特集 精神科訪問看護の実際
精神障害をもつ人々への多職種チームによる訪問型支援―ACT,看護師の役割と課題
伊藤 順一郎
1
,
原子 英樹
2
1国立精神・神経センター精神保健研究所社会復帰相談部
2訪問看護ステーションACT-J
pp.23-27
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101233
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国の精神保健医療福祉施策と訪問看護
2004(平成16)年9月,厚生労働省は「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を明らかにしました。そのなかで示されたことは,「入院医療中心から地域生活中心へ」という,精神保健医療福祉のあり方の変更です。いままで入院医療の対象者と思われていた人々も,これからは地域生活を維持しながら,生活の場で支援ができるようにしていこう,そして,それを可能にするような医療や生活支援などを,地域社会のなかにつくり上げていこう,というのが,このビジョンの指し示す具体的な方向であるといえましょう。
このビジョンを具体化するときに,私たちがもっとも大切だと思うのは,精神疾患を抱えながら地域で暮らす人々に適切に医療的サポートができるプログラムを充実するということです。特に,症状が比較的重く,不安定なために,デイケアや地域の通所型の生活支援施設を活用することが難しい人々へのサポートが,これからはさらに重要になると思われます。ご存知のように,精神疾患では症状のために自宅にひきこもったり,集団の場に出て行くことが困難になったりする場合があります。そのような状況にある人々は,通所型のサービスは活用しづらく,やがて医療中断になり再発・再入院といったリスクが増えかねません。
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