徹底分析シリーズ 術後ケア再考:PACUと麻酔科医の役割
PACU導入事例1:麻酔科医の視点から—小さなことからコツコツと
武田 敏宏
1,2
Toshihiro TAKEDA
1,2
1JA香川県厚生連滝宮総合病院 麻酔科
2香川大学医学部附属病院 麻酔・ペインクリニック科
pp.260-263
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201336
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香川大学医学部附属病院PACU導入にむけて
2016年1月,国立大学附属病院再開発整備を機に,香川大学医学部附属病院(以下,当院)の手術室が10室から12室に増室することが決定した。これによって手術件数の増加が見込まれ,どのようにして周術期管理の質を担保するかが課題であった。そこで,手術室フロア中央スペースに麻酔後ケアユニットpostanesthesia care unit(PACU)を造設し,手術直後の患者を集約して急変リスクの高い時期の管理をすることで,患者安全性の向上および手術室の効率的運用を図る計画を立案した。
この計画を実現させるためには,限られた敷地面積内に手術室数を多く確保するべく「必要でない」フロアや設備を極力省きたいと考えている病院経営陣にPACUの有用性を理解させる必要があった。そのため,安全性のみならず手術室の効率的運用にも寄与することを示さねばならなった。PACUの導入で手術室の回転効率が上るという明確なエビデンスがなかったため,手術患者の入れ換え時間をシミュレーションして提示した。また,術後だけでなく術前患者の処置も行える麻酔準備室“pre”anesthesia care unitの機能を備えたユニット(図1)として計画することで,手術室の回転効率向上が現実的であると病院経営陣を説得でき,新手術室フロア内にPACU(および麻酔準備室)を確保することが認可された。
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