連載 公論・私論・7
マスコミが伝えない災害医療の課題―「阪神・淡路」の教訓は「東日本」で活きたか
尾﨑 雄
1
1老・病・死を考える会
pp.592-593
発行日 2011年7月10日
Published Date 2011/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102105
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過去最大のナース部隊が被災地へ
日本看護協会は,東日本大震災の被災地に938人の災害支援ナースを派遣した(5月17日現在)。訪問ボランティアナースの会キャンナスが275人。DMAT(災害派遣医療チーム),JMAT(日本医師会災害医療チーム)や大手病院グループなどから被災地に赴いて活動した看護師は,過去最大の人数に達するだろう。1995(平成7)年1月17日に起きた阪神・淡路大震災がきっかけで,日本の医療界の災害医療と危機管理マインドが一気に高まった。今回は動員人数だけでなく,期待されたミッションを果たせたかどうか,その力量を問われることになったのである。
「阪神・淡路」の明くる1996(平成8)年5月,「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する研究会」は「阪神・淡路」の反省に立って,災害医療情報システムの確立など緊急に整備すべき9項目を提言した(表)。この緊急提言が出てから新潟県中越沖地震(2007年),岩手・内陸地震(2008年)とたて続けに大地震が起きた。果たして,緊急課題は達成され,今回の大地震の備えになっていたのだろうか? 今わかっていることは,想定外の事態が数多く起こったということである。
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