徹底分析シリーズ 看護師と協働する周術期管理
巻頭言
内藤 祐介
1
,
長坂 安子
2
1奈良県立医科大学 麻酔科学教室
2東京女子医科大学医学部 麻酔科学講座
pp.885
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202070
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- 文献概要
昨今の麻酔科医に対するニーズの高まりには目を見張るものがある。以前であれば,麻酔科医の仕事は手術室内で完結することが多かったが,近年は集中治療やペインクリニックに加え,周術期外来,無痛(麻酔)分娩,病棟処置や検査時の鎮静などに麻酔科医が積極的に関与することとなった。
これら増加する業務に対応するためには,マンパワーの確保が重要であるものの,労働基準法改正により個々人の労働時間が制約されることとなり,短期的には麻酔科医が不足することが予想される。このギャップを安全に埋めるために,日本麻酔科学会をはじめ関連団体では,看護師など多職種によるチーム医療の推進を行っている。2010年頃から多くの看護師資格が創設され,麻酔科医と協働している施設が増加しているものの,市中病院などではいまだに馴染みが薄いのが現状であり,その制度の特性や意義,実施可能な医療行為などについて正確に把握していない麻酔科医も多いと思われる。
本徹底分析シリーズでは,「看護師とはなにか?」から始まり,周術期に関与し得る複数の看護師資格を比較し解説を試みた。執筆者は第一線で看護師教育を担う医師,日本麻酔科学会周術期管理チーム創設時の委員,現在のワーキンググループ長など,さまざまな立場の方々にお願いし,歴史的背景から現在に至るまでの経緯をキャッチアップしつつ,それぞれの資格の特性について理解が深まるよう構成した。
本特集により,自身の病院で活用可能な看護師資格が見つかり,きたる労働改革に備えていただくことになれば幸いである。
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