徹底分析シリーズ 看護師と協働する周術期管理
麻酔科医にとっての明るく健全な未来とは—医師過剰時代前の大混乱期!あなたもタスクシフトに無関係ではいられない
内藤 祐介
1
,
川口 昌彦
1
Yusuke NAITO
1
,
Masahiko KAWAGUCHI
1
1奈良県立医科大学 麻酔科学教室
pp.908-913
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202075
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労働者としての医師と今後の時間外労働時間の制限
医師の業務はほかの業種と比較して特殊性が高いといわれている。すなわち,疾病の発生や患者の状態変化は予見不可能である(不確実性),応召義務がある(公共性),養成には十数年かかる(高度の専門性)などの特徴はほかの業種にはあまりないものであり,単純に労働者として割り切ることができない側面がある。そのため,時として労働者としての側面は置き去りにされ,今日に至るまで長時間労働が常態化し,労働者である医師自身もこれを当然のこととして受け入れてきた面がある。
一方で法律上は医師も一労働者であることに変わりはなく,労働時間は労働基準法により原則1日8時間,1週間に40時間以内と定められている。ただし労働基準法第36条により,労使間で合意が得られた場合,これを超えて労働してもいいこととなっている(通称サブロク協定)。2019年に労働基準法が改正される以前はサブロク協定さえ結べば事実上,無制限に時間外労働を行うことが可能であった。しかし,2019年に改正労働基準法が施行され,サブロク協定を結んでも1年間の時間外労働時間は青天井ではなくなった。医師に関しては職業の特殊性からその適用が延期されたものの,2024年には一般労働者と同様に同法により時間外労働が厳しく制限されることとなる。
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