徹底分析シリーズ 看護師と協働する周術期管理
日本の麻酔・手術医療をとりまくこれまでのいきさつと現状—今こそ麻酔科医が声を上げるべき時
古家 仁
1,2
Hitoshi FURUYA
1,2
1奈良県立医科大学
2奈良県立医科大学附属病院
pp.886-892
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202071
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はじめに
2018年に『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律』が公布され順次施行されてきている。医師の働き方改革を推進するための各種対策の中で医師の業務に対する他職種によるタスク・シェア/シフトに取り組む施設も多いと考える。このタスク・シェア/シフトに関しては,すでに日本麻酔科学会が2005年に出した『麻酔科医マンパワー不足に対する日本麻酔科学会の提言』1)の中で提唱し,その提言を受けて2007年から「周術期管理チーム」の実現に向けて動き始め,2014年から順次,看護師,薬剤師,臨床工学技士を「周術期管理チーム」の一員として学会が認定してきている。しかし日本麻酔科学会の動きとは別に,2015年に厚生労働省が在宅医療における医師のタスク・シェア/シフトの目的で「特定行為に係る看護師の研修制度」を立ち上げ2),研修を受けた看護師(以下,特定看護師)に対して医師の包括的指示のもとで手順書に従って特定の医行為(後述)を行うことができるという状況を作り出した。その特定行為には麻酔に通じる多くの業務が含まれており,麻酔医療として大きな利点と問題点を有すると考える。
本稿では看護師との協働の必要性,日本の麻酔科医数の状況,特定看護師が生まれた状況,問題点などを検討する。
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