理学療法ジャーナル 49巻4号 (2015年4月)

特集 世界の理学療法—激動のAsia Western Pacific地区の現状と今後

EOI(essences of the issue)
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 2015年5月,アジアで2度目の世界理学療法連盟学会がシンガポールで開催される.今後,アジアは,グローバリゼーションの名のもとで,物品・人・サービス・資本・情報の移動の自由度が向上し,大きく変化していくことが予想されている.今すぐに,日本および日本人理学療法士が,外国で働く機会が増えることはないと思われるが,国際化が進むなか,周辺諸国を知ることで自らを見直すこともできるし,周辺諸国の発展から学ぶところも多いと思われる.

 本特集では,日本が所属するAsia Western Pacific地区に注目し,現状を理解するとともに今後について展望し,日本の理学療法のさらなる発展および進むべき岐路の参考になるような内容にしたい.

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夢は大きく

 第17回世界理学療法連盟(World Confederation for Physical Therapy:WCPT)学会のホストというシンガポールにとって待望の,そしてほぼ不可能であった夢が,今年2015年,叶おうとしています.シンガポールは小さく,理学療法の歴史は比較的浅いですが,世界的に有名なWCPT学会がシンガポールで行われることを大変誇りに思っています.また,学会のオープニングスピーカーが,アジア西太平洋(Asia Western Pacific Region:AWP)地区出身でシンガポール理学療法士協会(Singapore Physiotherapy Association:SPA)をサポートし続けてきたGoh Ah Cheng准教授(信州大学,シンガポール出身)になったことも誇りに思っています.Goh先生は皆から尊敬されている理学療法士であり,長年にわたってシンガポールと日本の両方で働いてきました.オープニングレクチャーでは,アジアの理学療法について講演される予定で,今から大変楽しみにしています.

 世界中から多くの理学療法士が,数多くの研究発表,高標準のプレゼンテーションを行い,世界中の理学療法士とネットワークを構築し,さらに専門家として最先端の話を聞くために,WCPT学会に参加します.来るWCPT学会は,2,500以上の口述およびポスター発表が予定されています.このほかに,パネルディスカッション,ディベート,シンポジウムなどにおいて,われわれが抱える問題への解決策について議論する機会が設けられています.

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アジアの特色

 アジアはユーラシア大陸の欧州以外の地域で,その8割の面積を占め,世界人口の6割が住む.国際連合は,日本・中国などの東アジア,タイ・マレーシアなどの東南アジア,ロシアの一部・モンゴルなどの北アジア,インド・パキスタンなどの南アジア,カザフスタン・キルギスなどの中央アジア,中近東諸国などの西アジアに分けるが,これらは厳密な呼称ではない.東アジアは温暖な気候と河川に恵まれ,豊かな米作地帯であり,住める土地が広く,豊富な海洋資源から人口規模も大きい.19世紀からの工業化と活発な貿易で,現在の国内総生産(Gross Domestic Product:GDP)は欧州連合(European Union:EU)や米国と同レベルである.東南アジアは中国とインド間の地域で,大陸部と島嶼部に分かれる.農業が発達し,19世紀には欧米列強の進出によりさまざまな支配体制がつくられた.1967年に東南アジア諸国連合(Association of South-East Asian Nations:ASEAN)が設立され,現在では10か国が参加し域内人口が6億人とEUを抜き,経済統合をめざしている.本稿では,特に日本と関係の深い東アジアと東南アジアを中心にまとめる.

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はじめに

 タイの総人口は約6,495万人1),2012年の世界保健機関(World Health Organization:WHO)の報告によると,平均寿命は男性71歳,女性79歳であり2),これから進行する高齢化に対する対策が早急の課題である.開発途上国のイメージが強いタイだが,2004年に「メディカルハブ構想」を掲げ,医療観光(メディカルツーリズム)を推進するようになってから,外国人富裕層を顧客とし,高度な医療設備を完備した病院が,質の高い医療サービスを提供している.一方で,依然,地域間格差,所得間格差が大きく,理学療法士数の少なさからも,一部の私立病院を除いて適切なリハビリテーションを受けられない場合も多い.本稿では,タイの高齢化,医療観光,医療・年金制度,医療格差,理学療法学教育,これからの課題と可能性についてまとめる.

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オーストラリアの理学療法(physiotherapy)の歴史

 オーストラリアの理学療法の歴史は古く,始まりは1906年まで遡る.当初はphysiotherapist(以下,理学療法士)としてではなく,マッサージセラピストとしての活動であったが,第一次世界大戦中に兵士の治療やリハビリテーションを担当することなどにより徐々に活動の幅,知名度を広げていき,第二次世界大戦中には理学療法士として,ポリオの治療をはじめ医療界において替えのきかない職種として認知されるようになっていった1)

 現在では,オーストラリアの理学療法士は欧米諸国のような理学療法の先進国と同様に開業権を有し,診断,治療,そして予防と,幅広い活動を行っている1).2014年11月現在,オーストラリアは理学療法界のなかで,特に筋骨格系の理学療法において世界で最も進んだ国の一つとしてみなされている.

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はじめに

 ニュージーランドは南半球,オセアニア地区に位置する島国であり,2つの主要な島(北島,南島)をはじめとする大小さまざまな島々からなる.その面積は約27万km2であり1),日本よりもやや小さい程度であるが(日本:約37万km2),人口は約420万人と2),日本の約1億2,000万人よりもはるかに少ない.主要産業は羊などの畜産を中心とした農業であり,ラグビー強豪国として知られている.先住民族はポリネシア系のマオリ族であるが,人口の多くは英国をはじめとするヨーロッパ系民族であり,公用語は英語およびマオリ語である.英国連邦加盟国の一つであり,その文化および制度には英国と共通するものも多くみられる.

 ニュージーランドにおける理学療法の歴史は長く,理学療法先進国の一つと言える.1913年よりマッサージ師としてその教育が始まり,1920年に初めてその資格制度が法によって定められた3).その後,1949年より理学療法士として認められるようになり,現在までに約100年もの歴史をもつ.そのため,ニュージーランド社会における理学療法士の認知度は非常に高く,その活動範囲も広い.特に,理学療法士が自律性(開業権)を有しているのが一つの特徴である.2013年時点で登録されている理学療法士数は4,274名であり4),日本の理学療法士数,約10万人と比べると非常に少ないが,人口比ではほぼ同程度である(理学療法士1人/約1,000人).世界的に著名なニュージーランド出身の理学療法士として,Robyn McKenzieやBrian Mulligan,Stanley Parisなどが挙げられ,整形外科理学療法,特に徒手療法が発展している.

 そのような長い理学療法の歴史をもつニュージーランドであるが,日本社会同様に少子高齢化が進み,疾病構造が変化するにつれて理学療法士に求められる役割が少しずつ変わろうとしている.本稿では,まずニュージーランドの医療制度および理学療法の現状と今後の変化の見通しを解説し,日本人理学療法士の活動の展望について述べる.

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高橋 Tan先生,内山先生,本日はお集まりいただきありがとうございます.まず,Tan先生.この度シンガポール理学療法士協会の会長に再選されたと伺いました.おめでとうございます.今回は,2015年にシンガポールで行われる世界理学療法連盟(World Confederation for Physical Therapy:WCPT)Congress 2015 Singaporeの広報のために,第49回日本理学療法学術大会の開催に合わせて来日されたと伺っていますが,日本の学会の印象はいかがでしたか?

Tan とてもよくオーガナイズされていて感銘を受けました.どこにいてもどこに行けばよいかよくわかるし,何よりも非常に多くの人が参加されていることに大変驚きました.このように多くの理学療法士が学会に参加しているのを見るのはWCPT学会のときだけですし,すばらしいと思いました.情報を一度に多くの会員に共有したり,教えたり学んだりするための機会があってうらやましいです.

とびら

私を駆り立てるもの 佐藤 房郎
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 私が就職して初めて担当した患者は,成人の痙直型脳性麻痺(対麻痺)の男性でした.何を評価したか覚えていませんが,先輩理学療法士の治療をまねて,股関節外転位でストレッチングしていたときのことでした.「こうしてもらうと楽になるんだよ!」,不安が一気に薄れ,救われた気持ちになったのを覚えています.同じく1年目に脊髄損傷の男性を担当したとき,チームスタッフは皆ベテランでしたが,ソーシャルワーカーから私にだけクレームがないことを知らされました.先輩からアドバイスをもらいながら必死に患者に向き合って考えていたことがよかったのでしょうか.

 一方,5〜6年経験を積み自信が出てきたころのことでした.実習生と運動発達遅滞の小児を担当し,母親に症状の説明や療育指導を行っていたつもりでした.実習生が実習を終え,複数の患者を調整しながら診療していたときでした.母親が「先に来て待っているのになぜ後に来た患者を先に診るのか,実習生はいつもそばにいてこの子のために対応してくれたのに」と訴えられました.自分の配慮のなさと実習生より劣る対応と言われ,それ以来トラウマになっていました.その母親の思いを素直に受け入ることができたのは,自分が父親になってからです.

新人理学療法士へのメッセージ

諦めの悪い教育者に 奥埜 博之
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 新人理学療法士の皆さん,国家試験合格本当におめでとうございます.ようやくスタートラインに立てた喜びと期待,少しの不安を抱えながらも高揚した気持ちで現場に立った日のことを,私も昨日のことのように思い出します.

 月並みな表現ですが,私は理学療法士になって約14年,本当にあっという間だったという印象です.その間,苦しいことや悔しくて歯を食いしばったことがたくさんありました.もちろん,患者さんと回復した喜びを分かち合うなど嬉しいこともたくさんありました.しかし,臨床現場ではもっと回復したいという患者さんのニーズに的確に応えることができないことも多く,圧倒的に悔しいことのほうが多いというのが私の主観的な経験です.たまに「臨床は毎日が楽しいよ!」というようなことも耳にしますが,個人的にはあまり共感できません.日々の臨床現場では人一倍明るく笑顔で仕事をしていますが,振り返ればもっとこうすればよかったと後悔することのほうが多くあります.プロとして真摯に仕事に向き合うということは,そのような苦悩と向き合う道を選ぶということだと思います.

甃のうへ・第24回

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 私は現在,認知症対応型のグループホーム・小規模デイサービス・小規模多機能型居宅介護・放課後デイサービスを運営しています.起業して10年が過ぎました.

 理学療法士になって36年,病院勤務約17年間,子育てとの両立で良い母ができず,自己嫌悪になることもありましたが,理学療法士の仕事が好きで辞められません.子供に手がかからなくなると,今度は義父と義母の介護が待っていました.自宅近隣の介護施設に転職し,約7年パートで働きながら,2人を在宅で看取りました.

1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?

介護ロボット 田上 未来
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 ロボットとは,「センサ,知能・制御系,および駆動系」の3つの要素技術を備え,知能化された機械システムのことである1).介護ロボットとは,一般的には介護を要する人の身体機能や生活を支援する,介護者の作業を支援する機器などを指していると考えられる.蜂須賀は,リハビリテーション医療・福祉で用いられるロボットを,① 障害者の生活上の動作を補助あるいは代行する自立支援ロボット,② 介護者の作業を補助あるいは代行する介護支援ロボット,③ 理学療法士や作業療法士の練習を補助あるいは代行する練習支援ロボット,④ 障害者の就労を補助あるいは代行する就労支援ロボット,⑤ そのほかの便宜上5つに分類している2).ここでは,理学療法士が関わることが多いと思われる歩行に関する介護ロボットを中心に説明する.

1ページ講座 日本理学療法士学会・分科学会の紹介

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●設立の趣旨

 本学会の設立の目的は,呼吸理学療法にかかわる臨床と研究,教育活動を推進し,呼吸理学療法の普及・発展を図ることで,国民の健康の維持・向上に寄与することである.呼吸機能は急性期や慢性期のあらゆる疾患で重要視され,呼吸理学療法は非常に幅広い分野を対象とし,呼吸障害の予防や治療,呼吸管理のために適応されている.近年注目されている地域包括ケアシステムの構築においても,呼吸理学療法が医療と介護の連携のなかで,予防,急性期・回復期・慢性期の医療,生活活動の支援などを通じて一体的に展開される必要がある.

入門講座 脳画像のみかた・3

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はじめに

 理学療法士が臨床で脳画像をみる機会は増えてきているようであるが,その多くは水平断を中心に活用されている.水平断の画像も馴染めば立体的に判読できるようになるが,前額断や矢状断の画像を活用することによって三次元に近いイメージをもって脳をみることができる.また部位によっては,前額断で確認したほうがわかりやすい場合もある.

 この入門講座では,まず前額断や矢状断の各スライスに含まれる解剖学的事実を紹介したうえで,実際の症例を通して前額断と矢状断の画像のみかたを解説する.

講座 認知症Update・3

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「認知症のリハビリテーション」とは

 「認知症のリハビリテーション」と聞きすぐに連想されるのは「脳の活性化」という言葉です.その「脳の活性化」のためによいとされ実際に行われているのは,回想法と呼ばれるものであったり,音楽療法と呼ばれるものであったりします.また,ロールプレイングなどというPCゲームのような名前のプログラムまであったりします.

 しかし,その一方で,「俺たちの仕事は,遊ばせて何ぼ,笑わせて何ぼの世界だから…」と半ば自虐的な発言も現場のリハビリテーションスタッフからは聞かれることもあります.これでは,「『認知症のリハビリテーション』なんて本当に役に立つのか」という疑問や否定的な考えが起こっても仕方がないような気がします.

臨床実習サブノート 臨床実習における私の工夫・12

学生へのメッセージ 福井 勉
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はじめに

 臨床実習が終了して大学に帰ってくる学生に会うと,実習に行く前と比較して数段成長していることを実感します.そのなかでも特に対人能力やメタ認知の向上を強く感じます.さまざまな環境でそれぞれ異なる実習を行うにもかかわらず,このようなことが生じることは不思議でもあります.近い将来自分が実際に仕事として行うことを体験することで強くイメージされ,漠然としていた将来像がうっすらと見えてくるのでしょう.多くの学生が実習指導者に影響を受け,なかには一生のモデルとなるケースもあります.教育機関が違っても,臨床実習に関しては指導者も同じ道を通過したことで共感を生むことも多いと思います.

 さて,昔も今も変わらないのは,学生は臨床実習をさせていただいている立場であることです.そのようななかで,臨床実習において学生の陥りやすいことを挙げ,そのなかから臨床実習における心構えを中心に,「学生へのメッセージ」を述べさせていただきます.

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要旨:〔研究の目的〕パーキンソン病患者に,矛盾性運動を利用した反復ステップ運動を実施し姿勢反射障害,すくみ足への効果をクロスオーバーデザインで検証した.〔方法〕対象は姿勢反射障害,すくみ足を呈するパーキンソン病患者19名である.対象を,先行群(1期:通常のリハビリテーション+反復ステップ運動,2期:通常のリハビリテーション)と後行群(1期:通常のリハビリテーション,2期:通常のリハビリテーション+反復ステップ運動)に振り分け実施した.評価は介入前,1期目終了時(2週間後),2期目終了時(4週間後)にPull-Test時の後方ステップ数,すくみ足,Timed Up and Go Test(TUGT),1回転,片脚立位を測定した.〔結果〕反復ステップ運動を加えることで,姿勢反射障害,すくみ足,TUGT,右1回転が有意に改善した.〔結論〕反復ステップ運動を通常リハビリテーションに加えることは,二次障害予防の観点からも臨床的に有用であることが示唆された.

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リハ栄養フォーラム2015

 昨今,リハビリテーションにおける栄養管理の重要性がますます高くなっています.障害者や高齢者の方々の社会活動を支え,QOLを向上させるためにも栄養ケアは欠かせません.本フォーラムでは,リハ栄養の最前線で活躍される先生方を講師にお招きし,臨床で実践できるリハ栄養の知識を学ぶ機会を提供します.

日時・会場・定員:

・2015年5月23日(土)12:30〜16:30金沢:北國新聞会館(定員180名)

・2015年5月24日(日)12:00〜16:00大阪:毎日新聞大阪本社ビル(定員320名)

・2015年7月4日(土)12:30〜16:30山形:山形国際交流プラザ(定員350名)

・2015年8月1日(土)12:30〜16:30博多:エルガーラホール(定員500名)

・2015年8月8日(土)12:30〜16:30東京:あいおいニッセイ同和損保新宿ホール(定員360名)

・2015年8月22日(土)12:30〜16:30岡山:岡山コンベンションセンター(定員360名)

・2015年8月29日(土)10:30〜17:00名古屋:ウインクあいち大ホール(定員500名)

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 脳損傷者の神経系の可塑的変化に関する知見はここ約20年で飛躍的に進歩し,理学療法や作業療法の臨床で用いることのできる介入手段の選択肢は大幅に増加した.特に脳損傷者自身の行動経験が脳の可塑性を調整できる可能性があり,運動経験の質と量に基づいて,脳は適切にも不適切にも適応する.そのため,環境や課題に適した適応を促すために,運動学習理論の応用や課題指向的・特異的トレーニングが積極的に導入されている.理学療法士や作業療法士が介入手段をより柔軟に展開するためには,これらの臨床介入の根拠となる多くの基礎研究や臨床研究の成果を理解することが必要である.しかし,研究デザインや統計学的手法などの専門知識や言語の問題などのため,研究論文を読んで理解することはハードルが高いのが実情である.そのような背景から,本書のような解説書の出版が待ち望まれていた.

 著者は脳神経外科病院で臨床に勤務する理学療法士である.学生時代から生理学研究室で学習,研究を進め,病院勤務後も科学技術振興機構の創造的研究推進事業へ参加するなど,脳卒中後の運動機能回復に関する豊富な研究経験を有している.そのため,論文に用いられている測定手法等にも直接精通しており,結果の解釈も適切である.一方,臨床家であることから,内容が臨床的であり,心理社会的機能を含めた脳卒中者の特性も考慮されている.

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 このたび,鈴木重行先生編集の『ID触診術 第2版』が上梓された.いうまでもなくIDとはindividualの略称であるが,本書では「個別の骨格筋」という意味合いで用いられている.理学療法士や作業療法士を中心としたリハビリテーション専門職ならびにスポーツトレーナーなどにとっては,個々の骨格筋の触察は筋緊張異常や筋性拘縮などといった骨格筋病変の把握,あるいは痛みの発生源やその原因の探索などを進めるうえで必須の評価技術であり,本書の初版はその意味でバイブル的な役割を担ってきたと思っている.

 そして,今回の改訂では初版の読者からのリクエストに応えるようさらに改良・工夫が施されており,学生や新卒者といった初学者にとっても活用しやすいものになっている.特に,骨格筋の触察の基本事項が整理され,骨学の講義・演習にも利用できるほどのボリュームをもって骨格筋の触察の際のポイントとなる骨のランドマークについて解説されている.

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次号予告

文献抄録

編集後記 高橋 哲也
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 皆様に第49巻4号をお届けします.この号が皆様のお手元に届くころには,来月に控えた第17回世界理学療法連盟(WCPT)学会の準備が佳境に入っている方も少なくないのではないでしょうか? シンガポールで行われる今回のWCPT学会は,1999年に横浜で行われた第13回学会(奈良勲大会長)以来,アジアでは2回目の開催です.ゴールデンウィーク中というお財布には優しくない期間ですが,同じアジアの国での開催ですので,グローバル化する世界を直に感じ将来を展望する意味でも,可能な限り参加してみてはいかがでしょうか.

 さて,本号の特集は「世界の理学療法—激動のAsia Western Pacific地区の現状と今後」としました.まず,今回のWCPT学会のホスト国であるシンガポール理学療法士協会会長のCelia Tan氏に読者の方へのWCPT学会へのウェルカムメッセージとシンガポールの現状について解説していただきました.彼女は私の大学院生時代の同僚で,アジアで最も有名な理学療法士の一人です.シンガポールには日本からも多くの医師が留学するようになり,日本以上に裕福で医療環境も進んでいます.今後シンガポールから学ぶことも多くなると思われます.小林夫妻には経済統合をめざす東アジアの現状について詳細な資料とともに解説いただきました.オーストラリア,ニュージーランドの理学療法については,留学経験のある若手理学療法士の三木氏,青柳氏に現場の息吹とともに解説いただいています.近い将来,日本人理学療法士の外国での就労が現実的なものになるかもしれませんが,どちらも高い言葉のハードルがあることに変わりはありません.また,経済発展著しいタイの理学療法事情についてはJICAプロジェクトで参加中の岩田氏に,やはり詳細な資料とともに解説いただきました.どれも興味深いもので,日本にいるだけでは知り得ないその国ならではのお国事情と問題点がわかりやすく解説されています.

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基本情報

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理学療法ジャーナル
49巻4号 (2015年4月)
電子版ISSN:1882-1359 印刷版ISSN:0915-0552 医学書院

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