耳鼻咽喉科・頭頸部外科 64巻9号 (1992年9月)

目でみる耳鼻咽喉科

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 鼻すすり癖が発症の誘因と考えられる中耳病変は多く,気をつけて観察していると,しばしば遭遇する。病像が未完成の初期の症例の場合には,鼻すすり癖を認めさせ,止めさせることで,病変の進行を阻止することが可能であり,難治例が速やかに治癒することも多い。

 また,すでに癒着性中耳炎や真珠腫となった症例では,手術後の再発防止のために癖を止めさせておくことが必要である。

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 緒言

 高齢化社会の到来により,さまざまな分野において高齢者とのコミュニケーションを必要とする社会的ニーズの増加が予想される。しかし,高齢者の場合,生理学的な聴力低下(老人性難聴)のみられる場合が多く,これによるコミュニケーション障害は無視できない大きな問題である。

 こうしたコミュニケーション障害には主に2つの要素が存在する。一つは音そのものが聞き取れない,つまり純音聴力レベルの低下であり,もう一つは音は聞き取れるが言葉として理解できない,あるいは聞き違え(以下,語音異聴と表記する)をしてしまう,つまり語音弁別能の低下である。前者に関しては現在までに数多くの検討がなされてきたが,後者,とくに語音異聴に関する検討は十分とはいえない。

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 はじめに

 13トリソミー症候群は1960年にPatauら1)により,Dトリソミー症候群(13-15トリソミー)として初めて報告された。本症候群は特異な顔貌と多数の外表奇形,無嗅脳症,心奇形さらに内臓奇形を伴う染色体異常として,現在までに100例近くの報告がある。

 聴力障害に関してはCalverら2)によると約80%に認められたと報告されているが,難聴の種類については記載がない。またその側頭骨病理の報告はMottetら3)を始めとして17症例の報告がある。これらの報告の中では,内耳,中耳,外耳に異常が指摘されているが,はっきりとした側頭骨病理学的概念は確立されていないように思われる。

 われわれは13トリソミー症候群3症例の側頭骨病理を検討したので報する。

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 はじめに

 鼓室形成術における鼓膜形成は,聴力改善とともに鼓室形成術の最も大きな目的の一つである。したがって,その再穿孔をいかに少なくするかについては大きな努力がはらわれるべきである。しかし,実際の鼓膜形成後の再穿孔率は,鼓膜材料として筋膜が用いられるようになってからでも5〜10%程度とする報告が多い。むろん,再穿孔を少なくするために色々な工夫もなされている。

 われわれの施設では,しかし再穿孔予防のための特別な方法を用いずに,その率を比較的低率におさえることができている。そこで,過去11年4ヵ月間に行った鼓室形成術症例について,鼓膜形成の方法を述べるとともに,再穿孔例について検討を加えた。

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 緒言

 上顎癌は顔面という整容上最も重要な部位に発生するため,従来,十分な切除がためらわれる傾向にあった1,2),しかし,近年の治療において微小血管吻合を用いた遊離複合組織移植の果たす役割は多大なものとなっており,拡大切除により失われる形態および機能の再建を飛躍的に向上させた3,4)

 われわれは,それら再建の一環として,通常閉鎖されている患側鼻腔を,残存する鼻中隔粘膜と遊離組織の皮膚面で形成することを試みてきた。今回,鼻腔形成を行った4例と行わなかった3例に関し,同術式の利点・問題点を検討したので報告する。

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 はじめに

 唾液腺原発種瘍は口腔粘膜の小唾液腺由来と,耳下腺,顎下腺および舌下腺の大唾液腺由来とに大別される。本報告は口腔の頬粘膜小唾液腺原発と推定した腺癌の1症例と,耳下腺の腺様嚢胞癌で5回の再発をみた1症例の症例報告であるが,2症例は共通して側頭下窩,側頭窩への進展をきたし,前者には眼窩内進展,後者には副咽頭間隙進展が加わるものである。2症例の腫瘍の進展経路および画像診断上の特徴について,文献的考察とともに検討する。

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 はじめに

 抗癌剤の使用によりsyndrome of inappropriate-secretion of antidiuretic hormone (SIADH)および低ナトリウム血症が誘発されることが報告されている1〜4)。今回,われわれは頭蓋内浸潤による下垂体機能低下を合併した上咽頭癌症例にシスプラチンを含む多剤併用化学療法を施行し,これを契機に多尿と低ナトリウム血症をきたした症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

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 はじめに

 鼻中隔原発の良性腫瘍は多形腺腫・血管腫などが散見されるが,神経鞘腫の報告は非常に稀である。今回われわれは,孤立性の鼻中隔原発神経鞘腫の1症例を経験したので,若干の考按とともに報告する。

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 はじめに

 花粉症は近年増加し,国民の10人に一人が罹患しているといわれている1)。しかし,スギ花粉症についての全国的疫学調査は厚生省の研究報告2)以外みられず,一定の地域でのきめ細かい疫学調査も未だにきわめて少ない。今回,私達は,スギ花粉症例の実態の解明のために,富山県を中心に新潟,石川,岐阜の一部の地域の病院,医院に依頼して地域的な疫学調査を行ったので概要を報告する。

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 緒言

 紡錘細胞癌は扁平上皮癌の稀な一亜型であり,頭頸部領域では口腔,咽頭,上気道などに見られる。今回,われわれは下口唇の紡錘細胞癌の1症例を経験したので,臨床経過および病理組織学的所見について検討し文献的考察を加えて報告する。

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 はじめに

 MEの進歩は超音波診断装置の解像度を飛躍的に向上させ,臓器疾患の詳細がミリ単位で明らかにされるようになった。甲状腺検査に際しても近年超音波診断がルチーンで行われ,しかも人間ドックでも多用されている。このことによって甲状腺疾患の発見が著しく増加している。本報告も,人間ドックにおいて右甲状腺腫を指摘され,当科における超音波検査で左葉の先天的欠損と右葉内濾胞腺腫が明らかとなった稀な疾患を示す。

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 当「鏡下囁語」欄に過去2回に亘り「沖縄の医療の現況」—琉球大学耳鼻咽喉科の現状を中心に—(昭和53年10月),そして—日本復帰10年を経過して—(昭和57年6月)について書かせて載き,昭和47年5月15日に日本復帰した沖縄の医療のその後について記してきましたが,今回,ちょうど日本復帰20年を迎えるこの時期に執筆推薦を戴き,従来通りにその経緯にしようかとも考えましたが,もはやそれ程取り立てて書くべき状況もありませんので,ここで沖縄の耳鼻咽喉科医が永い間その課題として持ち続けて来た風疹児問題について書かせて戴くことにしました。

 沖縄でいう風疹児とは,ある年代以上の耳鼻咽喉科医の方々はよく御承知のことで,またこの対策に力を尽された方が多数おられるわけですが,沖縄の米軍統治下の昭和40年に琉球列島に風疹の大流行があり,これに罹患した妊婦より約400名の先天性風疹症候群の聾児が出生しました。

基本情報

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耳鼻咽喉科・頭頸部外科
64巻9号 (1992年9月)
電子版ISSN:1882-1316 印刷版ISSN:0914-3491 医学書院

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