LiSA 28巻9号 (2021年9月)

リアル症例カンファレンスin Osaka Zoom

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□リアル症例カンファレンスとは□

LiSAの通常の「症例カンファレンス」は,提示症例に対して各施設が周術期管理計画を練りに練った原稿で示し,相互のやりとりはない。別々の施設で働く麻酔科医が顔を合わせて,提示症例に対して思うところを述べることによって,互いのプランに取り入れられること,足りないことなどがその場で発見できるのではないか。そんな思いの実現の場として「リアル症例カンファレンスin Osaka」は開催されている。

症例カンファレンス

予告編
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次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。自施設にこのような症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えておいてほしい。次回,各施設のPLANをお楽しみに!

徹底分析シリーズ 看護師と協働する周術期管理

巻頭言 内藤 祐介 , 長坂 安子
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昨今の麻酔科医に対するニーズの高まりには目を見張るものがある。以前であれば,麻酔科医の仕事は手術室内で完結することが多かったが,近年は集中治療やペインクリニックに加え,周術期外来,無痛(麻酔)分娩,病棟処置や検査時の鎮静などに麻酔科医が積極的に関与することとなった。

 これら増加する業務に対応するためには,マンパワーの確保が重要であるものの,労働基準法改正により個々人の労働時間が制約されることとなり,短期的には麻酔科医が不足することが予想される。このギャップを安全に埋めるために,日本麻酔科学会をはじめ関連団体では,看護師など多職種によるチーム医療の推進を行っている。2010年頃から多くの看護師資格が創設され,麻酔科医と協働している施設が増加しているものの,市中病院などではいまだに馴染みが薄いのが現状であり,その制度の特性や意義,実施可能な医療行為などについて正確に把握していない麻酔科医も多いと思われる。

 本徹底分析シリーズでは,「看護師とはなにか?」から始まり,周術期に関与し得る複数の看護師資格を比較し解説を試みた。執筆者は第一線で看護師教育を担う医師,日本麻酔科学会周術期管理チーム創設時の委員,現在のワーキンググループ長など,さまざまな立場の方々にお願いし,歴史的背景から現在に至るまでの経緯をキャッチアップしつつ,それぞれの資格の特性について理解が深まるよう構成した。

 本特集により,自身の病院で活用可能な看護師資格が見つかり,きたる労働改革に備えていただくことになれば幸いである。

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はじめに

2018年に『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律』が公布され順次施行されてきている。医師の働き方改革を推進するための各種対策の中で医師の業務に対する他職種によるタスク・シェア/シフトに取り組む施設も多いと考える。このタスク・シェア/シフトに関しては,すでに日本麻酔科学会が2005年に出した『麻酔科医マンパワー不足に対する日本麻酔科学会の提言』1)の中で提唱し,その提言を受けて2007年から「周術期管理チーム」の実現に向けて動き始め,2014年から順次,看護師,薬剤師,臨床工学技士を「周術期管理チーム」の一員として学会が認定してきている。しかし日本麻酔科学会の動きとは別に,2015年に厚生労働省が在宅医療における医師のタスク・シェア/シフトの目的で「特定行為に係る看護師の研修制度」を立ち上げ2),研修を受けた看護師(以下,特定看護師)に対して医師の包括的指示のもとで手順書に従って特定の医行為(後述)を行うことができるという状況を作り出した。その特定行為には麻酔に通じる多くの業務が含まれており,麻酔医療として大きな利点と問題点を有すると考える。

 本稿では看護師との協働の必要性,日本の麻酔科医数の状況,特定看護師が生まれた状況,問題点などを検討する。

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2024年から導入される医師の働き方改革に対応するため,医師の長時間勤務の抑制が課題となっている。その対応方法の一つに医師から他職種への業務移管が挙げられている。業務移管を進めることで医師の業務負担が軽減され,労働時間の抑制が期待される。周術期・麻酔領域においても看護師との協働は不可欠なものになりつつある。

 本稿では,まず麻酔にかかわる看護師の資格について説明する。さらに「医行為」「診療の補助」「指示」について法的側面からお話しする。読者の施設で業務移管を考える際の参考にしていただきたい。

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日本で麻酔にかかわっている看護師の教育背景や関係団体は多様である。しかし,特定行為研修で象徴される術中麻酔維持という業務の側面から言えば,施設による差が多少あるものの,麻酔にかかわる看護師ではほぼ同レベルの麻酔補助業務が行われている。

 高度な大学院教育を受ける看護師には,ジェネラルに診療科全般の教育を受ける診療看護師(NP)や,麻酔に特化した教育背景をもつ周麻酔期看護師が存在する。日本で麻酔診療にかかわる看護師の中で,看護師資格取得後に一定の教育を受けた看護師の概要を表にまとめた。

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医学が前進したことの恩恵により,かなりの重症患者も高度で侵襲的な手術を安全に受けることができるようになった。麻酔科医の仕事が,それまでの「看視」(2019.3日本麻酔科学会「安全な麻酔のためのモニター指針」)から過渡期にある今,世界トップレベルである日本の麻酔の水準を維持し,患者安全という最大の目標に向かって皆が協力していく体制が求められている。

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労働者としての医師と今後の時間外労働時間の制限

医師の業務はほかの業種と比較して特殊性が高いといわれている。すなわち,疾病の発生や患者の状態変化は予見不可能である(不確実性),応召義務がある(公共性),養成には十数年かかる(高度の専門性)などの特徴はほかの業種にはあまりないものであり,単純に労働者として割り切ることができない側面がある。そのため,時として労働者としての側面は置き去りにされ,今日に至るまで長時間労働が常態化し,労働者である医師自身もこれを当然のこととして受け入れてきた面がある。

 一方で法律上は医師も一労働者であることに変わりはなく,労働時間は労働基準法により原則1日8時間,1週間に40時間以内と定められている。ただし労働基準法第36条により,労使間で合意が得られた場合,これを超えて労働してもいいこととなっている(通称サブロク協定)。2019年に労働基準法が改正される以前はサブロク協定さえ結べば事実上,無制限に時間外労働を行うことが可能であった。しかし,2019年に改正労働基準法が施行され,サブロク協定を結んでも1年間の時間外労働時間は青天井ではなくなった。医師に関しては職業の特殊性からその適用が延期されたものの,2024年には一般労働者と同様に同法により時間外労働が厳しく制限されることとなる。

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日本では少子高齢化による人口減少の中で,社会保障費の高騰が2040年頃まで続くと予想されており,この状況の中で医療の質の向上と安全を確保するための対策として,厚生労働省は地域医療構想,医師偏在対策,働き方改革の三つの政策を強く推進している。麻酔科関連の業務もこの大きな波に飲み込まれているが,このマクロな視点をもつ麻酔科医は少ない。2018年から日本専門医機構による新しい専門医制度が始まり,2020年から看護師の特定行為研修における術中麻酔管理領域のパッケージ研修の開始とともに,診療報酬の麻酔管理料(II)の算定要件が変更された。さらには,COVID-19のパンデミックによる医療情勢の変化が加わり,麻酔科医を取り巻く状況は一変した。この変化に対応するためには,自らの専門性にかかわるミクロな視点だけでなく,マクロな視点を併せもつ麻酔科専門医になることをお勧めする。

連載 研修医・初心者のための〜Dr.DのおもしろTEE講座 第12回

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みなさん,こんにちは。TEEしてますか。今回は,大動脈内バルーンポンプintra-aortic balloon pump(IABP)のお話です。

 心臓手術中に,IABPを挿入しなければならない状況に遭遇すると,心臓外科医は「麻酔科の先生,これからIABP入れるから,TEEで確認してください」なんて気軽に依頼してきます。そのようなとき,「えっ,ちょっと待った…どうしたらいいの?!」なんてことになっていませんか。IABPが留置される状況は,多くの場合,血行動態が安定していません。そんな状況でも,涼しい顔で「いつでもどうぞ」と言えるようになりたいものです。今回は,麻酔科医も知っておくべき最低限のIABPの知識とTEEによるIABP留置のガイドについて一緒に見直していきましょう。

連載

THE Editorials
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The New England Journal of Medicine

Article:

Bergwerk M, Gonen T, Lustig Y, et al. Covid-19 breakthrough infections in vaccinated health care workers. N Engl J Med 2021 Jul 28. doi:10.1056/NEJMoa2109072. [Online ahead of print]

■新型コロナワクチン接種の効果

緊急事態宣言が多くの都道府県で繰り返し発出されたり,延長される中,新型コロナウイルス感染症(COV

ID-19)患者の増加が止まらない。一方,2回のコロナワクチン接種を終えた高齢者も増加し,新規感染者に占める高齢者の割合は低下している。ワクチン接種により重症化や死亡リスクも下がっていると考えられる。現在の第5波と言われる状況の中で,すでにワクチン接種を終えた医療関係者の感染も散見されている。国立感染症研究所も,ワクチン接種後にCOVID-19と診断された症例に関する疫学調査を開始している。

こどものことをもっと知ろう 第29回

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麻酔科研修医:昨日の小児科病棟での患者急変は,急性心筋炎でECMO(体外式膜型人工肺)になったんですね。心筋炎なら最初からICU入室じゃないんですか?

麻酔科指導医:そのとおりだけど,腹痛と嘔吐で急性胃腸炎としての入院中に心停止したそうだよ。急性心筋炎は呼吸器症状や消化器症状といった非特異的な症状で発症することが多く1),診断されるまでに2度以上救急外来を受診している症例が約80%との報告もある2)。初診時の診断がしばしば困難なうえに,急速な心原性ショックや致死性不整脈を発症するんだ!

麻酔科研修医:それは怖いですね。心筋炎の診断ポイントを教えてください。

温故知鍼灸〜目に見えない世界を覗く〜

9 腰痛を治そう 原田 明子
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多くの人が経験する腰痛

四足歩行から直立二足歩行へと進化した人間は,上半身を支える腰への負担が大きく,腰痛になりやすいといわれています。日本人の8割以上が生涯において腰痛を経験するとされ,今や男性は30歳以上から,女性は60歳以上から腰痛の自覚症状がそのほかの症状を抜いて第1位を占めるほどの国民病となっています。

 脊椎疾患や内臓疾患(消化器系,泌尿器系,婦人科系など)などの原疾患によって発生する腰痛がある一方で,姿勢の乱れや心因性など,検査にて異常を認めない腰痛は8割を占めるといわれています。

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先々月(2021年7月)号で,あいち小児保健医療総合センター(以下,当センター)で実施している麻酔トレーニングに特化したシミュレーション“アネステージアシム”(以下,アネシム)について概説した。麻酔シミュレーション教育が「日常的なoff-the-jobトレーニング」の一つとして,麻酔科医の生涯教育に組み込まれていく日も近い。しかし,シミュレーション教育は型通りに実施するだけでは効果が不十分な場合があり,学習効果を高めるには学習者に配慮したいくつかの注意点が存在する。

 本稿では,筆者が米国のアネシムを自施設に取り入れる際に考慮した点について述べ,当センターで実際に行っているアネシムの内容を紹介する。

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『Science』『Nature』などの一流雑誌に最先端の研究結果が掲載され,難病への画期的な新薬・治療法の発見が発表されるのは毎週のことである。

「動物モデルで有効性が確認されました」,「新薬の臨床試験が始まりました」,とシンポジストたちが新しい治療法を学会で発表するのは毎年のことである。しかし,実際に臨床現場に新しい治療薬が登場するのは10年に1回すらない。

スポットライトを浴びて夢物語を披露していた人は皆誰も,今はもはや落穂となった夢について黙して語ろうとはしない。

diary

宮城県塩釜市 土村 まどか
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当院は,宮城県のほぼ中央,仙台市と日本三景で知られる松島町との中間に位置する塩釜市にあります。当院の主な医療圏は塩釜市,多賀城市,松島町,七ヶ浜町,利府町の2市3町です。地域医療支援病院,救急指定病院,基幹型臨床研修病院と併せ,災害拠点病院にも指定されており,以前から大規模災害を想定した実動訓練を毎年行ってきました。東日本大震災の際も,直ちに対策本部を立ち上げ,全国の系列病院からの支援も受けながら,医療活動を継続しました。宮城県では今年に入ってから2月,3月,5月と続けて震度5強の地震があり,その都度,対策本部を立ち上げました。夜間休日だったにもかかわらず100名以上の職員が参集し,大規模災害に備えました。

 麻酔科は常勤医3名と応援の医師で担当しています。特徴としては,手術室外(主にカテーテル室)の全身麻酔症例が多いことです。

時短・簡単・驚嘆レシピ 夕ご飯 何にする?

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パンといえば朝食,サンドウィッチといえば軽食,従来のそんな常識には当てはまらないようなインスタ映えのするサンドウィッチをこの頃よく目にします。今回は,ハイキングやピクニックの主役にぴったりなパンキッシュや,お弁当に最適なサラダを紹介します。

お弁当の容器に盛りつけて,自宅でハイキング気分を楽しむのもおすすめです。

新説 浮世鑑

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ほぼ無観客になった東京オリンピックの開幕まであとわずか,という時点でこの文章を書いています。毎日亡くなる方々がいて,多くの国民が不自由な生活を強いられ,飲食業を中心に経済的にも苦しいこんな時に,「お祭りどころじゃないだろう」という感じの世論が,少なくともマスコミの中では形づくられていますけれど,シチュエーションは違っても,この光景には既視感があります。青島都知事当時の世界都市博覧会です。結局は阪神・淡路大震災を理由にキャンセルされましたが,それ以前から「こんなペイしないものやって何になるの?」といった世論を背景に,紆余曲折はあったものの,都市博中止を公約に掲げた青島さんが当選したのですから,すでに結論ありきでした。

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基本情報

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LiSA
28巻9号 (2021年9月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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