連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・66
いつも そばにいてくれる存在
柳田 邦男
pp.600-601
発行日 2011年7月10日
Published Date 2011/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102110
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若い公文みどりさんが,2作目となる絵本をつくった。公文さんの2009年の処女作『おくりもの』については,本誌のこの欄(vol.19 no.12)で紹介したことがあるので(そのエッセイは小著『雨の降る日は考える日にしよう』〔平凡社〕に収録してある),記憶されている読者もおられるだろう。
少女時代にごはんも大好きなリンゴも食べられなくなって,身体はやせ細り,いのちさえ危くなった,みどりさん自身の経験だった。そんな病気のなかで,みどりさんの心を支えてくれたのは,部屋の片隅の籠のなかに飼っていたモルモットのみけちゃんだった。あるとき,みどりさんはお母さんに抱きつき,全身で泣いた。泣いて泣いて,泣き疲れて眠ってしまうまで泣いた。そのときも,みけちゃんは籠のなかでじっと見守っていてくれた。
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