連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・147
心を豊かにしてくれる作家の想像力
柳田 邦男
pp.850-851
発行日 2018年9月10日
Published Date 2018/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201089
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毎日,空の雲を眺めては,≪ぽかぽか浮かぶきょうの積雲は,おとぎ話の世界の雲みたいだ≫などと空想するのと同じくらい,毎日のように絵本を手に取って,物語と絵が示してくれる想像の世界を楽しむのが,私の日常になっている。
特に新刊の絵本については,≪この絵のトーン,いいな≫と感じたり,≪なんとみずみずしい想像力だろう≫と感動したりすると,書棚の一角にある特別扱いの絵本コーナーに並べておく。それらの絵本は何度も読み返し,時にはエッセイや講演で取り上げる。このような“絵本を楽しむ人生”を始めたのは,50代の後半になってからだから,もう20数年もそういう日常を過ごしてきたことになる。ふと思う。人生後半にこのような絵本との出会いがなかったら,その歳月はどれほど潤いのない乾いたものだったろうか—と。
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