特集 精神科訪問看護の実際
福祉の街へと変わりつつある「山谷」での訪問看護
貴堂 理恵
1
1NPO法人訪問看護ステーションコスモス
pp.18-22
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101231
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訪問地域の特徴
訪問看護ステーションコスモスは,東京都台東区の,かつて「山谷」と呼ばれていた地域にあります。現在では住居表示制度により地名は変わり,その名は残っていませんが,「山谷」は高度経済成長期には,日雇い労働需要の高まりとともに,日本有数の寄せ場として発展した,大変活気のある街でした。最も多いときで,ドヤと呼ばれる簡易宿泊旅館数は300近くあったといわれています。
現在,簡易宿泊旅館数は170ほどに減少し,歳若く日雇い労働をしながら働いていた人々も高齢化し,病気を抱え仕事ができず,収入が途絶えたがために,生活保護を需給する人が増えてきています。台東区町丁別高齢者人口一覧(2007年1月1日現在)で65歳以上の高齢化率をみると,東京都の平均18.9%に対し,台東区23.5%,そのうち山谷地域の中心は48%以上と,高い数値を示しています。そして現在の「山谷」は,「日雇いの街」から「福祉の街」へと変わりつつあります。
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