耳鼻咽喉科・頭頸部外科 64巻8号 (1992年8月)

トピックス 耳小骨連鎖再建術

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 はじめに

 耳小骨連鎖再建術ossiculoplastyは耳小骨連鎖の連続性や可動性が失われるか,不十分な時に行われ,聴力の改善あるいは保持を目的とする。代表的なものとしては鼓室形成術でのⅢ型変法やⅣ型変法がある。対象疾患は慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎,あるいはそれらの後遺症に加え先天性耳小骨奇形も対象となる。

 本論文では中耳炎手術の歴史について触れ,それとともにどのような経緯によって耳小骨連鎖再建術が行われるようになったか,また連鎖再建の方法,再建材料などについても述べる。

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 はじめに

 鼓室形成術の分類はWullsteinによるものが世界共通に用いられている。しかしこの分類は残存した耳小骨に鼓膜を接触させて伝音系を再建した場合の分類であり,耳小骨形成術ossiculoplastyの場合には,この分類は適用できない。

 現在,さまざまな材料を用いて耳小骨連鎖を再建することが日常行われており,それに対応する分類法の出現が望まれるところである。

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 はじめに

 耳小骨連鎖が慢性中耳炎の病変により破壊されていたり,先天性に欠損している場合に,耳小骨形成が行われる。その形成材料としては,人間の耳小骨(自家あるいは保存同種耳小骨)が最適で,術後の成績も良好である。しかし,先天性奇形はもともと耳小骨は欠損しているし,真珠腫などの高度の病変がある中耳炎では,耳小骨にも病変が及んでいて,本人のものは使用できない。また,保存骨は数多く常備するのが困難である。かような場合に使用される人工耳小骨としては,従来,金属材料(ステンレススチール,タンタルムなど)や有機材料(ポリエチレン,シリコン,テフロン)で作製されたものがあるが,組織親和性,生体内安定性が悪く,排出されることが多かった。最近,第3の医川材料として登場した無機材料のセラミックスが注目を集め,人工耳小骨として多く使用されるようになった。以下,セラミック製人工耳小骨について述べる。

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 はじめに

 鼓室形成術が導入されてすでに30余年が経過し,その間に多くの臨床経験から技術的ノウハウを学び,また,新材料の開発などハード面の進歩により鼓室形成術の成績は向上してきた。特に,耳小骨連鎖形成術は鼓室形成術の開発以来,多くの術者により開発,工夫,改良されてきた,いわば鼓室形成術の技術的変遷そのものともいえる1)。すなわち,Wullsteinの原法では残存耳小骨をそのまま利用して伝音系の修復を計っているが,その後多くの術者によりさまざまな材料,方法を用いて積極的に連鎖を形成する万法が開発され今日に至っている。

 材料として摘出耳小骨(ツチ骨頭,キヌタ骨など),乳突骨片,耳介軟骨,耳珠軟骨などの自家材料autograft,保存耳小骨,保存軟骨などの同種材料homograft,キールボーンなど異種材料heterograft,金属ワイヤー,ポリエチレン,テフロン,セラミックス,アパタイトなど人工材料artificial ossicleなど多岐にわたる材料が用いられてきた。このうち現在最も普遍的に用いられている耳小骨連鎖形成材料は耳小骨,耳珠(耳介)軟骨などの自家材料とセラミックス,アパタイトなどの新素材の人工耳小骨で,術者の好みにより使い分けされているのが現状である。

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 はじめに

 外耳道正常な先天性伝音性難聴症例には,主として耳小骨およびその連鎖の障害部位に従って,適応される手術方法は多岐にわたっており,中には卵円窓開窓術など至難なものも行われることがある。また鼓室形成術としてはⅢ型とⅣ型の変法が選択されることが多く,利用される代用耳小骨によっては遠隔成績に大きく影響することもある。最近例について,手術手技の内容と術後の遠隔成績について検討した。

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 近年,重症の副鼻腔炎,鼻茸が減少し,鼻内深部の手術に熟達した術者は減少する傾向にある。下甲介切除術は,鼻内篩骨洞手術などに比し,神経損傷などのmajor troubleを合併する恐れがなく,minor troubleを予防できれば,保存的治療で改善しない鼻閉に対して幅広い適応を持つと考えられる。

 従来の鼻甲介粘膜切除術では手技は簡単ではあるが,効果が不十分なことも多く,また術後,粘膜欠損面の痂皮付着に悩まされることも多かった。さらに粘膜欠損面は瘢痕性に治癒するため,健常な粘膜の持つ加温,加湿の機能に欠け,術後長期にわたり,咽頭・鼻内の乾燥感などの不快感を惹起することも多かった。

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 はじめに

 初診時にendotoxin shockを経験することは稀であり,一般に予後は不良な場合が多い。従来よりendotoxin shockの死亡率は60〜80%といわれていた1)が,ステロイド大量投与が著効を奏することが明らかにされて以来,生存率は著しく向上した。一方,丹毒は抗生剤が普及した最近では珍しくなったものの時に経験する。初回病変治癒後にリンパうっ滞,免疫力低下などを素地として再発する習慣性丹毒は顔面や下腿を好発部位とし,かつ感染経路が不明な場合が多いとされている。今回われわれは,endotoxin shockを呈し右眼窩部習慣性丹毒が疑われた1症例を経験し,治療に成功したので報告する。

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 はじめに

 ベル麻痺の治療は,保存的治療を主体とし,保存的治療に抵抗する症例においてのみ手術を行うことが一般的であり,当科においてもこれを治療の方針としている。一般的に保存的治療の内容は,ビタミン剤,血管拡張剤,代謝賦活剤,ステロイド剤などの薬物治療の他,理学療法および星状神経節ブロックなどさまざまな治療が行われてきたが,1979年のStennert1)による大量ステロイド療法の報告以後,本邦においてもその方法に準じた治療法が追試され2〜9),ステロイド大量投与の有効性を裏づける結果となっている。

 今回,当科において入院加療を行ったベル麻癖症例のうち,種々の保存的治療を行った症例について,その治療法と予後との関係につき検討したので報告する。

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 はじめに

 顔面骨は複雑に多数の骨が組み合わされた集合体であり,顔面骨の多発骨折においては,加わる外力の程度や方向によりさまざまな損傷の形態をとりうるため,治療計画をたてるうえで,その骨折の部位と程度を速やかに正確に把握する必要があり,手術操作も欠落した機能を回復させるだけでなく,容姿復元にも重点が置かれなければならない。これらの点を満足させるには骨折状況を立体的に正確に把握することが求められる。今回われわれは,顔面多発骨折に対して,従来のCTスキャナーに3次元画像表示システム(以下,3次元CT)を組み込み,診断および術後評価に用い,良好な結果を得た顔面多発骨折症例2例を経験したので報告する。

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 はじめに

 上咽頭癌の治療は,その解剖学的特徴から手術療法よりむしろ,放射線ならびに,化学療法が主体となる。また病理組織学的には未分化癌や低分化型扁平上皮癌が多いため,早期に頸部リンパ節や遠隔臓器に転移しやすく,頭頸部癌の中でもその予後は不良である。近年,生存率向上のため高線量率腔内照射法2),種々の抗癌剤の併用療法,免疫療法などが提唱されている。特に免疫療法は,上咽頭癌患者の大部分が免疫能の低下を示している事実3)ならびに,最近の遺伝子工学の進歩に伴い,従来の免疫賦活剤に加えて,各種サイトカインが実際に臨床応用可能となったことより,その有用性が期待されている。

 今回われわれは,手術不能と判断され,かつ抗癌剤および放射線治療に抵抗性を示した上咽頭癌患者に対し,OK-432を同時併用投与したLAK(lymphokine-activated killer)細胞養子免疫療法を試み,良好な結果を得たので報告する。

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 はじめに

 鼻アレルギーは現在,耳鼻咽喉科領域ではきわめて重要な疾患のひとつになってきており,患者の実態,治療法などにも以前と比べ変化が認められる。

 今回1989年,1990年に大阪大学耳鼻咽喉科を受診した鼻アレルギー患者において,おもに抗原,治療につき10年前(1979,1980年)との比較を行った。いくつかの興味ある結果が得られたので報告する。

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 はじめに

 副咽喉頭間隙は,大血管や神経が走行し解剖学的に複雑な部位であり,多彩な病変の局在となる。われわれは,副咽頭間隙に発生した巨大腫瘤で術前に診断が困難であり,術後の病理組織学的所見で動脈瘤と確定診断された症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。

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 「世界睡眠時無呼吸といびき症会議」は,故 池松武之亮先生を初代名誉会長として,1987年にパリで第1回会議が開かれ,1989年に第2回会議がバルセロナであり,第3回の会議が昨年9月に東京で開催されました。この会議には,耳鼻咽喉科医ばかりでなく,呼吸器内科,小児科,精神科,歯科,生理学などの学者が世界中から約330名集りました。

 私は「睡眠時無呼吸症候群(いびき)に対する高周波電気凝固術の応用」という演題をもって参加しましたので,会議の様子と,現在私の行っている開業医でも出来るいびきの手術について述べさせていただきます。

基本情報

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耳鼻咽喉科・頭頸部外科
64巻8号 (1992年8月)
電子版ISSN:1882-1316 印刷版ISSN:0914-3491 医学書院

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