連載 ほんとの出会い・34
五感を開きアートと遊ぶ
岡田 真紀
pp.84
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101247
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「中国の現代アートは面白いよ」という意外な言葉を耳にして,六本木の国立新美術館に行ってみた。その名も「アバンギャルドチャイナ」。1954年生まれのホアン・ヨンピンの作品,〈『中国絵画史』と『現代絵画簡史』を洗濯機で2分間攪拌した〉は,タイトルどおり,ぐちゃぐちゃになった紙の山を木箱に飾ったもの。中国といえば兵馬傭,唐三彩の壺というようにずっしりとした遺物が思い浮かぶが,現代の中国人アーティストが,広大な国土に繰り広げられた長い歴史の重荷に対峙し覆そうとするエネルギーがひしひしと伝わってくる展覧会だった。
自分の身体を傷つける様を映し出すビデオアートもあったが,13億という途方もない数の人々を1つの国にまとめあげようとする強大な力に,一人の個人としての存在をアピールするにはあそこまでせざるを得ないのかもしれない,と閉塞感から自傷に走る日本の若者とのつながりや違いなどを感じた。
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