになる。

 本稿では2004(平成16)年にステーションの母体病院である小阪病院を退院された,無為自閉的で幻聴・幻覚・妄想がある利用者への関わりをふり返り,精神科訪問看護師が果たす役割を考える。

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訪問地域の特徴

 訪問看護ステーションコスモスは,東京都台東区の,かつて「山谷」と呼ばれていた地域にあります。現在では住居表示制度により地名は変わり,その名は残っていませんが,「山谷」は高度経済成長期には,日雇い労働需要の高まりとともに,日本有数の寄せ場として発展した,大変活気のある街でした。最も多いときで,ドヤと呼ばれる簡易宿泊旅館数は300近くあったといわれています。

 現在,簡易宿泊旅館数は170ほどに減少し,歳若く日雇い労働をしながら働いていた人々も高齢化し,病気を抱え仕事ができず,収入が途絶えたがために,生活保護を需給する人が増えてきています。台東区町丁別高齢者人口一覧(2007年1月1日現在)で65歳以上の高齢化率をみると,東京都の平均18.9%に対し,台東区23.5%,そのうち山谷地域の中心は48%以上と,高い数値を示しています。そして現在の「山谷」は,「日雇いの街」から「福祉の街」へと変わりつつあります。

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国の精神保健医療福祉施策と訪問看護

 2004(平成16)年9月,厚生労働省は「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を明らかにしました。そのなかで示されたことは,「入院医療中心から地域生活中心へ」という,精神保健医療福祉のあり方の変更です。いままで入院医療の対象者と思われていた人々も,これからは地域生活を維持しながら,生活の場で支援ができるようにしていこう,そして,それを可能にするような医療や生活支援などを,地域社会のなかにつくり上げていこう,というのが,このビジョンの指し示す具体的な方向であるといえましょう。

 このビジョンを具体化するときに,私たちがもっとも大切だと思うのは,精神疾患を抱えながら地域で暮らす人々に適切に医療的サポートができるプログラムを充実するということです。特に,症状が比較的重く,不安定なために,デイケアや地域の通所型の生活支援施設を活用することが難しい人々へのサポートが,これからはさらに重要になると思われます。ご存知のように,精神疾患では症状のために自宅にひきこもったり,集団の場に出て行くことが困難になったりする場合があります。そのような状況にある人々は,通所型のサービスは活用しづらく,やがて医療中断になり再発・再入院といったリスクが増えかねません。

精神科訪問看護の魅力 谷藤 伸恵
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精神科の経験がなくても大丈夫

 訪問看護ステーションやまのては経営母体が精神科病院ということもあり,開設当初から精神訪問看護に取り組んできました。ところが,訪問看護を始めた1993年時点では,私自身に精神科の看護経験はまったくありませんでした。ですから対象者をどのように理解して,どのような看護を提供すればよいかがわからずとても不安でした。

 そこで適切な看護を提供したいと思い,精神科看護の研修会に参加しました。そのときに獲得した精神科看護の知識と技術は,確かに必要なことばかりで,現在も役立っています。ただ,対象者と慎重に関わることが必要だとは思いますが,対象者の理解や関係性の構築,看護の内容で修正のきかない状況は,あまりないとも思います。看護を提供しながら,対象者と試行錯誤,軌道修正することは可能だと思うのです。

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ウェル訪問看護ステーションの概要

 医療法人安積保養園ウェル訪問看護ステーション(以下,ウェル)は精神科領域を専門としながら一般の訪問看護も行なうステーションとして1999(平成11)年4月,福島県郡山市に開設され,現在10年目が経過しようとしています。

 看護師9人(常勤8人・兼務1人),作業療法士1人(非常勤),事務職1人(常勤)の体制で運営されており,登録者は204人で,50~60歳代が75%,男性が66%を占めています。2008年9月の訪問看護利用者は190人,延べ訪問回数は620件(うち医療保険458件)です。精神疾患のなかでも統合失調症の利用者が約80%を占め,利用者宅も広域にまたがるため移動時間が長く,グループホーム等への訪問も多い現状にあります。

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ラポールちかもりの風土やスタンス―スタッフ育成における管理者の役割(中井有里)

●法人の理念に沿った訪問看護機能

 近森会(以下,当法人)は「急性期医療からリハビリテーション,そして在宅医療まで」を理念としており,法人内の精神科医療を担う組織として,「総合心療センター近森」がある。それは急性期病棟,回復期病棟,ストレスケア病棟からなる近森病院第二分院(病床数104床,うつ・神経症を対象とした精神科デイケア併設)と,精神障害者のリハビリテーションに取り組む高知メンタルリハビリテーションセンター(統合失調症を中心とした精神科デイケア,地域生活活動/相談支援センター,援護寮,精神障害者を対象とする訪問看護ステーションラポールちかもり(以下,当ステーション))の二本柱からなる。

シリーズ クオリティの向上を!―訪問看護の充実をめざして・3

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訪問看護の活性化に向けたアクションプラン

宮武 一連の医療制度改革が2006(平成18)年度から始まっています。来年度には介護報酬改定も控えておりますが,いま訪問看護はどういう問題に直面しているのでしょうか。

髙階 2007(平成19)年の春以来,介護給付費分科会の委員の方々から,訪問看護の伸び悩みについて制度設計に問題があるのではないか,確実に伸びる効果的な策を打つべし,という宿題をいただきました。そこで昨年1年間,日本看護協会(以下,看護協会)と日本訪問看護振興財団(以下,振興財団),全国訪問看護事業協会(以下,事業協会)の三者の協力の下,厚生労働省(以下,厚労省)から研究費,事業費を出して現状を分析しました。その結果まとまったのが,「訪問看護の活性化に向けたアクションプラン」(表1)です。

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認知症ケアを取り巻く状況と医療の課題

 介護保険開始以降,認知症ケアは進歩してきた。とりわけ,介護専門職の認知症ケアに関する経験の蓄積,グループホームなどの認知症高齢者への新たなサービス展開は特筆に値する。2004年に「痴呆症」から「認知症」に名称が変わったことは記憶に新しいが,国民の「認知症のとらえ方」もこの十年で大きく変化した。今世紀に入り,認知症患者さん自身が自らの内的世界を語り始めたことが大きなインパクトを与えている。認知症が認知の障害であり,周りの人や社会のサポートがあれば,地域でその人らしく生きていくことが可能であることが次第に理解されるようになってきた。

 我が国の認知症ケアにまつわる最大の課題は医療モデルの欠如であろう。認知症を診断できる医師の数が圧倒的に不足している。国民が認知症を疑った時,どこで適切な診断が受けられるのかが明らかでない。地域では最大の課題である認知症が,医学教育のなかでは隙間医学にすぎない。アルツハイマー病患者の9割が他の合併症をもち,多くの患者が合併症で死亡していることからもわかるように,内科的な全身管理が重要である。また,中等度の時期に在宅生活を破綻させる主な要因である行動心理徴候(BPSD;いわゆる問題行動)への科学的なアプローチ法の普及も大きな課題といえる。そして,重度から末期にかけては,終末期における意思決定の支援,末期の診断,ホスピス緩和ケアの実践において,医療がその役割を果たすことが求められている(表1)。

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はじめに

 長時間の停電による医療機器の停止など,医療処置の必要な在宅療養者は,一般の人より災害によって生命の危機にさらされる可能性が高い1)。近年A病院の訪問看護を利用している在宅療養者も,台風による水害のため,酸素不足や痰による窒息など生命の危険にさらされ,さらに救急搬送が不可能であるという状況にみまわれた。この時医療機関は緊急時対応の指導として,連絡方法は指導していたが,災害を想定した具体的な対応策の指導は行なっていなかった。そして,この時の初期対応が遅れた原因として,看護師および療養者・家族の危機管理意識が低かったことが考えられた。

 小田らは「緊急・災害時支援システムを構築し,シミュレーションを通じて災害時の初期行動が具体的にイメージでき,双方の危機管理意識が高まった」2)と述べている。そこで被災後の実態調査を通して水害体験を活かした安全対策を検討し,医療依存度の高い在宅療養者に防災訓練として停電時の対応と移送シミュレーションを実施した。しかし,その際は療養者と介護者のみの参加であったため,自分たちで行動が起こせるまでには至らなかった。

 その課題をもとに,介護者だけでなく日頃介護していない家族や近所の支援者へ訓練の参加を要請し,具体的な避難場所や避難方法を設定した上でシミュレーションを実施した。この訓練を通し“自分たちで行動が起こせる”体制づくりに一歩近づくことができた。防災訓練の内容を報告するとともに,防災への意識を高められた訓練の効果を報告する。

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 2008年10月31日,イギリス第二の都市バーミンガムで今年もALS/MND国際同盟国会議が開催された。イギリスのノーザンプトンに本部を置くMND協会は世界中のALS協会を束ねて,毎年およそ40か国が参加する同盟国会議を主催しているが,18回目の今年はホストを務めている。

 成田からおよそ11時間のフライトでアムステルダムに到着。欧州ローカル線に乗り換えてさらに2時間,真冬のドーバー海峡を飛びバーミンガムに到着した。時差は地球を反対に回るよりも堪える。

連載 マグネットステーション インタビュー・13

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立ち上げ当初からの看板を掲げて

木村 大崎訪問看護ステーションは全国第1号の訪問看護ステーションとうかがっています。第1号として立ち上がるのにどのような理由があったのでしょうか。

深沼 旧三本木町(現,大崎市)は昔から保健,医療,福祉の連携がとれ,住民の意識が高かった,ということがあります。また,1988(昭和63)年に当時の厚生省のモデル事業地域に三本木が指定され,当時の大崎支所(現,大崎訪問看護ステーション)が在宅ケアを担う1つの機関として訪問看護を展開してきたからではないでしょうか。

連載 訪問看護 時事刻々

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 舛添厚生労働大臣のもと,「看護の質の向上と確保に関する懇談会」が始まった。1月には議論を取りまとめるようなので,相当早いペースで進行されるわけだが,「懇談会の議論の方向性は実行に移す」と大臣が言ったので,第2回から「検討会」に“格上げ”されたこともあり,どうしても期待してしまう。急に開かれた感の残る懇談会だが,大臣が「都立墨東病院に行った際,看護師不足でNICUが15床中12床しか稼働していないと聞いた。医師の過酷な状況が言われているが,看護師はどうなのか。処遇も含めて看護の在り方を議論する場が必要と考えた」と語ったように,ここになってようやく看護師の不足が医療全体に影響していることを理解してくれたようだ。

 さて,この懇談会の主な検討課題は,①看護職員の確保,②新人看護職員の質の向上,③チーム医療の推進,④看護教育の在り方の4点。初日に行なわれたフリーディスカッションでは「似たような仕事を看護師全員がするのは非効率的」「ナースプラクティショナーの導入が必要」といった,看護職のなかでの役割分担を推進する方向の意見がでた。

連載 高齢者虐待にどう対応するか・10

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はじめに

 虐待ケースにおいて,被害者を救済することが重要であることは論を待ちませんが,同時に,加害者をどう援助しているか,が非常に重要な課題です。

 加害者への援助は,比較的難易度が高いスキルです。支援をすんなり受け入れてくれない場合も多く,支援しようとして逆にトラブルになることもまれではありません。加害者になる人は,対人関係に多少なりとも問題を抱える人が多いからです。それでもなお,筆者は,加害者支援が本質的な仕事であると信じています。援助者が「加害者を助けるというメッセージを出し続ける」重要性は強調しておきたいと思います。

 今回と次回の2回にわたり,模擬ケースを通じて,皆様と一緒に考えてみたいと思います。

連載 ヒト・モノ・バをつなぐ認知症ケア―今日のデザインの役割・7

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認知症ケアの基本となる観察

●ケアに必要な「みる」と「観る」

 見・視・眺・望・省・証・診・看,これらはすべて「みる」という漢字です。日本人は実に多くの「みる」を目的に応じて使い分けなければなりません。「視」は,部分を見つめ,「眺」は,全体を眺める,「望」は,はるか未来をみる,「省」は,心のなかをかえりみる。これらすべての「みる」を超えた後にいたる境地,その境地をそなえ千の眼で自在にものを見通すことができる「千手千眼自在菩薩」は,福井県小浜市の妙楽寺に安置されています。

 また,宮本武蔵の伝記のなかに,「見の目」弱し,「観の目」強くみるべしということばが残されています。「見の目」とは,物事を表面しか見ないこと,「観の目」は物事を奥(本質)まで見通すという意味です。

連載 100歳までの道のり・4

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 2004年4月から,母(93歳)は新設の生活支援ハウスで生活することになりました。生活支援ハウスの玄関は自動ドアで,入って右側に個人用の郵便受けボックス,左側は各自の靴箱が並び,腰掛け椅子も置かれています。オープンカウンターにはいつも生活援助員がいます。一人部屋が11室,夫婦部屋が4室,家族交流室1室,洗濯室,風呂場,広い食堂,16畳もの集会室,ヘルパーステーションもあります。廊下には手摺りと腰掛けが多く取り付けられており,天井からは自然光が燦々と入る近代的な居住空間です。

連載 訪問看護ステーションの現場をあるく・13【最終回】

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原点に帰って確かめたかったこと

 エビデンスが,看護を考える指標であるという考え方が主流となっている昨今,私たち二人は,これからの訪問看護を考えるためには,エビデンスだけではなく,現場での実践や現場で起こっていることを中心に考えることがより重要ではないかという思いに駆られました。そこで全国の訪問看護ステーションを巡り,在宅療養者の訪問看護に同行して,現場でなければわからないことをこの目と耳で確かめ心で感じてきました。

 2007年9月からの1年間で,12都道府県の訪問看護ステーション協議会等を訪問し,20か所の訪問看護ステーションを訪ねました。そして25人の在宅療養者のお宅を訪問し,さまざまな療養生活に触れ,また訪問看護の実際を見せていただきました。訪問看護について夜な夜な語り合った訪問看護師は200名をはるかに超え,私たちの講演を聴いてくださった看護師は1200人にもなりました。

連載 ほんとの出会い・34

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 「中国の現代アートは面白いよ」という意外な言葉を耳にして,六本木の国立新美術館に行ってみた。その名も「アバンギャルドチャイナ」。1954年生まれのホアン・ヨンピンの作品,〈『中国絵画史』と『現代絵画簡史』を洗濯機で2分間攪拌した〉は,タイトルどおり,ぐちゃぐちゃになった紙の山を木箱に飾ったもの。中国といえば兵馬傭,唐三彩の壺というようにずっしりとした遺物が思い浮かぶが,現代の中国人アーティストが,広大な国土に繰り広げられた長い歴史の重荷に対峙し覆そうとするエネルギーがひしひしと伝わってくる展覧会だった。

 自分の身体を傷つける様を映し出すビデオアートもあったが,13億という途方もない数の人々を1つの国にまとめあげようとする強大な力に,一人の個人としての存在をアピールするにはあそこまでせざるを得ないのかもしれない,と閉塞感から自傷に走る日本の若者とのつながりや違いなどを感じた。

連載 お母さんといっしょ・1【新連載】

連載 自宅で死んでみませんか・4

老衰 その一 皆川 夏樹
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老衰

 老衰、という言葉は、今日的には非常に難しい言葉になりました。平均寿命がどんどんと伸びて世界最高水準となり、百歳の方もしょっちゅうテレビなどに出て珍しくもなくなり、いったいどのくらいの年齢になれば「老衰」という言葉が納得して受け入れてもらえるのでしょうか。

 また、死因、ということからすると、医学の進歩、診断学の進歩によって、従来は老衰と考えられていた方でも、何らかの診断名がついてしまうことも多くなっています。さらに言えば、病院に入院して亡くなる、ということが当たり前の時代にあっては、何らかの病名が「つけられる」ほうが当然なのかもしれません。

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 11月23日(日),東京ステーションコンファレンス・サピアホールで,在宅療養の場をいかによりよいものにしていくかの趣旨が貫かれた,市民参加の充実したフォーラムが開催された。

 午前の全国在宅療養支援診療所連絡会の活動報告会(函館から鹿児島まで6か所の診療所)にはじまり,午後の在宅医療を推進する10団体による「在宅医療推進のための共同声明」ならびに新加入団体の紹介,厚生労働省老健局長宮島俊彦氏の基調講演「地域包括ケアの実現に向けて」,シンポジウム「がんの在宅医療 病院から在宅へ切れ目のない医療提供体制を構築する」まで,がんの在宅療養をめぐっての報告,意見交換がくり広げられた。

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 本書の大半でアスペルガー症候群の診断を受けた綾屋紗月氏が,自分の体験を1つひとつ丁寧に記述している。そこには,想像以上の不思議な世界があった。自分が何を感じて,何をしたいかという,自分の内側の声を聞くこと,臭いや音や温度といった外界からの情報を処理するプロセスが,細かく,綿密に綴られている。ただ,このようにたくさん書いてあるのに,私にはわからない。その隔たりは,私にとって読み始めには多少の痛みを伴うものであったが,読み終わってからは,くり返し,くり返し開き,読み返したくなるものになっていた。

 その丁寧な記述の1つとして,冒頭には空腹について書かれている。空腹というのは,どのような身体の体験なのか,身体の小さな変化をなぜ自分は空腹と認識するのか,そして,その身体の変化が空腹だと結論づけられたあと,食べるためには外界の情報をどのように分析し,統合しているのかが,書かれている。

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編集後記 富岡 , 伊藤
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●阪神・淡路大震災が起きたのは14年前の1月のことで,1月というと災害対策を考えてしまいます。「マグネットステーション」「実践報告」でもふれられていますが,災害場面を想定した事前のシミュレーションなどが災害時の困難の再認識につながるかもしれません。なお,1号より新連載として横谷氏の漫画「お母さんといっしょ」の掲載が始まりました。「自宅で死んでみませんか」に続いて,右開きでご覧ください。……富岡

●新しい1年が始まりました。介護職の待遇改善をはじめとして,医療福祉の現場の懸案となっていた課題がよい方向に動き出す年になってほしいと願います。特集した精神科訪問看護の取り組みからは,地域に看護や介護専門職の連携があるありがたさが伝わってきます。人との関係が希薄になりがちな世の中,疾患や障害をもたなくても生活していくには困難がつきもので,振り込め詐欺対策ではないですが誰にでも気さくに声をかけてしまう普通のおばちゃんパワーも有効かなと,自分にできることを思いました。……伊藤

基本情報

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訪問看護と介護
14巻1号 (2009年1月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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