看護管理 21巻7号 (2011年7月)

特集 東日本大震災への災害支援

日本看護協会の取り組みと現場からの報告

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今回の東日本大震災を受け,さまざまな団体・施設から医療チームが現地へ派遣され活躍をしている。本特集では,日本看護協会の取り組みを中心に,現在進行形の災害看護の実際から,日本の災害対策のあり方を見つめ直す機会としたい。

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 東日本大震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに,被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

災害対策本部の設置

 日本看護協会は,東日本大地震が発生した3月11日に「東日本大震災災害対策本部(本部長:久常節子)」を設置し,都道府県看護協会,関係団体,県,国との連絡調整を図りつつ支援活動を行なってきた。また,同時に「災害時支援ネットワークシステム」(図1)を稼働させた。このたびの地震はかつてない規模であり,被害が広域に及んでいることから全国規模での災害支援ナースの派遣を決定し,21日から支援を開始した。

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地震発生時のこと,そして災害医療との関わり

石井 地震発生当時は,東京の清瀬にある日本看護協会看護研修学校で,認定看護師向けの実習指導者の研修を行なっていました。研修生のなかには福島や宇都宮から来ている人もいて,彼女たちを被災地に戻さなければいけないわけで,いろいろなネットワークを使って,彼女たちを地元まで運んでくれる手段を探しました。

 災害医療に関しては,1995(平成7)年の阪神・淡路大震災以降に,当時勤めていた北里大学病院で災害医療の研修に行かないかという話があって,1か月間,米国のいろいろなところで災害医療の研修を受け,その後,神奈川県のトリアージの研修だとか,神奈川県災害医療拠点病院連絡協議会の委員を務めました。今は顧問という立場です。

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 死者・行方不明者2万4000人を超える未曾有の被害を及ぼした東日本大震災から2か月。この間,全国の看護師は,医師や薬剤師など他の医療者,行政担当者,市民ボランティアらとともに,災害地で被災者の支援活動を展開してきた。現地で活動した看護師は何を見,何を体験したのか。4月下旬の石巻市での現地活動レポートとともに,被災地で求められる活動や看護のあり方を考える。

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 3月11日,国内観測史上最大のマグニチュード9.0を記録した東日本大震災が発生し,地震のみならず,津波被害に原発事故も重なり,東北地方太平洋沿岸部を中心に想像を絶する被害をもたらしました。被災された皆様方に,心よりお見舞いを申し上げるとともに,一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。また,現地において被災者救助や災害対策に尽力されておられる方々に敬意を表します。

連載 看護×デザイン 医療の質を向上させるコラボレーション・7

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医療安全は,全医療者が医療の前提として取り組んでいる課題である。インシデント,アクシデントには,人的なもの機器的なものなどさまざまな要因があるが,今回はテルモ株式会社の松村啓史氏,徳本真虎氏,近藤靖志氏に,医療機器メーカーの視点から医療安全,そしてそれを実現するためのデザインの工夫についてお話をうかがった。

連載 実践交渉力講座 渡辺ゼミ基礎編・7

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やり方次第でどんな相手にも気持ちよくYESと言わせることができたらすばらしいのに……。

そう思ったことはありませんか?

チームで仕事をしていくこれからの時代に,「交渉力」は看護師に欠かせない能力です。

『実践交渉力講座 渡辺ゼミ』では,交渉のエキスパートから,実践現場で活用可能な本物の交渉力を一から学んでいきます。

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過去最大のナース部隊が被災地へ

 日本看護協会は,東日本大震災の被災地に938人の災害支援ナースを派遣した(5月17日現在)。訪問ボランティアナースの会キャンナスが275人。DMAT(災害派遣医療チーム),JMAT(日本医師会災害医療チーム)や大手病院グループなどから被災地に赴いて活動した看護師は,過去最大の人数に達するだろう。1995(平成7)年1月17日に起きた阪神・淡路大震災がきっかけで,日本の医療界の災害医療と危機管理マインドが一気に高まった。今回は動員人数だけでなく,期待されたミッションを果たせたかどうか,その力量を問われることになったのである。

 「阪神・淡路」の明くる1996(平成8)年5月,「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する研究会」は「阪神・淡路」の反省に立って,災害医療情報システムの確立など緊急に整備すべき9項目を提言した(表)。この緊急提言が出てから新潟県中越沖地震(2007年),岩手・内陸地震(2008年)とたて続けに大地震が起きた。果たして,緊急課題は達成され,今回の大地震の備えになっていたのだろうか? 今わかっていることは,想定外の事態が数多く起こったということである。

連載 患者の目線 医療“関係者”が患者・家族になって・4

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 〈患者・家族としての本音〉と〈医療者のおかれている諸事情〉の両側面が分かる医療“関係者”から,率直な言葉を聴くシリーズ。医療・福祉行政関係者のご夫婦です。前回は,肺がん告知のショックを乗り越えて入院まで。今回は,入院治療から一時退院してきました。患者と医療者が“生活の言葉”で率直に話し合うきっかけになることを祈りつつ……。

連載 つらつらNPノート・4

私の東日本大震災 鈴木 美穂
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 3月11日地震発生時,私は千葉の海浜幕張にいた。足元の亀裂から泥水が湧きあふれてくる液状化現象の小さな恐怖を体験し,川崎の自宅まで歩いて帰ろうとしたが結局帰宅難民となり,船橋の避難所で一泊した。避難所のテレビでは津波のことも原発のことも報じていたが,とにかくそのときは自分のことで精いっぱいで,家に帰ることしか頭になく,首都圏の交通情報以外は頭の中を素通りしていった。

 翌日昼,まばら運転の電車を乗り継いで何とか家にたどり着くと,やっとテレビから流れている情報を現実のものとして感じられる余裕がでた。メールをチェックするとニューヨークの友人・知人から安否を気遣うメールがたくさん届いていた。アメリカにいる日本人看護師の友人が医療ボランティアで帰国する決意をしたというメールもあった。果たして自分も有給を延長して東北に行くべきか考えたが,自分がそうすることで与えるニューヨークの職場への迷惑や,1995年の震災で神戸にボランティアで行ったときに「本当に必要なところに手を届かせるのは難しい。無駄だったとは思わないけど,上下水道が止まっているところで新聞紙の中に残してきた排泄物の量に見合ったことができたかわからない」と当時感想を残していたと母に説かれ,3月15日ニューヨークに戻った。

連載 看護と医療政策を考えるヒント・27

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 今回は,被災者遺族対応を行なった看護師へのヒアリングを踏まえ,グリーフケアについて考えてみます。人にとって死別は,人生最大のストレスです。深い悲しみが起因となり,肉体的にさまざまな不調をもたらし,思いもしない病気や死に進展してしまうこともあります。肉体的症状は,重なって発生したり頻繁することも多く,何年かあとに再発することもあります。

 グリーフケアに診療報酬上の保険点数はありませんが,患者や家族との密着度がいちばん高い看護師にとって,遺族へのケアは看護の基盤を形成する大切なことです。

連載 やじうま宮子の看護管理な日々・64

震災後の看護 宮子 あずさ
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働き方を見直す人が増えている?

 4月後半から,複数の週刊誌などに,気になる指摘をみつけました。女性の結婚志向,専業主婦志向が強まっているというのです。根拠は,結婚指輪の売り上げと,保育所のキャンセルの増加。正式な調査というより,風評のレベルなのですが,私自身,なんとなくあり得ることかな,と思うフシがあります。

 何しろ余震が続くうえに,暗いニュースが流れ続ける今の状況。どうしても1人暮らしは不安になるでしょう。私だって,たまたま1人でいるときに余震がくると,すごく不安ですから。相手がいれば,結婚に気持ちがなびく1人暮らしの人の気持ちは,まったくもって理解可能です。

連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・66

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 若い公文みどりさんが,2作目となる絵本をつくった。公文さんの2009年の処女作『おくりもの』については,本誌のこの欄(vol.19 no.12)で紹介したことがあるので(そのエッセイは小著『雨の降る日は考える日にしよう』〔平凡社〕に収録してある),記憶されている読者もおられるだろう。

 少女時代にごはんも大好きなリンゴも食べられなくなって,身体はやせ細り,いのちさえ危くなった,みどりさん自身の経験だった。そんな病気のなかで,みどりさんの心を支えてくれたのは,部屋の片隅の籠のなかに飼っていたモルモットのみけちゃんだった。あるとき,みどりさんはお母さんに抱きつき,全身で泣いた。泣いて泣いて,泣き疲れて眠ってしまうまで泣いた。そのときも,みけちゃんは籠のなかでじっと見守っていてくれた。

連載 看護師長のためのわかりやすい病院経営基礎講座・3

病院の財務諸表 大鶴 知之
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1 国立病院機構の経営管理について

 これまでの講座で,各事業者は,経営状況を把握するために,管理会計を用いた分析を行なっていることがわかりました。今回は,独立行政法人国立病院機構(以下,機構)で,どのように経営管理を行なっているかを紹介します。

 機構の経営管理の基本は,各病院における月次決算と評価会です。機構は,法人全体の財務諸表の作成とともに,病院ごとに区分経理をしています。これは,毎年度,病院ごとに財務諸表を作成・公表して,経営状況を明らかにするとともに,各病院の経営に関する意識の向上を図ろうとするものです。そのため,各病院が速やかに経営状況を把握・分析し,必要に応じて対策を行なうことを目的として,毎月,月次決算と評価会を実施しています。

連載 グループ・ダイナミックスへの招待 本当に病棟を変えたい人のために・2

意味と集団 杉万 俊夫
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 「あなたは,自分の頭で考えて動いているのではない。あなたが身を置いている集団(の性質)によって操られているのだ」。前回は,こんな衝撃的なセリフで本連載をスタートしました。今回は,なぜ,そんな突拍子もないことがいえるのか,その理由を説明します。

 このページの左段の図(図1)をみてください(右段の図2は,まだみないように)。本棚が2つ並んでいます。どうぞ,紙面に穴が開くくらい凝視してください。

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 東京都では看護師の再就職に向けてさまざまな支援を行なっている。しかし,潜在看護師やマンパワー動態が把握しきれていないため著しい成果はあがっていない。本稿では,米国での実態を通し,看護職員数と看護の質を保つ手段として看護師免許更新制度について考える。

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 20代看護師2名の過労死事件を受け,2008(平成20)年末に「時間外勤務,夜勤・交代制勤務等緊急調査」を行なった日本看護協会は,月60時間を超える時間外勤務に従事する交代制勤務の看護職員が全国で2万人と推計し,23人に1人が過労死危険レベルにあると警鐘を鳴らしました。

 改善の努力がはかられているにもかかわらず,超過勤務・長時間労働はなかなか改善しません。本稿では,日本医療労働組合連合会(以下,日本医労連)の調査結果から労働の実態を示し,社会保障の充実による働き続けられる環境の整備を提案します。

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 病院建築において,ビジョンを実現するために何をどのように進めていくかは大きな命題である。大森赤十字病院(以下,当院)全面改築は,建築用地の確保,新病院建設,旧病院解体という大事業である。加えて当院は外来・入院診療を継続しながら事業を進める方針である。

 病院改築事業は担当者のみで進められるものではない。職員参加型の病院づくりをめざすことが,新病院の発展的な運営を円滑に進めることにつながる。

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 2012(平成24)年は診療報酬改定と介護報酬改定の同時改定が行なわれる予定で,介護保険制度の全面的な見直しや医療提供体制のあり方の検討も進められていることもあり,大幅な改定が見込まれている。このため,国の関係する審議会で同時改定に影響する多様な課題が取り上げられ,その他の医療関係者,介護・福祉関係者などもさまざまな場での議論を広範に展開している。そのうえ,国の社会保障制度改革や,財政改革などが改定の大枠設定に強い影響を与えることを考えると,医療・介護現場の関係者が同時改定を前に,何をどう準備して対応したらよいか混乱しかねない。

 本稿では,診療報酬と介護報酬の改定が,どのような要素・要因をもとに,どのようなプロセスで進められていくのか,体系的に整理し,改定議論への視点の提供を試みたい。

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はじめに

 超高齢化社会を迎え,認知症ケアは誰もが真剣に取り組まなければならない状況になっている。医療においては,認知症病棟が認知症ケアの中心的な役割を担う。しかし,医療のどの場面でも高齢患者の増加がみられ,認知症ケア抜きで医療を行なうことはできないのが現実である。

 今回,医療法人社団藤和会厚木佐藤病院(以下,当院)では,認知症病棟において,業務改善とケアの充実を図る目的で,セカンドキャリア傾聴ナースの取り組みを実践した。その結果,同職者協働の有効性を確認し,認知症ケアの改善を図ることができたので報告する。

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個別性の高い看護を実現するために

被災地で活きる「国際看護」の考え方

 皆さんは「国際看護」という言葉から何を思い浮かべるだろうか? 国際看護=青年海外協力隊,とか,英語がペラペラ,と思ってはいないだろうか? 実は私がそうだった。「英会話できないし,この年齢(!?)になって海外で看護活動はしないから,関係ない」と思っていた。

 著者の近藤麻理先生との出会いは,2010(平成22)年の“アメリカの病院における看護管理と継続教育”研修がきっかけだった。海外での看護経験を熱く語る近藤先生の話はおもしろかったが,そのときはやはり,自分とは無縁のことと思っていた。本書を手にして「ふーん,国際看護って文化や考え方,生活習慣の違いを理解することから始まるのね」とパラパラと読み終わったころ,東日本大震災が起きた。

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次号予告・編集後記 西窪 金子

基本情報

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看護管理
21巻7号 (2011年7月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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